第八話 せっかく異世界に来たんだから魔法を頑張りたい
更新遅くなってすみません。
アルマルデ様からスキル鑑定を受けてから半月の時間が流れた。
あの日、アルマルデ様の弟子になることが決まり、俺はその日から回復魔法の練習を始めたのだ。
だが、残念なことに俺は回復魔法の才能は残念ながら高いわけではないようだった。
「ほら、集中しな!」
「はい!」
今日も自分の掌をナイフで薄く切り、その傷を自分で治すというのが修行だった。
最初の内は全く発動はできなかった。
何度もアルマルデ様の実演を見ながら、自分に〈ヒール〉をかける。
そんなことを繰り返して、初めて成功したのは初めてから四日後だった。
「やっとできたのかい」
その姿を見てアルマルデ様はそう言った。
その言葉からも俺の才能のなさを感じたのだった。
それからも反復練習は続き、今では成功率は四割行かないぐらいだった。
こんな練習をしていたおかげか昨日久しぶりに 鑑定〈人間〉を発動した。
ボルヴァ―ド エルフ/ドワーフの混血 8歳
ステータス
HP 5/15
MP 5/30
筋力 9
知力 35
魔力 15
スキル
介護 介助 配薬 救急対応 夜間行動 鑑定〈人間〉
体術 歌唱魔法 魔法適性
回復魔法Lv1 リハビリテーションLv3
となっていた。
全体的に上がっているが、特にMP、知力、魔力の数値は上がっていた。
魔法の練習ばかり行っていたからだろう。
スキルにも回復魔法が入っていた。
こうやって目に見えて成長していると分かると素直にうれしかった。
午前中はアルマルデ様の修行を受け、午後からお嬢様のお世話をするようになった。
午後最初にリリシアお嬢様に〈介護〉を重ね掛けすることから始まる。
このことで、介護の発動時間を増加できるのだ。
今わかってるだけで、〈介護〉の発動時間は一日と二時間(この世界の一日は十六時間)だった。
アルマルデ様は〈介護〉を発動するとその都度お嬢様の様態を確認していた。
その結果、俺のこの能力ではやはり毒を取り除くことはできないようだった。
だが、発動中は毒はその進行を完全に止め、弱った身体は正常に戻る。
「これなら、〈介護〉と併用して薬で新陳代謝を上げて、毒を体から抜き出す方法が一番手っ取り早いね」
との見解だった。
そして、俺には〈配薬〉のスキルがある。
このスキルは使用時に薬の効果を上げるだけではなく、他にも副作用を抑える作用もあるそうだ。
しかも、天恵スキルなのでその効果も絶大。
その為、子供の身体には荷が重いとして投与できなかった薬を先日から服薬することになったのだが。
「いや! ルヴァン、のみたくない!」
「お、お嬢様」
この薬がまた、すごく苦いのだった。
アルマルデ様が俺には〈配薬〉があるので舐めても大丈夫との事で舐めてみたが、とんでもなく苦かった。
苦みは前世で食べたことがあるカカオの九十パーセントのチョコに味が似ているが、その数十倍は苦い。
俺ですら毎日飲んでいたら気がめいりそうになる。
だが、それでも命にかかわることなので、やめるわけにはいかなかった。
「お嬢様、終わったらケーキを食べましょう! 他にも甘いジュースなども用意しますよ」
「それでもイヤ!」
「え、えっと」
俺が困っていると後ろで「っち」と舌打ちが聞こえた。
振り返らずにお嬢様に内服の催促をする。
だが、飲まない。
俺の肩に手が置かれる。
その手には心なしか力が入っている。
「飲まないと「イヤ!」
早くしないと!
だが、お嬢様が飲まれるわけがなく。
後ろの鬼さんが息を吸い込んだ。
「早く、飲みな!」
「「ひっ!!」」
ああ、今日もダメだった。
後ろで待機していたアルマルデ様の堪忍袋の緒が切れたのだった。
お嬢様もアルマルデ様が怒ると瞳に涙を溜めながらしぶしぶ薬を飲むのだった。
「時間は有限なんだよ! リリシア、結局は飲むことになるんだから坊やが優しく言っているうちに飲みな! いいね!!」
「う、う~」
いつも、言っているが結局は同じことが繰り返される予感しかしなかった。
その後は、お嬢様とのリハビリを行うのだった。
〈原初の毒〉のせいで筋力が低下し、手や足が棒のように細くなっていた。
だが、元々体を動かすのが好きだった事もあり、少しずつ筋力も戻ってきていた。
そんなことをしていたおかげでリハビリテーションというスキルがいつの間に手に入っていた。
アルマルデ様に聞いてみたが、そんなスキルは知らないとの事だった。
だが、前世の記憶では、障害を持った人が社会生活に戻すことである。
お嬢様の身体が最近ふっくらしてきたのもそのせいだと思いたい。
「ねえ、ルヴァン」
お嬢様は最近俺の事をセシアさんのようにルヴァンと愛称で呼ぶようになっていた。
まあ、かわいい妹分ができたようで少しうれしかった
「なんで、アルマルデはあんなに怖いの?」
「アルマルデ様は怖い方ではないですよ」
実際に回復魔法を習うにあたって最低限の魔法基礎を学ばなければならなかったが、アルマルデ様はとても教えるのが上手ですんなりと頭の中に入っていった。
言葉が少しぶっきらぼうだし、魔法が成功しても褒めてくれないが。
「うー。ルヴァンはアルマルデの味方なの?」
「僕はアルマルデ様の弟子です」
「ルヴァンは私の味方だけしてればいい」
「そんなことできませんよ」
「私のこと嫌いなの?」
ボルヴァードの記憶からもお嬢様のやんちゃに手を焼いたことはあってもいじめられたことは無いし、一緒に遊ぶ友達みたいな存在だった。
好きであっても、嫌いなわけがない。
「嫌うなんてありえません。僕はお嬢様が好きですよ」
そう言うとお嬢様は嬉しそうに微笑む。
「みんな大好きです」
だが、俺が更にそう言うとお嬢様の表情は固まる。
そして、「体動かしてくる」とベッドから手漕ぎ車椅子に移ると部屋を出て行ってしまったのだった。




