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第四十一話 せっかく異世界に来たんだから自分の道を決めなくては。

遅くなりました。

よろしくお願いします。


自分の部屋でこもっているとドアが開いた音がした。


「大丈夫?」


ミドリちゃんが俺に近づいてきて顔を覗きながら聞いてきた。

何かそんなに心配させることでもあるだろうか?


「なにがですか?」


「え、いや。今にも泣きそうな顔をしながら膝を抱えてるから」


「今はそっとしておいてほしい」


思い出すだけでも泣きそうになる。

俺は、俺は。


「どうせ、ずっと独り身なんだ」


「は?」


俺の〈まほうつかい〉の職業を思いっきり聖女二人に笑われた後、気持ちが沈んでいた。

また、テルマリリ様から「この職業をもらったという事は一生結婚できないのでのでは?」という一言から一生独り身で寂しく過ごすのではないかと、不安になってしまったのだ。

もう、どこかの魔王のように神を呪うしかないのではないだろうか?


「ひとりみって?」


「ああ、結婚はおろか恋人もいない寂しい人の事だよ」


俺がそう言うとミドリちゃんが俺の横に座ったのだ。

そして、手を握ってくれる。


「大丈夫、私がもらうから」


「え?」


「私がお婿にもらってあげるから」


ミドリちゃんは最初合った時も思ったが凛とした姿や立ち振る舞いがかっこいい。

そして、そんな言葉をかけられたら。

俺は膝に顔を隠して叫ぶ。


「~~~~~~~(惚れてまうやろ)!」


「!! ど、どうしたの!?」


「気にしないでくれ」


こんなやさしい子は初めてだ。

でも、きっとへこんでる俺を慰めるための言葉だろう。

そこは分別の効く、見た目は子供な大人だ。

俺はミドリちゃんの手を握り返して微笑む。


「ありがとう。ミドリちゃんが慰めてくれてうれしかったよ」


「どういたしまして?」


「でも、そんなやさしい言葉は本当に好きな人にのみ言ってあげなきゃだめだよ」


「!!」


「だから「バカ!!」


パンッ という乾いた音と共にじわじわと痛んでくる。

その時、俺は頬を叩かれたと理解した。


「え?」


「アルマルデ様が、呼ん、でる」


ミドリちゃんはそう言うと走って行ってしまった。

どれくらい、時間が経ったか俺は固まって動くことができなかった。

そして、俺は思い出したかのように動き出す。

フラフラとした足取りで俺はアルマルデ様に探しに行く。

そして、アルマルデ様は倉庫で何かを集めていた。


「ルヴァン! やっと、き、た ……。その頬の手形はどうしたんだい?」


「アルマルデ様、お、俺は、俺は!」


思わずアルマルデ様に抱き着いてしまう。

それをアルマルデ様はすごく嫌そうな顔をしながらも迎えてくれた。


「どうしたんだい」


「女性の気持ちが分かりません!」


「お前には無理だ。生まれ変わって出直しな」


間髪入れずにアルマルデ様はキツイお言葉で俺を殴る。


「ひ、ひどい」


「逆にちょっとやそっと教えた程度で、お前自身理解できると思ってるのかい?」


……

………

…………。


「無理ですね」


俺が女性の気持ちを理解できる未来が見えない。

それに、もし理解できたとしても、きっとその時の俺は俺でなくなってる可能性がある。

それこそ、結婚できない人種になってしまう可能性も。


「だろ?」


「はい」


「それで、なんでそんなゴブリンでも分かるようなことを聞いてきたんだい?」


「それが……」


一から説明すると、次第にアルマルデ様は頭を抱えだし、終いには俺に拳骨を落としたのだった。


「なんで、常識という部分においてお前は全くなってないんだい。お前には魔法じゃなくてコミュニケーションを教えるべきだったよ」


「すみません」


「ルヴァンを残していくのが不安になってきたよ」


「え? なんのことですか」


「ディートンに行くんだよ」


「ああ」


そう言えばそうだった。

今、王都では銀が不足している。

それをディートン領から流通してもらっているのだ。

だが、それなら。


「俺もついていくのはダメなんですか?」


「あの領主を忘れたのかい?」


「そういえば、そうですね」


俺を一方的に目の敵にしているのだった。

その目を今でも思い出すと体が思わず震える。


「そんなわけで、明日から王都を一年ほど離れる。それでお前をどうするか考えているのだが」


「はい」


「自由にしな」


「はい?」


どんな無理難題を吹っかけてくるのかと思ったら、予想の斜め上を行く言葉に理解が追い付かなかった。

だが、アルマルデ様はそんなことはお構いなしに倉庫から出ていこうとする。


「じ、自由にしろとは、どういう」


「そのまんまだよ。最初はハーキスタ領に戻して修行させようとも思ったが、お前は〈聖帝〉の職をもらっちまった。しかも、それを世間に公開した。少なくともさらおうとするやつはいるだろうし、最悪命を狙ってるやつもいるかもしれない。そんな中で一人ハーキスタ領に向かわせるのも心配でね」


「それで、王都にいろとの事ですか?」


アルマルデ様は頷いた。

でも、自由にしろというのは、今の俺には選択肢が多すぎる。


「まあ、お前は何も言わなくても努力するからなんも心配してないよ」


「はあ」


「でも、サボらないよう釘はさしときたいから、今のあんたのステータスを教えな」


「そう言えば、俺も天職をもらってからはまだ見てませんでした」


〈鑑定(人間)〉を自分に発動する。




ボルヴァ―ド・フォルトロン 10歳 介護士Lv100 / まほうつかいLv100 / 聖帝Lv1

状態:職業変化


HP 1574/1574

MP 3225/3231


筋力 1679

知力 1523

魔力 887




天恵スキル

介護 介助 配薬 救急対応 夜間行動 鑑定〈人間〉 

体術 歌唱魔法 魔法適性


通常スキル 

回復魔法Lv8 光魔法Lv6 聖魔法Lv1 リハビリテーションLv8 神々の血Lv2

調合Lv2 武術Lv7

成長促進Lv‐



「え!?」


「レベル100二つでもそんなもんかい。まあ、職業変化中だからこれからもっと上がるだろうけど」


「な、なんですか!? この職業変化って!」


「簡単な話さ。職業を戦士をもらった奴が筋骨隆々になったり、魔法使いが頭でっかちになったりするように何かしらの変化が起きるんだ。それが1レベルずつだったら、すぐに変化が起こってもそんなに問題ないが、いきなりレベルが上がると体がその変化に間に合わなっちまう。だから、ゆっくりと体とステータスがレベルに合わせて変わってく状態を職業変化っていうのさ」


なるほど。

たしかに、戦士の職業をもらって子供がガチムチになる姿はあまりにもシュールだろう。

だが、そうなると俺は何もしなくても能力が上がるのならいいのでは?


「因みに何もしないと、〈神々の血〉のスキルの時にみたいになるよ」


「たしかにスプーンを曲げないように気を付けないと」


「それにルヴァン、〈調合〉のスキルが落ちてるじゃないかい。怠けるとレベルが落ちるよ」


「はい」


自由にしてもいいとは言うが、やることは山積みのようだ。

そして、アルマルデ様の部屋の前に差し掛かった時、その人はいた。


「ルヴァンく~ん」


シューラン猊下だ。

一瞬で近寄ってきた奴をなんとかよけようとするが、アメリカンフットボールプレイヤーも目を見張るほどの完璧なタックルで俺を羽交い絞めにしたのだ。


「いや。天職をもらったばっかりなのにこんなに強くなってるなんて! 本当に君はおじいちゃんを驚かせてくれるねえ」


「猊下、おやめください」


だが、聞く耳など持たない。

アルマルデ様の眉はピクピクと小刻みに震えている。

キレる前兆だ。

だが、シューラン猊下はにっこりと笑ってアルマルデ様に向き合った。


「ルヴァンくんは私に任せて、ゆっくり出張に行っておいでね」






明日は二話更新します。

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