第七十四話 せっかく異世界に来たんだから、発見しよう。
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魔物とモンスターの定義には明確な違いがある。
モンスターは知能が低い野生の生き物をいう。
この世界では野生の狼や猪なんかもモンスターになる。
それとは別に魔物は独自で魔力を持つ物をいう。
だから、生き物でも無機質でも魔力を持てば魔物なのだ。
そこで、ある議論が行われたことがあった。
ダンジョンとは魔物なのか?
それとも、モンスターなのか?
多くの者が魔物と主張する中、ダンジョン研究科はモンスターだと論文を出したのだ。
ダンジョンは今まで通路や階段だと思っていた物は臓物であり、入ってきたり、中に住んでいるモンスター等から魔力を吸って生きているのだという。
そして、自分の吸収できない魔力を結晶化、死体と物質を魔物化することで冒険者やモンスターに採取させ外に運ばせることで排泄しているのだと。
そんな、ダンジョンは長い時間を経て成長するのだ。
少しずつダンジョン内が長くなり、その壁や入り口も大きさを増していく。
「つまり、このダンジョンはかなりの年いってるって事っすか?」
「そういうことかな」
猫田と俺はダンジョンの入り口を見上げた。
事は数分前に遡る。
俺がギガントやトロールたちを森ごと吹き飛ばしたせいで、馬たちが怖がってしまい動けなくなってしまったのだ。
その為、馬を落ち着かせるために一日ここで寝泊まりすることになったのだ。
だが、今回の襲撃はギーレン公爵が言っていた魔物の活性化に関連しているのではないか思った俺は、猫田を散歩に連れてくと言って二人で削られた森を調査していたのだ。
そして、俺の〈ビーム〉でできた道を歩いて数分の所に先ほど見たギガントの何倍も高いダンジョンの入り口を見つけたのだ。
グアアアアアア!
「さっきの出てきたっすよ!」
「はいはい」
ヒュン
ダンジョンから出てきたギガントの額の真ん中を〈ビーム〉で貫く。
すると後ろ向きに倒れたのだった。
「とりあえず、殴ってみるか」
〈アシュラ〉発動!
光魔法を纏い、倒れたギガントの頭にめがけて拳を振り下ろす。
だが、前情報どおり固すぎてあまりダメージが通っていないようだ。
これなら、魔法の方が効率がいいだろう。
〈ビーム〉十連発動!
〈神々の血〉を発動していない状態でもギガントの身体を光の線が貫いていった。
そして、息絶えるのだった。
後ろで隠れていた猫田がギガントの死体を見ながら出てきた。
「さっきのもここから出てきたんすかね?」
「その可能性が高いが、調査をしないと確定はできないな」
「調査っすか」
当分の間、ここが俺の仕事場になるかもしれないな。
でも、ダンジョンができたのなら管理者が国などに申請しなくてはいけない。
まずはギーレン公爵に報告しないと。
「誰かに報告を頼んで俺はここに残るか」
「なんでっすか? 一度みんなと町に行けばいいじゃないっすか」
「今まではダンジョンから出てきたこいつらは森の中に散らばってたけど、俺の〈ビーム〉で森が開けてしまった。このままだとここを通って街道に出てきてしまう。そうなると街道を通って村や町にモンスターが出現するようになれば被害は甚大になる」
「なるほどっす。なら、村に迎えに行くのもできないっすね」
「だから、シラユリは「違うっす。その話はなんとなく知ってるんで」
ん? じゃあなにの事を?
「スピレイちゃんっすよ」
「あ!!」
そういえば、村に置いてきちまった。
彼女のご飯どうしよう。
「……ま、まあ。シラユリがどうにかしてくれるだろう」
「そこで、分かれた女に頼っちゃう当たり、クズっすね」
「お願い、それ以上言わないで」
自分でも自覚してるから。
タイミングを見てギーレン公爵にお迎えをお願いしよう。
「これはスゴイですね」
冒険者のリーダーが現れて、そうつぶやいたのだった。
「かなり大きいですよね」
「はい、俺は昔もっとも古いと言われるゴロロナダンジョンに行ったことがありますが、これと同じか少し大きいくらいでした」
「なんで今まで見つからなかったんですかね?」
「それは分からないです。でも、俺の婆さんが子供のころそのまた婆さんにここは巨人の森だと伝えられていたらしいです。もしかしたらこの国ができる前からあったかもしれないです」
「ここら辺の出身なのですか?」
「はい。でも、ギーレン公爵様様からの仕事で各地を回っていたので。今回、久しぶりに帰省したのです」
さすが、地元でベテランなだけあって色々な話を知ってるな。
なら、この人から色々アドバイスをもらった方がいいだろう。
「俺はとりあえずギーレン公爵の軍が来るまでここに残るつもりですが、皆さんは?」
「こうなったら仕方ない。俺と仲間のもう一人が残ります。〈聖帝〉様も残ってくれるなら心強いです」
「俺がリリシアにギーレン公爵当ての手紙を渡しますので、えっと」
「俺はデバミだ」
「デバミ?」
「ああ、あのデバミから来てる。デバミの花が咲くころに生まれたからだそうだ」
なるほど。
厳つい顔だが可愛らしい名前だ。
「デバミさんはお仲間に冒険者ギルドの方に報告をするようにお願いしてもらってもいいでしょうか?」
「承知しました」
俺達はそれぞれやることができたので、一度ダンジョンから離れる。
だが、ダンジョンの奥から流れ出る生暖かい空気から嫌な予感がした。
「俺は無難に生きて生きたのだが」
それはもう少し後になるようだ。




