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守護の騎士達  作者: 藍本 彩夢


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9/10

操られた者

 その者の顔を確かめてケインの表情が驚愕する。

 「ケイン!誰なの‥」

 レイリーが聞く。

 ケインがその者の前をゆっくりとどいた。

 「チェルリイ…l

 国王の声が重く低くその者の名を呼んだ。

 「大臣‥何故 あなたが…」

 公爵が驚愕した声で言う。

 レイリーは黙って近づくと、剣先を大臣に向けた。

 「チェルリイ大臣の体を返しなさい‥」

 そう言われた者は口端をちょっと上げると鼻で笑って言った。

 「嫌だね‥」

 大臣の口から出たその声はかれのモノではなかった。

 「この体は俺にとって、とても都合がいいんでね。こいつの意識は閉じさせてもらったよ。」

 その者は続けてそう言った。

 「何ですって…」

 ライザが言う。レイリーは剣先を向けたまま黙っていた。

 「どういう事なんだ?」

 国王が聞いた。

 「レイリーの剣でも傷つくのは大臣の体であり、消えるのは大臣の命という事です。」

 ケインが答えた。

 「さすが『守護の騎士』よく知っていたな。ついでに言うなら俺はこの体の宿主の命が尽きた瞬間、こいつの意識を呼び戻しその反動で別空間へ移動する。俺は無傷で逃げられると言う事だ‥ハハハハ‥さあどうする‥」

 大臣の体にいる者が言った。

 レイリーの脳裏に大臣の優しさが思い出された。暖かいその笑顔が浮かんでいた。

 「どうする事もできないよな‥それじゃ俺はこれで失礼するよ‥」

 そう言って背中を向けた時、レイリーは剣の柄の先に左の掌を当て剣を大きく閃かせた。

 「レイリー!」

 公爵がそう叫んだ時は既にレイリーの剣は、相手の背中を袈裟がきに斬っていた。その瞬間 剣が光を放ちその光が大臣の体の中に入ったように見えた。その場に崩れるように倒れる大臣の体…

 「残念だわ‥ファーティグ・ティガー」

 レイリーは言った。

 驚愕した顔がレイリーを見上げる。

 「お前は誰だ‥どうして俺の真の名を知っている…」

 そう言った時 大臣の体が大きくぶれてそこに魔の者の姿が重なっているのが、他の人達の目にも写った。

 「いったい‥何をした‥それは聖光石か‥今 扱える者はいないはず‥‥まさか‥お前‥これを‥」

 切れ切れの息の下から彼は言った。

 「あたしは 古くからの聖なる血を継ぐ者‥そういえばわかるかしら‥」

 レイリーは言った。

 「俺は‥あな‥たを‥待てな‥かった…」

 青い炎がファーティングを包んでいく。そしてその姿が消える一瞬ファーティングの異形の姿が赤い衣に身を包んだ司教の姿になり消滅した。

 「ケイン チェルリイに癒しの力を‥」

 レイリーは言った。

 ケインは直ぐに行動に移った。

 「レイリー今 何をした。ファーティングとは伝説の司教の事か?」

 国王が言った。

 「今のは聖光波と言って剣で傷をつけながら剣先で直接 光の波動を送り込むものです。こうする事によって閉ざされた意識を呼び起こしその体を占領していた者を消滅させるのです。誰もができる訳ではありませんが…」

 ライザが言った。

 「伯父上 ファーティングというのは知っての通り火の力と融合という特殊な力を持った司教でした。正義感が凄く強く司教という仕事に情熱を持っていました。その強すぎる正義感と激しい情熱が今の大司教達の事なかれ主義や名誉欲、物欲、権威欲に我慢出来なかったのでしょう。自分も彼らと同等の立場になって彼らを戒めたかったのだと思います。そこへグラッドはうまくつけこみファーティングを魔の道へと引き込んだ‥あたしがもう少し早く目覚めていれば彼を‥ファーティングをこんな形で消滅させなくて済んだ‥と思うと‥あたしは‥」

 「レイリーそれは違う。彼は自分で言っていた通り 君を‥君の目覚めを待てなかったのだと思うよ‥その激し過ぎる性格ゆえに‥」 

 公爵は言った。

 レイリーはその言葉に顔を上げるとありがとうと公爵に言った。そして気を取り直すと

 「魔の力が入らないように、この国全体に結界を張るわ。」

 レイリーは剣を鞘に入れると鞘の部分を持ち柄に付いてる石を目の高さまで上げ精神を集中させた。

 「聖・結界!」

 レイリーは右手の甲を返しながら大きく腕を上げた。

 そこにいた者達はザンという音が聞こえたような気がした

 そしてライザがレイリーを見た時、レイリーの顔色は悪く肩で息をして、剣を支えにして立っているのがやっとのようだった。その少し後 彼女は膝をガクッと付いた。

 「レイリー‥」

 ライザは叫びながらレイリーの側へ駆け寄った。










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