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第八十三話 せっかく異世界に来たんだから、裏路地には気をつけて。

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異世界といえど、花街はほとんど変わらないようだ。

入り口付近の高級娼館は煌びやかで、呼び込みのお姉さん達もいきいきとしている。


「ドワーフのお兄さん、よってかない?」


薄い生地に胸の谷間が見えるような作りの服を着たお姉さんが呼びかけてくる。

俺の肌は色がドワーフよりだ。

身長も成人ドワーフのそれとほぼ同じなので、成人に間違えられたのだろう。

だが、未成年だとバレて追い出されるよりはマシか。

お姉さんに軽く会釈して、その場を後にする。


「松山くんの匂いはまだ先そう?」


「すんません。香水とかの匂いで分かんないっす。でも、匂いはこっちの方で合ってるっす」


猫田は鼻をぴくぴくと動かしながら、俺を誘導する。

奥へ入って行くと入り口の煌びやかさは消えて、呼び込みのお姉さんも次第に目元がくすみ、疲れきった様子である。


「変なお店に連れ込まれてないといいけど」


本当は置いていきたい気持ちはあった。

花街に行きたそうな顔をして、通路の前で立ってたら引っ張られるのは自然の流れだ。

それに、腕を掴まれても振り解けばいい。

なのに、松山くんは嫌がりもせずに入っていってしまった。

それなら、後は自己責任でお願いしたい。

だが、彼は迷い人でギーレン公爵の客人だ。

外に連れ出して、勝手にどこかへ行きましたで、自分たちだけ帰ってきては色々と問題があるだろう。

そういう事で渋々捜索をしているのだが。


「ここっす」


猫田が止まった店は娼館では無かった。

だが、より最悪な場所だった。


「奴隷商か」


「この世界には奴隷っているんすね。さすがファンタジー」


猫田は食い気味に俺の呟きに返してくる。

だが、残念ながらこの店の奴隷はそんなにいいものではない。


「ここは多分、犯罪奴隷専門店だよ」


「犯罪、奴隷っすか?」


「そう。この世界の奴隷は大きく二種類に分けられるんだ。一つが借金奴隷、もう一つが犯罪奴隷だ」


「その二つは何が違うんすか?」


「借金奴隷はそのままだ。金を借りて返せない、ちょっとした犯罪に加担してしまい罰金が発生し払えない人がなる奴隷だ」


だが、この奴隷商は主に商店街にある。

色々と制約はあるが、人権は保障されているし、仕事も選べる。

ハーキスタ家でも使用人の何人かはこれだった。


「犯罪奴隷はその名の通りだ。だが、犯罪の中でも重犯罪、愉快殺人や強盗、国家転覆罪などの犯罪者が落ちるんだ」


犯罪奴隷は借金奴隷と違い、人権がない。

犯罪奴隷の持ち主なら殺しても罪にはならないし、慰め物にしてもいい。


「じゃあ、ここは」


「犯罪者の巣窟って事だよ」


「ヤバイじゃないっすか!!」


「変なのを買わされてないといいけど」


俺は堂々と中に入る。

普通はこういう店は年齢確認とかも必要なはずだが、そういったものは無いようだ。

そして、一番手前のドアの中から話し声が聞こえてきた。


「この子とかどうですか?」


『だがら、言葉が分からない』


どうやら、進められてはいるが言葉の壁で最後の一線は超えていないようだ。

なら、早めに回収してしまおう。


『松山くん帰るよ』


『ルヴァンさん』


松山くんは椅子に座らされて、半泣きの表情を浮かべていた。

その前には奴隷と思わしき裸の奴隷達が並べてられていた。

だが、そのどれもが獣人だった。

なにかあるかと確認するが、全員が殺人を犯していた。


気のせいか?


俺は最後の少女を鑑定した時だった。

その結果に思わず息を呑んだ。


「彼女を買おう」


「お客様もお好きですねえ」


商人な、おじさんは下卑た顔で俺を見てくる。

俺は感情を抑える為、息を吸い込んだ。


「まあ、こういう小さい娘で遊んでみたくてね」


「分割支払いにします?」


「いや、一括で」


こいつとは一秒でも一緒にいたく無い。

そして、支払額を見るとまだ金には余裕がありそうだ。


「それと、その子とその子も。体破損分は安くしてくれよ」


「もちろんです。勉強させて頂きます」


そして、支払いを済ませる。

有事の時のために用意して置いた酒を煽り、三人を抱き上げた。


「流石ドワーフ。力持ちですね」


「行くよ」


おじさんは最後まで俺を煽ていたが、支払いが済んだらようは無い。

俺はそのまま店を後にした。


『奴隷なんて買って良かったんですか?』


『そうっすよ。そのお金はシラユリさんとのデート資金じゃないっすか』


松山くんと猫田は色々言ってくるが今は相手をしていられない。


「ジェーンさん、いる?」


「はい」


音もなく彼女は現れた。

もしかしたらいるかもと思っていたが勘が当たったようだ

やはり、彼女はアサシン系のスキルを持っているに違いないな。


「奴隷を買った言い訳ならご自身で「ジェーンさん」


悪いが今は冗談に付き合っている暇はない。


「二人を頼めるか?」


俺がそう言うとジェーンさんは猫田と松山くんを見て、深く頭を下げる。


「他には?」


「俺の家族を守って欲しい」


「かしこまりました」


強い風に一瞬視界が遮られる。

風が消えて視界が戻るとそこには三人ともいなくなっていた。

俺は〈神々の血〉の効果が消える前に教会に向かう。

教会に入るとノンノを引き取った時のシスターが俺を出迎えた。


「ボルヴァードさま、今日はどうされ「治療室を借りるぞ」


シスターの言葉を途中に治療室に駆け込むと台の上に三人を乗せる。

そして、〈ヒール〉をかけるが治りが悪い。

彼女達の体力がもう底をついているのだろう。

どれだけあそこが劣悪な環境だったのかが分かる。

小さな女の子の方は痩せてしまっているが、大きな問題は無さそうだった。

だが、体の欠損がある二人はかなり重症だ。

鑑定の結果、一人は身体中が骨折しており、もう一人は性病に罹っている。


「とりあえずは〈介護〉と〈介助〉で体力を取り戻してから、治療することになるか」


「あの」


いつの間にか治療室に入ってきたシスターが俺に申し訳なさそうな話しかける。

色々と説明するべきだが、この事態は俺だけでは判断ができない。


「蒼き炎は天をかける」


「!! す、すぐに」


俺の言葉にシスターは走り出す。

その間に俺は少女、テラアナ・ポルパラを鑑定するのだった。

昨日に間に合わなくてすみません。

夜中の投稿になります。

今日のお昼過ぎまた更新しますので楽しみにお待ちください。

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