第八十一話 せっかく異世界に来たんだから、しっかり謝ろう。
ブックマークと感想お待ちしてます。
「シラユリ?」
どうして彼女がいるのか分からなかった。
だって、シラユリはガンツと。
そう、頭で理解しようとするたびに胸が苦しくなった。
「ねえ、ルヴァン」
シラユリは笑顔で俺のもとへと歩いてくる。
だが、その瞳はあまりにもどす黒く濁っていた。
平静を装っているように見えるが、両手で服の一部をを強く掴んで何かを堪えているように見える。
そうして、俺の前に来て右手を振り上げる。
「歯を食いしばってね」
パン!
シラユリは俺の頬に平手打ちをしたのだった。
あまりの威力に俺は椅子から転げ落ちてしまう。
周りが視界に入る。
皆が驚いている中、ただ一人リリシアは呆れたようにため息をついたのだった。
「ねえ、ルヴァン。私聞きたいことがあるの」
「え、シラユリ。なんでここに(パン!
俺が言葉を言い切る前に、また平手打ちをされる。
「悪いけど、私の質問以外の事を口にしたら殴るから」
助けを求めようと周りを見るが誰も視線を合わせてくれない。
ギーレン公爵さえ、苦笑いの表情と共に明後日の方向を向いている。
「……。はい」
誰も見方がいない中、そう答えるしかなかった。
「じゃあ、質問ね。なんで、私を置いてったの?」
シラユリが怖くてまともに顔が見えない。
でも、黙っていたらまたビンタが来るかもしれないので、素直に答えるしかないだろう。
「そ、その。シラユリがガンツとお付き合いをはじめ(パン!
また、なぜか頬に衝撃が襲ってきた。
なにか、間違えた?
「私が聞きたい、答えじゃなかったら、殴る、から」
シラユリは大きく息を吸い込んで、「なんで置いていったの?」と同じ質問を投げかけてきた。
「俺達がいたらじゃま(パン!
「違う!」
「だって、シラユリはガンツと(パン!
「違う!!」
「何が違うんだよ!!」
俺は何度も殴ってくるシラユリの腕を握る。
その時、やっと俺は彼女の顔を見たのだった。
確かに、その表情は怒っていた。
でも、その瞳から大粒の涙を流していたのだった。
「なんで、泣いて」
「バカじゃないの!」
思わずシラユリの手を離してしまう。
すると、シラユリはその手をふるえるほど握って、俺を睨んだ。
「好きな人をイジメてたやつの事なんて、好きになるわけないでしょ!! その前に気づいてよ!! なんで、あなたはそんなに。バカ!! アホ!! ドンカン!!」
「ご、ごめん」
「ねえ、なんで、置いてったのよ!!」
シラユリの言う通りだ。
バカで、アホで、ドンカンだ。
ここまで言われるまで気づかないなんて。
だから、ここで彼女と、自分と向き合わないといけないだろう。
「シラユリが、好きな人が、他の奴と付き合うと思って、逃げた。ずっとそばにいてくれるって勘違いしてたんだって、後悔して、現実に向き合いたくなくて、逃げたんだ」
「なんで、そんな、勘違いを!?」
「あの日、ガンツに言われたんだ。シラユリに告白するって。それで、シラユリを失いたくないって、君の存在の重さに気づいた。でも、君がガンツと会っているのを見て。その時に、うれしい、ありがとうって聞こえて」
「あ、あの時」
シラユリは大きくため息をつくと頭を抱えた。
そして、俺の顔を掴むとその大きな瞳で俺を映し出す。
「ねえ、ルヴァン。私の事好き?」
「はい」
「どれくらい?」
「一生大切にしたいくらい」
「そう。そうか。はあ。バカだなあ」
誰に行ったのか、そうつぶやいた彼女は俺の胸の中に飛び込んできた。
「抱きしめて」
「はい」
もう、手放してしまわないように強く抱きしめた。
俺は幸せ者だな。
「ごめん」
そう、言葉が漏れ出していた。
「ルヴァン」
「はい」
「まだ、許してあげないから」
え!?
「こんなんじゃ、私の一生は上げない。明日まで時間を上げるから、私をその気にさせなさい」
なるほど。
まあ、確かに食堂でプロポーズというのも花がないだろう。
今日は忙しくなりそうだ。
でも、この後の一生にシラユリがいるなら。
「そういえば私もされてないわ」
リリシアがそう言って小悪魔のように笑う。
確かに婚約の書類にサインはしたが、そういったのはまだだった。
「かしこまりました、お姫様方」
そういえばギーレン公爵をまたせてしまっていたな。
「すみません、公爵」
「いいや、別にいいよ。それと」
公爵が一息貯める。
「おめでとう。そして、いらっしゃい」
「ありがとうござます?」
ギーレン様の言葉の真意は分からないが、とりあえず祝福されたという事でいいのだろうか?
いらっしゃいとは?
『なあ、凜』
『なに?』
『言葉は分かんないんだけどよ』
『うん』
『ルヴァンって、鈍感系主人公だってことは分かったよ』
『最初に超絶が付きそうなほどよね』
うるさいぞ。
まあ、否定はできんが。
「おかわり」
スピレイはそう言ってお皿を持ち上げたのだった。
あの後、シラユリは疲れたと言って食堂を後にしてしまった。
聞いた話だとシラユリたちがギーレンの町に着いたのは朝方だったとの事だ。
それに先ほどの事もあったのだ。
疲れていても仕方がないだろう。
「さて、では現状を確認したい」
ギーレン公爵は皆が食事が終わる頃を見計らってそう切り出した。
確かにここで色々と話をすり合わせておきたい。
「まずは、君たちについてだね」
ギーレン公爵はそう言って松山くんと東雲さんを見る。
「二人のような迷い人はまれではあるが、この世界に存在している」
「そうなのですか?」
「ああ、そう言った存在は何かしらの変わった能力を持っているらしいから、彼らの能力が判明するまでこの屋敷にとどまってほしい。どうやら言葉も通じないみたいだし、ここで勉強するといい」
「分かりました」
「彼らの言葉を知る君という存在もいろいろ気になるが」
そういった彼は俺を見る視線を鋭くする。
その事で何かしら言われるだろうと覚悟していたが、どうしたものか。
悩んでいると公爵は瞳を閉じてため息をつくと笑顔を向けてくる。
「まあ、今回は目をつむろう」
その言葉に安堵する。
「今回のダンジョン攻略、破壊、迷い人の救出について、後で報償を出そう」
これから、色々入用になるのでそれは助かる。
カタハナ村で働いていて、それなりの貯えはあるがなるべく二人には思い出に残るようなプロポーズをしたいしな。
「それと、戦争は避けられないみたいだ。ルヴァンくん」
業務報告のような軽さでギーレン公爵はそう言い放つのだった。
今日中にもう一話書きたい。
後、仕事ばかりで友達少ないので寂しいです。
感想欲しい。




