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挫折ばかりだった僕が立て直した人生  作者: 桜影 はる(さくらかげ はる)
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妖精と出会った日、友達ができないぼくの小さな入学物語

「りょうちゃん、もう朝だよ。早く起きなさい!!」


・・・・・・・・・


「りょうちゃん、りょうちゃん!!」


・・・・・・・・・


桜の花が少しずつ散り始めた4月の中旬、ママにゆさぶられ深い眠りから僕は目覚めた。


「ママ、おはよう・・・。 あのさぁ・・・ さっき妖精さんとお話したんだよ。未来に連れて行ってくれるって言ってた・・・」


「なに寝ぼけたこと言っているのよ。そんなことあるわけないでしょ。いいから早くご飯を食べて学校に行く準備をしなさい」


「おかしいなぁ・・・。 夢だったんだろうか・・・」


僕の名前は、夏目りょう。

今日から小学校に通う1年生だ。

本来なら、入学式があった3日前から学校に登校しているはずなのだが、運の悪いことに風邪をこじらせこの日が初登校となった。


「りょうちゃん、今日はママと一緒だけど、明日からはあなた1人で学校に行くのよ。大丈夫?」


「僕を甘く見ないでよ、ママ。もう小学1年生だよ」


朝食を済ませ、昨日から準備しておいた制服に着替えピカピカのランドセルを背負った僕は、玄関で待ってくれているママと一緒に小学校に向かって歩き出した。


校門をくぐると、朝早くからサッカーの練習をしている上級生に圧倒されながらも、小さな勇気を振り絞って堂々と歩くように振舞った僕の手は、初登校の緊張で汗ばんでいた。


「りょうちゃんだ!!」


もうすぐ下駄箱にたどりつくという所で、小さな女の子が僕の名前を叫んだ。

多分、今日から僕が学校に来ることはうわさになっていたのだろう。

めずらしい物でも見つけたかのように同級生が一斉に僕を取り囲んだ。


「りょうちゃん、一緒に教室に行こう!! 」


そう言って、僕の手を力強くひっぱって走りだそうとする同級生に、どのように接したらいいのか分からくなってしまいパニック寸前の僕は、その手を振り払いその場で固まってしまった。


ママはそんな僕の背中をそっと同級生の方に向けて押し出してくれたが、それでもモジモジとしていると、しびれを切らしたのかその場に集まった同級生は僕を置いて教室に向かって駆け出して行った。


「友達ができるかなぁ・・・」


悲しくなりうつむいたままそうつぶやくと、「大丈夫よ!!ゆっくりなじんでいこうね」と、ママはやさしく抱きしめてくれた。


先生との待ち合わせ場所である職員室に着くと、担任の先生が僕たち親子を快く出迎えてくれた。ママと先生が挨拶を交わした後、僕も恥ずかしさから顔を真っ赤にしながらも「よろしくお願いします」と頭を下げると、先生は「上手に挨拶できたね」と褒めてくれた。


しばらく先生とママは雑談をしていたが、1時間目が始まる時間が近づくとママは僕に向かって「頑張ってね」と不安そうに言った。僕は少しでもママに安心してほしいという気持ちから「大丈夫、心配ないよ」と強がって答えたが、その笑顔は確実に引きつっていた。


ママとは職員室の前で別れ、僕は先生に連れられ長い廊下を教室に向かって歩きだした。


新しい生活になじめるかな・・・・


少し心細くなった僕は、何度も何度も後ろを振り返りママを探したがもうそこにはママの姿はなかった。

覚悟を決めしばらく歩くと1年生の教室に着いた。

扉の前に立った先生は、「じゃあ行くよ」と僕の方を向いてニコッっと微笑んだ。


いよいよか・・・・


僕の心臓はドキドキと脈打ち始めた。


先生が教室に入ると、日直の号令で朝の挨拶が行われた。

1年生らしい大きな声であいさつをするクラスメートの迫力に驚いた僕は、さらに心臓が高鳴り足も震えだした。


先生は教壇に立ちとても生き生きとした表情で「りょうちゃんが今日から学校に登校してくれています。慣れないことが多くて戸惑うこともあると思うから、皆さんも力を貸してあげて下さいね」と紹介してくれた。


み、みんながこっちを見ている・・・

ど、どうしよう・・・・


なかなか落ち着きを取り戻せず焦る僕に「りょうちゃんからも一言どうぞ」と先生に声をかけられたが、小さなころから引っ込み思案で消極的な性格が災いして急に沢山の人の前であいさつをすることができない。またしても黙り込んでしまう失態をしてしまった自分自信がつくづく嫌になった。


その日の休み時間も学校が終わった後もクラスメートが遊びに誘ってくれたが、“何とか友達を作らないと”と思いつつも恥ずかしいとの思いが勝って僕はその誘いの返事もせずにうつむいているままだった。そんな調子で初登校から1カ月過ごしていると、そのうち誰も僕の事をかまってくれなくなり、いつも1人で過すようになっていた。


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