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第六十八話 せっかく異世界に来たんだから、今の幸運を噛みしめよう。

遅くなりました。

いつも読んでいただきありがとうございます。

誤字が多いですが、少しずつ直していきますのでよろしくお願いします。


「ご、ごべんだざい~!」


森を出ると後から来たガンツと合流できた。

そして、トントはガンツに拳骨を落とされて怒られながら泣くのだった。

あの後、すぐにトントは目を覚ましたので問題は無いだろう。

そして、直前に変身を解いていたのでトントには魔法少女の姿は見られていない。

そう、トントには。


「もう、生きていけない」


「今日見たものは忘れますんで。ほら、気持ちをあげてかないと!」


足元にいるコボルトの猫田がそう言って俺を慰めた。

だが、もう俺のメンタルは崩壊寸前だった。


「大事な妹にあられもない姿を見られた。もう兄としての尊厳がないにも等しい。死のう」


「ほら、シャンとしなさい!」


シラユリに背中を叩かれる。

そうだよな。

兄である俺がもっとしっかりしないと。


「元々、そんなものなかったでしょ」


「よし、死のう」


「姉さんも追い打ちかけたらダメっすよ! それに、なんで二人はこんな森にいたんですか?」


猫田の言葉にノンノ達が村を勝手に抜け出したことを思い出した。

ちゃんと理由を聞いたうえで危険な行動をしたノンノを怒らないと。

俺はノンノに目線を合わせる。


「ノンノ、なんで森なんかに入ったんだ。いつもあそこは危ないって、お兄ちゃんが言ってたのを忘れたのか?」


「覚えてる」


「じゃあなんで」


「だって、お兄ちゃん。きぞくと結婚しちゃんでしょ? やだ。お兄ちゃんは、ノンノと結婚するんだもん」


ノンノ。


「でも、きぞくとの結婚はお仕事だって、スピレイが言ってて。やだっていったら、ノンノもきぞくになればいいって。だから、ノンノ、勇者になるんだもん。勇者になればきぞくになれるんだもん」


ノンノ~。


「そしたら、お兄ちゃんと結婚でき「怒れない!」


瞳に大粒の涙を溜めるノンノを思わず抱きしめる。

こんなに俺を慕ってくれている妹を怒ることができるだろうか。

いや、出来ない。

それに、こんなに俺を好きでいてくれるなんて、今日は最高の日だ。

祝日にしよう!

こんな幸せを俺にくれるなんて、きっと神が俺にくれた贈り物に違いない。

この世界にノンノが生まれて来てくれてありがとう。


「それじゃ駄目でしょ」


シラユリは冷めた目で俺を睨む。

分かってるよ。

怒らないとダメなんだろ?

仕方ない、ここは心を鬼にして!


「め! だぞ」


「こ、いつ」


猫田が呆れたように呟く。

そして、後ろから強い視線が俺を突き刺していたのだった。


「でも、お兄ちゃん。ずっと、一緒がいい」


「そうだよな、ずっと一緒がいいよな。ならずっと一緒にいような」


いつの間にか猫田はシラユキの足もとに移っていた。


「なあ、姉さん」


「ねこたさん、でいいんだっけ?」


「はい」


「なに?」


「この兄ちゃん、重度なシスコンっすよね」


「そうね」


「嬢ちゃんは、重度なブラコンっすよね」


「そうね」


「いいんすか?」


「こんな二人に囲まれて三年も一緒に暮らしてれば、慣れるわよ」


「あの」


「なに?」


「その中にペットを一匹かってみませんか?」


「一匹だけだからね」


「あざっす」


コボルト? の猫田を加えた俺たちは村へ戻るのだった。

ノンノは疲れているようで村に着くころには俺の背中で寝ていた。

また、猫田はいかにも普通の犬を装うことで何の警戒もされず入ることができた。

そして、家に着くとノンノを部屋のベッドで寝かせると、猫田はシラユリに出されたデバミ茶を飲んでいた。


「苦くないか?」


「抹茶とか飲みなれていたので、全然平気っす」


「それで、やっぱりお前は」


「元日本人っすね」


やはりそうだったか。

魔法少女を知ってたり、コボルトなのに流ちょうに言葉を話せてるところからなんとなくそうなのではないかと思っていた。

だが、コボルトが冒険者と戦う所を見たことがある俺としてはこうやって普通に話せることに少し違和感があるのだ。


「魔物に転生してしまうなんてこともあるんすね」


「「そこそこあるよ」」


猫田の漏らした言葉に思わずシラユリと声をそろえて答えてしまう。

でも、前世では結構メージャーな内容だった。

有名どこではスライムだったり、蜘蛛だったり、ゴブリンだったり。

俺も最初は魔物への転生も覚悟してたしな。


「でも、二人とも人間に転生できたんすね」


「私は違うわよ。こう見えて、妖精なの」


「え? 妖精って、頭がお花畑とかそういう意味っすか?」


「本物よ。精霊体の私にルヴァンが肉体をくれたの」


「マジっすか! なら俺も」


「悪いけど、元々無かったり、欠けたりしたものを元に戻す能力だからコボルトの猫田に使っても」


「コボルトのままなんすね」


猫田は目に見えて肩を落としたのだった。

まあ、大変だよな。

大自然の中暮らしていくって。


「そう言えば猫田さんはどうやって今まで暮らしていたのですか?」


「森の中で仲間たちと一緒に暮らしてたんすけど、最近身の危険を感じて」


どういうことだろうか?


「俺、転生前は男だったんですけど。このコボルトの身体がメスなんすわ」


「「え?」」


「そんでもって、魔物ってこの時期洞窟とかにいくつかのグループと一緒に冬を越すんすけど、それと同時に発情期も来るんすよ。俺も今年からそういう対象に見られるように」


「なるほど」


「無理だったっす、オスが俺の股座の匂いを嗅いだり、思い出しただけでもキモいっす」


下手すれば俺もこうなっていたのか。

同性の人として生まれてこれて本当に幸運だったのだろう。


「猫田、とりあえず俺たちはお前を歓迎する。まずはゆっくりしてくれ」


「あざっす」


本当に猫田が気の毒でならなかった。










これからあとがきに次回予告を書いていきます。

次回は、とうとうあの方が村に到着。

しかし、ノンノがなんと!

次回をお楽しみに。

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