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守護の騎士達  作者: 藍本 彩夢


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10/10

 街ではファーティングが消滅したと同時に、魔の獣が消え操られていた全てのモノが或いは消え或いは元の姿に戻った。リューイ達は城にいた魔の者の首領格がレイリー達によって、消滅させられた事を悟った。

 その時リューイの頭に直接レイリーの声が聞こえた。

 「リューイ 国全体に二重結界を‥」

 「わかった!」

 リューイはそう答えを返すと、剣の石を目の高さまで上げ精神を集中させ結界をはった。

 「これでこの国は安心だな‥」

 リューイはレイリーに話しかけた。

 「ええ 皆んな無事…」

 「ああ 無事だ。そっちは…?」

 「大‥丈…」

 そこまで言ってレイリーの声が途切れた。

 「レイリー…?どうした…レイリー!」

 リューイは呼びかけたが、声は返ってこなかった。

 その様子を見ていたキースが聞いた。

 「レイリーは何だって‥」

 「それがレイリーの様子がおかしいんだ。呼びかけても答えが返ってこない‥」

 リューイは言った。

 「何!」

 ユーゴは言った。

 「将軍‥悪いが王城に案内してくれ‥レイリーに何かあったみたいだ‥」

 リューイは言いながら馬に乗った。

 「レイリー様が‥わかりました。すぐにご案内いたします。」

 将軍は答えると、側にいた騎士に二言 三言指示を出しリューイたちが馬に乗っているのを確認すると先頭になって走り出した。


 リューイ達が玉座のあるホールに着いた時、レイリーは膝を付いて剣を支えにやっと体を起こしているような状態だった。

 「レイリー 大丈夫か!」

 リューイは駆け寄った。その声を聞いてレイリーはリューイの方に顔を向けた。

 リューイはレイリーの側に膝を付いてレイリーの様子を確認する。

 「リューイ  レイリーはどうなの?」

 ライザが聞いた。

 「大丈夫だ。大きな力を立て続けに使ったから、体力を消耗しただけだ。」

 リューイは言った。

 「少し横になっていた方がいい‥」

 リューイはレイリーに言うと国王に願った。

 「国王陛下 申し訳ありませんが何処か部屋を貸して頂けないでしょうか?レイリーを休ませたいので‥」

 「休んでいられないわ。まだやる事が残っているわ‥」

 レイリーは言った。

 「駄目だ‥俺達がいるんだ。後は 俺達に任せろ。」

 ケインが言った。その声にキースやユーゴも頷く…

 「わかった…後はお願い…」

レイリーは言った。

 「さあ 部屋に案内しよう‥」

 国王は言った。

 「ありがとうございます。」

 リューイは言うとレイリーを抱き上げようとした。

 「リューイ 歩けるわ‥」

 レイリーは言った。

 「何を言ってるんだ。その状態でどうやって歩くと言うんだ。そうやっているのだってやっとだろう‥意地をはるな‥」

 リューイはそういうとレイリーを軽々と抱き上げた。

 国王に案内されて廊下を歩く間 リューイは思った。

 (サミエルとエミーに頼まれていたのに‥どうしてもっと気をつけていなかったんだ俺は…)

 国王は部屋のドアを開けた。リューイはレイリーを奥の部屋のベッドに寝かせると優しく言った。

 「少し 眠るといい‥後は安心して任せてくれ」

 「リューイ ありがとう。」

 レイリーがそう言うと、リューイはニコッと笑顔を見せドアを静かにパタンと閉めた。

 レイリーは一人になって ふと思った。

 (ここまで運んでくれる間 リューイの温もりからあたしに 流れ込むように感じたあの暖かさは何だったのだろう…)と…なかなか寝つかれなかった。

 やがて癒しの風が国 全体に広がっていくのを感じた。そして自分を包んでいくのも‥

 (この波動はリューイね‥)

 そう思いながら レイリーの意識は眠りに引き込まれていった。

 次にレイリーが目を覚したのは夜半過ぎだった。レイリーが目を覚ました時、リューイが続きの部屋からのドアを開けて入ってきた所だった。

 「リューイ‥」

 レイリーは言った。

 「起こしてしまったかな?…」

 リューイは言った。

 「いいえ 目が覚めたの‥」

 「そうか。夜食を用意してもらってあるから、食べられたら食べた方がいい…」

 「ええ 頂くわ。」

 レイリーが答えると、リューイはレイリーをベッドの上に上半身起き上がらせ続きの部屋から夜食を持ってきて、サイドテーブルに置いた。レイリーが夜食を食べている間側でレイリーが休んだ後の様子を簡潔に報告してくれた。

 レイリーが大臣の様子を聞くと大臣の意識が戻った事と側にケインが付いている事を教えてくれた。その他の仲間達は国王夫妻や王太子と夕食を共にし、用意してくれたそれぞれの部屋で休んだと教えてくれた。リューイの部屋も用意してあったが、レイリーの側に付いていたいと申し出て続きの部屋で少し休んだと言った。レイリーが夜食を取り終わると片付けてくれた。そして自分が腑に落ちない事があると言った。

 「この王城の造りからすると、俺達に用意してくれた部屋って国王一家の居住区のすぐ側だと思うんだ。」

 「それで‥」

レイリーは聞いた。

 「普通 近隣の王族が自分の城に滞在する場合でも自分達と違う棟を用意すると思うんだ。いくら俺達が【守護の騎士】でこの国を守護したからと言っても、やはり色々な場合を想定して別の棟に通すのが当たり前だと思うんだ。」

 「じゃあ リューイはどんな人達が居住区のすぐ側に通されると思う‥?」

 「そうだな…国王同士ならお互いがよく分かり合えてる人間‥後は国王や王妃 王太子殿下と気心が知れていて信頼できる人間…それとこの国の王族‥特にこの部屋なんか国王一家の居住区でもおかしくないと思う‥国王夫妻の部屋や王太子殿下の部屋ともそんなに離れていないんじゃないかと思う。」

 「さすがリューイね。洞察力が凄い…リューイの言った通りよ。ここは国王一家の居住区よ。そしてこの部屋 実はあたしの部屋なの…あたしの父は国王の弟 こことは別の土地を預かりそこに住んでいるわ。あたしはこの王城で七歳の時から育ったの…そしてリューイ達はあたしの仲間 それも【守護の騎士】という国の守護を託された仲間達‥だからここに通されたの。これで納得がいったかしら…」

 リューイはただ驚いてレイリーの顔を見ていた。

 「別に隠していた訳じゃないの。あたし達の使命に身分なんて関係ないでしょう。だから‥」

 「確かに…でもレイリー自分のいえもあるのにどうしてこの王城で育てられたんだ。」

 「簡単に言えばあたしが王女であり【守護の騎士】だから‥でもあたしは王城で育って良かったと思っているの…あたしは小さい頃住んでいた場所よりここの城の方が好きなの…それよりリューイ 疲れているんじゃないの‥?」

 「ああ 少しな‥」

 「手を出して‥」

 レイリーは言った。

 リューイは黙って手を出した。その手をレイリーが優しく握る。

 リューイはその手を通して自分の中に気が送られているのを感じた。

 「レイリー 駄目だ。君の方が疲労が増してしまう。」

 「大丈夫よ。あたしは休ませてもらっているわ‥今 リューイに何かあったら大変でしょう‥」

 「そうだな‥じゃあこうすればいいんだ。」

 リューイはいうとレイリーを胸に抱きしめた。

 「こうすれば お互いの力を回復できる。」

 「リューイ…」

 「どうすればいいかは俺が一番知っている。前の戦いの時 レイリーは俺達の後から歩いてきて 俺達を守ってくれた。そしていつでも俺を…俺だけを見つめてくれていた。 

 でも再会した君は 俺達と同じ場所に立ち俺達と一緒に歩いている。そして時には俺達より前に出て その道を切り開き守ってくれる‥その眼差しは多くの人々を見守り、俺達 仲間を見守り進んでいく。

 俺はそれを認めるのが恐かったんだ。俺が認めたら君が一人で歩いて行ってしまうようで‥俺の傍から離れ兄貴であるグラッドの方へ行ってしまいそうで‥」

 「あたしが いつも見つめてきたのは他の誰でもない あなたよ。」

 「ああ そうだったな。こうして正面から向かえばその心を いつも俺のすぐ側においてくれているのがわかる‥レイリー 愛している‥」

 二人は唇を合わせた。

 二つの波動をもつ気が重なり混じりあい別の波動が生まれ、お互いの力を満たしそれぞれの気となった。

 



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