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WRECKTHERION(仮題)  作者: montana
132/149

悪霊ジャールトール

 敵対する前にいったん退いて作戦を練るべきでしたね。

 ですがまあ、宿敵を前に背を向けるという選択はなかったでしょうか。

 僕とて君の騎士には違いないんですからね、少しは格好いいところを見せるべきなのかもしれません。



 なんか……妙な空気になってしまったが……。

「ところでエリのことはどうするのだ? 本人の意思であるようだが、どうにもレ・ホーら、あやつらは怪しい」

 ……うん、確かに俺も引っかかってはいるんだけれど……今このタイミングでその話するの? エグいゲンコツをくらったピッカと鼻血を出しているじいさんがジトッとした目でこっちを見ているんだけれど……。

「……俺も気にはしているがな、彼女がそうしたいと判断したんだから仕方ないさ……」

「本当にそう思うのか?」

 どうなんだろうな……。というか、なんかピッカとじいさんがじりじりこっちに近づいてきているんだけれど……。

「ニューと連絡は取れるはずだし、いつでも会えるとの話だ。心配なら……少し様子を見に行こうか?」

「そう、だな……」

 しかし、お前はまだ面と向かう心の準備ができていないんだろう? エリに限ってお前を責めるなんてことなどしないと思うがな……ってピッカとじいさんが背後に回ってきた……。

「どうにもあれらは気に入らん。なるほど悪党などではなかろうが、それゆえになおさら厄介という印象を受ける。エリに悪影響が出なければよいが……」

 悪影響、か……。しかし、いったいどんな?

「ひどい娘じゃ」

「ひどい女じゃ」

 彼女らはこれまで幾度も俺たちを助けてくれたし、味方といっていいだろう。だが……そうだな、黒い聖女という一面がやはり引っかかる、か……。

「爪がな、グサーって、ワッシーじゃなきゃもっと深ーく刺さって大惨事だったろうな」

「ゲンコツがな、グシャーって、わらわじゃなきゃ脳が挫傷するアレになって大事になっとったわいな」

 黒い聖女……。ブラックサンの肥大化を止めるためにか悪の研究をしており、実際に可能なのか不明だが、紛争の火種を撒いていたとかいう話もあったな……。

「そもそもなんで殴るんじゃ、ワッシーなんもしとらんのに」

「まっことそうじゃ、なんで殴るんじゃ、わらわだってなんもしとらんのに」

 しかし、エリにしたってちょっとくらい相談してくれてもよかったのにな……。俺ってそんなに頼り甲斐ないのかな……。

「そうじゃ、わらわが鼻血を止めてしんぜよう」

「もう止まっとるが、治癒するならしとくれい」

 ああそうか、いっつも彼女の鳥に守られていたんだし、そういう評価を受けても仕方がないのかもしれないな……。 

「わらわの癒し水玉は体の内外に細かく浸透し、瞬く間に治癒してくれる優れものじゃ! にょほほ、真言院の弟子どもはこれすらなかなか難しいというから困ったもんじゃのう」

 いや、だからってまったく相談なしってのもなぁ……。これまで一緒にやってきた仲間なんだし……。

「見よ、これが癒し水玉じゃ! これを出しておけば近くの怪我人を自動で癒す優れものなんじゃ」

 でも、俺とて誰かに相談したりするのは苦手だしな……って、あの二人、さっきから何をやっているんだ? なんか水の球体が宙に浮かんでおり……一部が蛇みたいに伸びて……じいさんの鼻先にくっついた?

「あぶっ? うむむ、ぶぶぶぶ……!」

 鼻の穴を治癒しているのか……ってなんか口から水が出てきた……!

「なんがずごいぎおいでみじゅがばいってぐるんじゃご!」

 おおう、口から出てくる水の量が増えてきた、豪華な風呂にあるライオンの蛇口みたい!

「あぶばあああああっ……!」

 いやもう蛇口どころかもはや滝! えらい勢いで水が出まくっちゃっている……!

「あはははは! 超わろ転げるんじゃけど!」

 いや笑い事じゃ……って、あはは! なんか虹が出てきた!

「あぶぁあああああ!」

「いひひひひひ!」

「ぢょど、ごれイギでぎんじゃぶぶぶぶうぅ!」

 ああっ、あはは! さすがにヤバくないかあれっ?

「ピ、ピッカ、じいさん息できてねーからっ!」

「あはははははは!」

 いやいや、笑えるけれど笑いごとじゃない、溺れちゃっているから! ピッカは笑い転げていて止めるのを忘れちまっている!

「じっ、じいさん!」

「むぐぶぶ! ぶぶ……! くぁああああつ……」

 じいさんが眼前でゆっくりと手を合わせる……と同時に水の球体が地面に落下し……ただの水たまりになった……。

「むおっ? なんじゃ!」ピッカは目を丸くする「かき消しおったじゃと?」

 じいさんは深くうなる……。

「……秋の空、止むに止まれず、カオスパワー」

「なんで俳句なんじゃ」

 しかしっ、このぐちゃぐちゃの気配は……! じいさんが合わせた掌底を開くと、そこには漆黒よりも黒い何かが……!

「そっ、それはまさか……!」

「ほう……これが見えるか、我がデッシーよ……」

「み、見える……弟子じゃないけれど……」

「これはいわば、擬似ブラックサンじゃ、我がデッシーよ……」

「擬似、ブラックサン……。弟子じゃないけれどな……」

「どういうわけか、キワマラズとブラックサンは妙に相性がよい……。とはいえ発動したこれをどうすればよいのか、このワッシーにも分からぬのだ、我がデッシーよ……」

「マジかよ、大丈夫なのかじいさん? あと弟子じゃないっつってんだろ」

「うむ、すぐに消えるからの。しかしそれまでは下手に動けんのだ、我がデッシッシーよ……」

「そう、なのか……。デッシッシーって何だよ」

 とかいっている間に……擬似ブラックサンは消えた、な……。

「ふう、クソヤバじゃのう……」じいさんはうなる「カオスフィールドは危険じゃ、ワッシーはまだ大丈夫じゃが、お前たちはそうともいかん」

「しかしじいさん……なんでまたそんな技を会得したんだい……?」

「なぜかキワマラズと感応するのじゃ、望んで手に入れた力じゃないわい、あんな危ないもん」

「だが奴らは……それを武器にする」

「それは正確じゃないのう。しかし、実際的にはそうなっておるな」

 正確ではない? ……っと、なんかピッカがすごい勢いで俺の後ろに隠れてきたっ?

「どど、どうにかせんか!」

 いつの間にかピッカがいたところに黒エリの姿が……。

「なに、溺死しそうだったのでな、一撃を見舞えば水も止まるかと思ったのだ」

「おまけにわらわの生命活動も止まるわい!」

「今度はもっと手加減してやる」

「なんで当然のように殴るんじゃ、凶暴じゃ、猛獣じゃ、おんしもああいう女はやめとくんじゃぞ、わらわの眷属になった方が億倍マシじゃマッ……」

 うおっ! 一瞬で黒エリが背後にっ……!

「……ママッ、マーマママ、マッコウクジラじゃあー?」

 なぜか水でクジラが形づくられ……ピッカは次にフェリクスの方へと逃げていった。

「……すっかり怯えているじゃないか。やめとけよ、相手はまだ子供だろう」

「だからこそ躾が必要なのだろう」

「とはいえ、頭をへこますほどのことはしていないだろう?」

「……そうだな、あれは加減を誤ったと反省しているよ」

 というかニプリャで思い出したわ、ターン・コーナーだ。そろそろ何か掴んだんじゃないか? グゥーとていつでも足を貸してくれるわけじゃない、今のうちにまたあそこへ行っておくべきだろう。約束の土産を持参してな。

「ようフェリクス、例の件だが……」

 聞くとフェリクスは大きく頷き、

「ああー、そういう話もあったねー」

 いやいやお前たちの問題だろ、忘れてんじゃないよ。

「ギャロップなくしてあそこへ行くのは難しいからな、今ぐらいしか再訪問できないぞ」

「じゃあ行こうか!」

「よしグゥー、ちょっと行きたい場所があるんだけれど」

 行き先を話すとグゥーはあからさまに眉をひそめる。

「あそこかぁ、おかしな場所だよな……っつーか、お前のあれ、なんで俺の馬を持ち上げたの……?」

「何のあれか知らんが、まあ少し様子が変ではあるな」

「お前、またやったらもーどこにも連れてかねーからな……!」

「ご、ごめん……」うーん、俺のせいなのか……?「それはそうと、パムが好きそうな土産ってなんかある?」

「パムゥ? あのじいさん?」

「いや、行き先で会う男がパムなんだ」

「ふーん、肉とか干し肉とかレトルト肉じゃねぇ?」

 肉かぁ……。あんなところで一人旅をしているんだ、食料は自分で調達できるだろうし、無理に手伝ってもらっているお礼としては少し弱いかもしれんな……。

「じゃあ、ちょっと肉料理もらっていい?」

「いいけど……あっ、もっといいもんあるぜ! ついてこいよ」

 ギャロップに乗り込むなり、グゥーは何やら後部に積まれている箱を探り始めるが……。

「あーこれこれ!」

 出てきたのは……折り畳まれた、紙? ……と、なんかギャロップのドアが閉じられる。

「なんだ、出発はまだ待ってくれよ。まだメンツが揃っていないんだ」

「違う違う、いいか……」

 うん? 紙を開くと発光し始め……? なっ、なんか半裸なパムの女が現れたっ……? そして音楽とともに艶かしいダンスを始める……!

「こっ、これはっ!」

「あんなところにいる男なんてな、こういうもんが絶対に必要になるはずだぜ……!」

 たっ、確かに、こいつはいい土産になるかもしれん……!

 しかし……。

 なんというか、なるほど……?

「……なあグゥー、パムって全身に毛が生えているけれど、こう、ツルッとした感じの部分とフサッとした感じの部分が綺麗に分かれているのって……つまりはファッション?」

「そうだよ。髪と首と手首をフサッとさせるのがよくあるタイプだが、流行や部族でいろいろとスタイルがあるらしい」

「そうか……。あと、尻尾あるんだな……!」

「パムとウォルにはあるな。戦闘を想定してる場合には隠すことも多いけどな。掴まれると不利だし。逆に隠し武器を装着してる場合もある」

 なるほど、どうりで見たことがないわけだ。

「これ、何をしているのだ?」

 うおっ、黒エリか! ドアが叩かれている……!

「なんだその妙な音楽は?」

「ググ、グゥー!」

「おおうっ」

 映像を出す紙は畳まれ、グゥーがドアを開く……と、黒エリが乗り込んできた……。

「ど、どうかしたのか……?」

 黒エリは眉をひそめ、

「それはこちらのセリフだ。ドアに鍵をかけ、いそいそと閉じこもっていたのはなぜだ?」

「いや、別に……」

「グの字が持っているそれはなんだ?」

 グの字って……。

「これ? 土産だってよ。レクがぜひにってさ」

 いや、そこはかとなく俺におっ被せる感じやめてくんねぇ? 黒エリはじっとこちらを見つめてくる……。

「しかし妙な雰囲気を感じるが? 何かあったのではないか?」

「いいいや、別に、なぁグゥー?」

「さああ?」

 グゥーは口笛を吹き始める……。

「……推測一、何らかの秘密情報を得た可能性。推測二、実害のある光学情報を植えつけられた可能性。そして推測三、いかがわしい映像を楽しんでいた可能性……」

 ぬうう、こうなったら……!

「まあ、三だけれど!」素直が一番だな!「これから会うパムの男への土産として、卑猥な内容の映像をプレゼントしようと思ったんだ!」

「ほう……」

「男の一人旅、癒しが必要なときもあると思うんだよ!」

「ほう……」

「しかもその男、ニプリャと同じ黒いパムなんだ!」

「それがどうした?」

 どうしたって聞かれても……。

 まあ、どうもしていないけれど……?

「……なんだよ! いいじゃねーか別にちょっとくらい観たってさぁ!」

「そうだそうだ!」グゥーの加勢だ「そもそもかんけーねーだろー!」

「ああ、そうそう、怒る筋合いねーよなーっ?」

「あるってんならレクのためにこれやれんのかよーっ!」

 そういって、紙を開きやがった……!

 じゃらららーんと、またパムの女が艶めかしく踊り出す……。

「ナナッ、ナニヤッテンノオマエッ?」

 グゥーのやつ、なんかしてやったりの顔だがっ! 頭を鷲掴みにされっ、引っ張られていく……!

「いだだだだだっ! レレ、レク! 助けてくれぇえええっ……!」

 じ、自業自得じゃねぇのとは思うが……!

「やめろって、そいつは生身もいいところなんだからっ……!」

 ……って、グゥーごと振りかぶったぁああっ!

 その腕力でぶん投げるつもりかっ? マジで死んじまうぞっ!

「おいおいおい黒エリッ!」

「いっぺん死んでこい」

 マジッ……投げたっ……? とんでもない速さでグゥーがっ……! いや、じいさんが落下地点にいる、ぶつかるぅううーところでグゥーが消えたっ?

「やれやれ、ワッシーが助けんかったらどうするつもりなんじゃ……」

 グゥーは、いつの間にか上空にいるっ……?

 そして、落下してくる!

「うええええええぇえええっ……!」

 その落下地点にまたもじいさんが……! 今度は横に受け流したっ……?

「いよおおおおおおおぅっ……?」

 グゥーが真横にすっ飛んでいき……!

 森の中へと消えた……。

「うおおいっ、グゥウウウーッ?」

 ヤバい、追いかけないと……どこへ飛んでいった……? いや、足音がっ? おお、グゥーが走ってくる、無事だったか……って、その背後からは白く丸く馬鹿でっかい毛玉がっ? 弾みながら追ってきているっ……?

「おおっ? 獣か!」

「任せとけぃ」

 じいさんだ、毛玉に立ち阻み……おおおっ、また吹っ飛ばした、受け流したぞ! 謎の毛玉は森の奥へとすっ飛んでいく……!

「にゅふふふう、力は流れるものよのう!」

 なんかアレなじいさんだが、実力は流石といわざるを得ない! そしてグゥーは、へろへろとへたり込み……。

「ああっ! あああっ!」なんか叫び始めた「あああ! ああ!」

 まあ、怖かったんだろうな……。

「見たかいの。我がホイホイ流ポイポイ拳をな」じいさんはにんまりとする「というわけでデッシーになりたくなったじゃろう? にゅふふ!」

 ううん……確かにその受け流しの技はちょっと魅力的かもしれないが……。

「いやまあ、めんどくさいからいいよ」

「にゅぐぐ!」爺さんは目を大きくする「なんでじゃよう! カムドに頼まれてわざわざ来てやったというのに!」

 なにっ……カムドだとぉ、そっち方面かよ!

 だが、なぜ奴がそんなことを……?

「じいさんカムドの仲間なの? だったらいよいよ嫌だな」

「仲間っつーか腐れ縁じゃなぁ。ワッシーのデッシーが奴んとこに行ったからお詫びに新しいデッシッシーをやるとな」

 なんだそりゃあ? 勝手に決めんなよ!

「……俺は聞いていないし、悪いが断るよ」

「嫌じゃ、それも断る!」

「……なんだそれ? とにかく断る!」

「断るのを断る!」

「あんたの弟子にはならん……!」

「ワッシーだってお前のデッシーにはならん!」

 ダメだこりゃ、話が通じねぇ……。

 しかし実力行使でお帰り願うのも困難だろうし……。

「そもそもじゃ、なんでマントリアルはよくてワッシーは嫌なんじゃ! ジジイだからか? お前もいつかジジイになるんじゃ! いや、なる前に死ぬか? キワマラズを手にすれば中央も余裕じゃろうにのう、にゅふふふふう……!」

 ……中央すらも?

「それは、本当かい……?」

「ワッシー、奥地を根城にしとるもん。分かるか? ジジイになってなお、中央の奥で暮らせておるのがワッシーなんじゃ。本当にいいのかのう、このチャンスを棒に振って……」

 ぐうう……!

 しかし、そんな修行をしていて俺の冒険はいつできるようになるんだよ……。

「……その修行ってどれだけかかるの? 具体的にどうやんの……?」

「基礎修行を淡々とこなしつつ、ワッシーのカオスフィールドで生き残りのサバイバルって感じじゃな。どのくらいかかるかはお前次第じゃ!」

 カオスを呼ぶ……。

「そういやじいさんの弟子の、でっかいウォルがカオスパワーっていっていたけれど……」

「むうう、あやつは特に優れておったからな……。キワマラズこそ習得してはおらんはずじゃが、どういうものかは理解していた節がある。独自の進化をしておっても不思議はないのう」

「そもそも何なんだあれって? 周囲を巻き込んでアイテール術を使えなくするみたいだけれど……」

「アイテールは断固として望まなければその力を発揮できん……とでもいっておったんじゃろう」

「ああ、そう」

「しかし、それは正確ではない。いずれにせよ思い込みが重要であるからな、ワッシーが方便として一応の説明を与えただけじゃ。実際的にはアイテールは万物に浸透しており逃れる術はない」

「ない……」

「そして魔術だけではなく、ありとあらゆる力の発揮を阻害することは可能である」

「まさか、オールドレリックすらも奴らに通じない可能性が?」

「うむ。通じるとしているところは多いが、軽視じゃとワッシーは睨んでおる」

 通じない可能性はある、か……。

 そうなると正直、手詰まりだな……。

「それで、奴らは自身の格闘術とその力を使ってウォルに牙を剥いたと……」

「それは違うのう! あやつらはさらなる逆境を望むあまり特殊な力を手に入れてしまったという方が正確じゃ! 潜在的に窮地を望み、それを身ひとつで超越することに幸福を抱いておるのじゃな!」

「なんだって? そんな馬鹿な……」

 願望の成就ではなく、あえて逆境を望むだと? それが結果的に魔術を阻害する威力に進化したとでも……?

「表層はどうあれ、あやつらの拳は壊したい、殺したいという境地を超越しつつあるとワッシーは考えておる! かなしいことじゃが無意識的に望むは生来よりその身に降り注いだ不幸なる環境よ! そしてあやつらはそれに耐え、それ以外の者は耐えられん、つまりはそういうことじゃあないのかのう!」

「なに? じゃあ、ウォルの首都を襲撃するとかいうあれは何なんだっ?」

「恐るべき矛盾よな! 成功を望みつつも失敗を信仰しておる! 矛盾はアイテールにおいてよいことなどほとんどないが、稀に恐るべき力に変貌することがあるゆえ、大いに懸念するべきかもしれんのう!」

「なにぃ? じゃあ、つまりは何が目的なんだよっ?」

「自己表現じゃ! 類稀なる豪胆さ、そしてかなしさよのう……!」

 かなしい、か……。

 極東の国では愛しいと書いてかなしいと読むという。そしてかなしいは哀しいと音が同じだとも……。

「……じいさんは、あいつらを助けたいんだな……」

「くだらん! 我が流派は……そのような感情を弱さと断ずる……」

 しかし、じいさんはそこで黙してしまった……。

「よく分からんが、手を貸してやってはどうだ?」黒エリだ「当初はわけのわからん老人と思ったが、どうにもそれだけではないらしい」

 そう、だな……。

「ああ、俺も奴らには興味があるし、ウォルには納得できない一面もあると知った。少しは協力できるかもな……」

 ……って、突如としてじいさんの目が輝く!

「じゃあワッシーのデッシーになるかっ?」

「いや、それはちょっとヤダ……」

「ヤダってなんじゃー! もおおう!」

 なんかすごい速さでバク転し始めるが……いいや、放っておこう。

「それで、ゆくのか?」黒エリだ「ゆくのならさっさとしよう」

 ああ……そうだったな。

「よしじゃあフェリクス、皇帝を連れてきてくれ」

「うん、わかったよー」

 そうしてフェリクスは走り去り……ややして皇帝とサラマンダーに加えて……シフォールも連れてきているが……?

「……ええと、こいつもいいの?」

「私は賛同しかねるが……」サラマンダーはうなる「陛下がよいというのであるからやむを得まい……」

 そこでシフォールは肩をすくめ、

「行動を起こすならばすでにやってますよ。あなた方と合流する前にね」

 たしかにそうだろうがな……。

 しっかし、こいつらの関係はマジでどうなってんだよ。けっきょくのところ、フェリクスがすぐ受け入れちまうから皇帝だって同調しちまうんじゃないのか……?

「まあ、じゃあ、行くか……。グゥー、頼めるか?」

「……はいよぉ」

 そしてギャロップに乗り込むが、なんかさも当然のようにじいさんとピッカも乗ってくる。

「おい、二人も行くのか?」

「なんじゃ、ええじゃろ」

「いいけれど……遊びに行くんじゃないんだぞ」

「それはわらわたちが決めることじゃ! のう?」

「うむ!」

 こっちはこっちで厄介な二人が同調し始めたな……。

「とにかく、ちゃんということ聞いてくれよ。好き勝手やって迷子になられても困るんだからな」

「にょほほほ、子供扱いしよるわ!」

「お前は普通に子供じゃろう」

「ち、ちゃうわい、わらわはもう立派な大人じゃ!」

 アリャと比べてすら大人とは思えんな……。

 ややしてギャロップは飛び立ち、車内で各々は好きな時間を過ごすが……こうして見ていると関係が分かってくるな。

 じいさんとピッカは仲良く映画を観ているし、皇帝はフェリクスとシフォールに挟まれて何か話をしており、サラマンダーはどこか面白くなさそうな顔、そして黒エリは……またニプリャの姿に変身して、さっきから俺のジャケットを静かに爪でカリカリしているが……あの、破かないでね……?

 さて……そんなこんなでまた見えてきた沈黙都市……。相変わらずの雰囲気だな、霧が濃くひと気もまるでない感じ……。

 ……それにしても、彼はこんなところにいて寂しくないんだろうか? まあ、安全という意味じゃ住処として悪くないのかもしれないが……。

「おいレク、どの辺に降りればいい?」

「ああ、あの……高いビルの辺りだな。それで降ろしたあと、一応、どこかの屋上にでも停めといた方がいいぜ」

「ここってヤバい感じある?」

「用心はした方がいいとは思うが……なんともいえん」

「変な雰囲気の場所だぜ……」

 そしてギャロップが道端に着陸し……ドアが開く。

 ……うーん、まるで襲いかかってくるかのような静けさだな。耳が痛いほどに都市は何の音も発していない。

「さて……と、そうだグゥー、護衛が必要か?」

「わかんね。どう思う?」

「じゃあワッシーがいてやるわい」じいさんだ「ちょっと続きが気になりまくるんでな」

 意外というわけでもないが、映画好きなのな。

「よし、じゃあ待っていてくれ。なんかあったら連絡するから」

「おう、さっさと終わらせろや」

 グゥーはこの件に関し、なんにも尋ねてこないな。まあ外界の帝国とかその歴史とか、あいつからしてみりゃ田舎の国の出来事に過ぎんだろうし、俺にしたってあくまでフェリクスが気にするから手伝っているだけだしな。

「じゃあ、行くかい。念を押しておくがシフォール……」

「少しは信用してくださいよ」シフォールは肩をすくめる「あなたには借りもありますし、ここで下手な真似はしませんって」

「借り……?」

「ルドリック・ルーザーウィナーを始末してくださったそうで、手間が省けましたから」

「……ああ、まあな」

 そういやこいつ、奴を狙っていたな。旧元老の差し金か何かだろう。

「しかし、あの巨大兵器の内部まで追っていったとは、あなたも常識人のようでいて相当にキてますね。ああ、褒め言葉ですよ、はっはは」

「好きにいえよ……」

 しかし……そう、後悔などないが、俺はあんな状況で、どうして奴を倒しに行ったのだろう……? 脱出すら拒んで……。

 義憤、あるいは憎悪……? まあ、そうともいえるかもしれないが、しかし、それだけでは到底説明のできない行為ではなかったか。思想も使命もないただの冒険者があんな状況下でさらなる危険に飛び込むなど……正気の沙汰ではない。

 わからない、どうして俺は、あのとき……。

「どうしたのだ?」黒エリだ「先にゆけ、道を知っているのはあなたなのだからな」

「あ、ああ……」

 なんで唐突にあなた呼び……? 黒エリはニプリャの姿のまま、というかいつの間にか俺のジャケットの二の腕部分がボロボロになっているし……! お前、無闇にカリカリし過ぎなんだよ……!

「おいっ、おい!」

 えっ……何だ……って、おおっ? なんか物陰よりターン・コーナーが現れた!

「あっ……ああ、会いに来たよ。進捗はどうだい?」

 コーナーはこちらにやってくるなりため息をつき、

「よくない、というより解析は思いのほか捗ったが、完了寸前で邪魔が入った。あの部屋はいま、占拠されている」

「……なんだって? いったいどこの勢力に?」

「いや、個人らしい。不気味な輩だったので接触前に離脱した。その後、奴はあの部屋から動いていないようだ。お前たちが去って三日後のことだったよ」

「個人……」

「続けて欲しいなら排除するんだな。俺は関わらない」

「ああ……もちろん、余計なリスクは負わなくていい。しかしそうか……そんなことがな」

「なにっ、あんた……?」ふと、コーナーが黒エリを凝視する「いや、まさか……?」

「なんだ?」黒エリはうなる「私には覚えなどないが」

「いや、他人の空似、か……?」コーナーはうなる「二十年近くも前だしな……」

「知った顔なのか?」

「ああ、俺がガキの頃……会ったことがある、ような……」

 まあ、ニプリャと面識があったとしてもおかしくはなさそうだが……。

「というかお前、いつまでその姿でいるんだ?」

「いいだろう、別に」黒エリは鼻を鳴らす「気に入っているんだ」

 うーん、まあ、抵抗感がないことはむしろいいことかもしれないがな……と、そうだ。忘れないうちに渡しておこう。

「そうそう、これ、約束の土産だよ」

「うん? ああ……イメージシートか」

「ひとりきりのときに開いて楽しんでくれ」

「なぜだ?」

 あっ、なんかごく自然にコーナーが紙を開いちゃった……!

 あわわ、また例の映像が……流れ始めたし……。

 そして……なんか俺に視線が集まる……。

「さて」コーナーは閉じて懐に仕舞う「例のビルはこの先だ」

 そして、みんな進んでいくが……あれっ、これといって反応なしですか? そういうの一番キツいと思うんですけれどよ……?

「お、おおい、待ってくれよ……!」

 そんなこんなでやってきた、また例のビルだ。なるほど上の方に気配があるな。しかもえらく嫌な感じの……。

「それにしてもこのタイミングであの部屋に現れるとは……情報がどこからか伝わったのか」

「目的は三種類かあるいはその組み合わせだな」黒エリだ「情報の収集、抹消、そして待ち伏せ」

「三つ目の要素が含まれていると厄介だな……」

「閉所での戦闘になるかもしれません」シフォールだ「罠があるかも。アンヴェラーは後ろからついてくるんだよ」

「違う、貴様が私を基軸に動くのだ」

 この建物は階段にせよ廊下にせよあまり幅広くはない。この人数で固まっていると閉所での戦闘が不利に働くかもしれないな。

「さて、そろそろ九階か……」

 階段を上り切り、廊下へと出る。この先に……っと!

「……うっ!」

 あそこは例の部屋だろう、そのドアがゆっくりと開いた……!

 そして……なにぃいいっ? あいつはまさか、どうしてここにっ……? 捕まっていたはずだが……!

「あ、あれは……」シフォールもあからさまに嫌そうな顔をする「アンヴェラー、さがって……!」

 男は近づいてくる……が、やや妙な装いだな、鎧の上にジャケットを着ているのか……。

「おやおや、私の盟友を殺してくれたらしい……ええと、まあよい。奴らとて烏合の衆よ、かの帝国の礎を築いた王に仕えし七剣士の筆頭たる、この私にはふさわしくなかったのだからね」

 こんなところで栄光の騎士だと……? 奴もまた、帝国と関わりがあるってのか……?

「……あんた、なぜこんなところに?」

「それは私の方が聞きたい。なぜ貴様らのような平民がこんなところにいるのか」

「私こそが正当なる後継者だからだ」おっと皇帝だ「退くのは貴様の方だな、速やかに失せよ」

「ああ、そうか、そうだったな」栄光の騎士は頷く「生き残りがいたのだったか」

「貴様は何者だ? 帝国と何の関わりがある?」

「私こそが皇帝の血筋だからだよ」

 なにぃ? こいつが……? 皇帝は眉をひそめ、

「馬鹿な、貴様の名はっ……?」

「アンヴェラー・アルシス・イグナート」

「ダッ、ダブルエー・イグナートだとっ?」皇帝は仰け反る「そんな馬鹿な、百年以上も前に没したはずだ……!」

 アンヴェラー・アルシスの頭文字からダブルエー、か。

 それより栄光の騎士が皇帝の祖先だと……?

 だが奴は……。

「アンヴェラー」シフォールだ「ここはいったん……」

「この私こそが七聖剣の一人であり、現皇帝である。貴様らは偽物の、歪んだ血筋の末裔なのだ。そう、最悪の裏切り者たるマハトゥ・ジャールトールのな!」

「ば、馬鹿な……」

 皇帝は狼狽し、その背をサラマンダーが預かる。その姿を見て栄光の騎士は何やら得意げだが……。

「しかし、イジグヤットに皆殺しにされ今は貴様のみということらしいな。なるほど、物事の帳尻は合うものだ」

「そうかな!」

 おっと、サラマンダーが前に出て奴の眼前に立った。

「貴様こそ偽者であろう! 栄光の騎士を騙る稀代の痴れ者めが!」

「あの、サラマンダー」またシフォールだ「ここは……」

「奇妙であろう、貴様はこの陛下がマハトゥの血筋だと嘲けるが、もしそうならばなぜ肝心たるマハトゥの名を継いでおらんのだ。万一、奴が皇帝として認められたとして、いや、なればこそ、その名が継承されていないとならぬはず!」

「奴は複雑怪奇な性格だったからな……。私たちに強い憧れを抱いていたのだろう……いや、そもそも皇帝たちは血の繋がりがなくとも名を継承していたと思う。ダブルエーがフェルガノンを継いだのだから間違いない。そう、貴様は確か五世だったな?」

 思う、って何だよ。それにダブルエーとやらはお前のはずだろう……。

 まさかこいつこそが……。

 サラマンダーは栄光の騎士の眼前に指を突き出し、

「そもそもの話をするならば、マハトゥは皇帝にはなれん。血の繋がりがないからな。先に万が一と表現したのはそのためだ。つまり、ダブルエー・イグナートはフェルガノンの血筋なのだ!」

「なにっ……?」

 栄光の騎士が目を見開く……!

「知らなかったのか? 正妻の子ではなかったがゆえに隠されていたがな。しかしマハトゥは違う。仮にフェルガノンの名を継ごうとしたとて、家臣たちが納得などしなかったろうよ!」

「ぬううっ……!」

 今度は栄光の騎士が狼狽し始める……。

「加えて、マハトゥの謀略は事実だが、栄光の騎士たるダブルエーがそれを見抜き、奴を崖へと追い詰め、そして打ち倒したとされている。だからこそ皇帝の血筋は途絶えることなどなく、こうして脈々と続いているのだ」

 栄光の騎士が……震え出す……。

「おおー!」ピッカだ「わかったわいな、こやつがマハトゥ・ジャールトールなんじゃないかの!」

 ああ、いっちゃった……。

「聞いたことあるわい、なんか栄光の騎士と名乗るド阿呆がおってな、わけのわからん妄言を垂れ流してはときおり暴れ狂っておると! それでな、そやつはなんか百数十年くらいそんなことを繰り返しておるらしいんじゃ!」

 たしかに、あの図鑑にも裏切り者とか百年以上生きているとかあったな……。

 サラマンダーはうなり、

「むう、マハトゥ・ジャールトールは呪いの鎧を見にまとい、悪霊となったという伝承があり……帝国の斜陽を陰から後押ししていたなどという話もあるが……」

「謀略に失敗した挙句に退治された悪党じゃ! そんで逆恨みし、ずっと帝国の足を引っ張っておったんじゃろうよう!」

「……まれ」

「にょほほう、やーい、図星じゃろう!」

「黙れ……」

「まさか悪霊ジャールトールがまだ生きていたとは」皇帝はうなる「いや、呪われし背徳者ジャールトールか……!」

「黙れ……!」

「ああ、カタヴァンクラーのところで見たあれか」黒エリは今頃に思い出したらしい「つまりは敵だな」

「そうだ!」皇帝だ「こやつは我々の宿敵といえる!」

「あーあ」シフォールは天井を見上げる「これは面倒ですよ……」

「稀代の裏切り者、ジャールトールめ! ここで会ったが百年目、我らが血脈の宿敵をいざ滅さん!」

「にょほほ! ボコボコボコンの……」

「だっまァアアアアアアアアアアアアッ! レーレレイイイイィイイイイイァアアアアアーアアッ!」

 うわっ、びっくりした……!

「……なにをななに、なにをわけのわからんことここ、こここ、こーこここ……ここっここ……」

「なんじゃ、コケッコッコーかの?」

「……ころすぅウウウウーウウッ!」

 おっと腰の剣に手をかけた、瞬間、サラマンダーが構える!

「かあっ!」

 爆熱がっ、余波が、あっちちち! しかし栄光の騎士は火だるまだ、さっきの威勢はどこへやら、悲鳴を上げながら背を向け走り出しっ、廊下の突き当たりを右へ、姿を消した……!

「逃すか、灼き尽くして……」

 あれっ? 黒エリの手刀がサラマンダーの頭に……! 彼はその場に崩れ落ちる……。

「これ、閉所で爆熱を放つな、酸欠になったらどうする」

「ぬ、ぬう……」さすがに手加減したのかピッカのようにはなっていないらしい「す、すまぬ……」

「加えて火事にでもなったら厄介だ。レク、火傷していないか?」

「えっ? あ、ああ……」

 なんか妙に優しいな……?

「ま、まあ、大丈夫だよ。それより……」

「いいですか」シフォールだ「あれを殺す手段は見つかっていません。ちょっと面倒ですよ」

 そうなんだよな……って、奴が突き当たり右から姿を現しっ……? なんかえらい勢いで走ってくるぅ……!

「あああっ! 殺す殺す殺すっすう!」

「はあ、僕もまだ騎士のつもりですしね」

 栄光の欠片も見えない騎士がすっごい大きく振りかぶって……渾身らしい一撃をかまそうとするが、それをシフォールはひらりとかわし一瞬の五連撃! 奴を吹っ飛ばし、倒れたところに追撃だ、容赦なく剣が幾度も振り下ろされる……!

「このようにっ、戦闘力そのものは大したことはありませんがっ、攻撃の手を緩めるとすぐに再生しっ、延々と追い続けっ、ついには相手を倒すのがっ、この男が超危険個体と呼ばれるゆえんっ、だそうですっ!」

 おお……何やら見たくもない有様だが……いや、確か、動いていないときは硬質化するんだったか? 途中からまったく効いていないような……って、奴が突如として立ち上がり、また背を向け逃げ出した……! 廊下突き当たりを今度は左折して姿を消し……たと思ったら、向こうから半身を乗り出してこちらを睨む……。

「ぎじゃまら、ジャブルェェの、ごのえが……」

 うええ、顔がぐちゃぐちゃだが……異様な速さで修復されていく……!

「ぞうか、ぞしてぎざま、ぎゃつの子孫か……美じいな! ごの手でなぶり、醜い肉塊にしてやるぁああ……はははははははっ……!」

 そして奴はまた奥へと引っ込む……。

 なるほど、さっそく長期戦の構えか……。

「さあて、どうしますか? 撃退は難しくありませんが奴は死なず、どこまでも追ってくるでしょう。作戦を考えなくては」

「再生するとはいえ限界があるはずだが……」サラマンダーだ「あの硬質化は厄介だな」

「なにより、部屋で作業をする必要があるのだろう?」黒エリはため息をつく「いずれにせよ、籠城しつつ情報解析をせねばなるまい。そうではないか、レク?」

 そうだなぁ……。

「ああ……頼めるかい? コーナー」

「ちっ、ここで離脱したとしても、あの不気味な野郎に狙われるかもしれないからな……」彼はうなる「責任もって奴をどうにかしろよ」

「当然だ」皇帝だ「奴は確実に滅する」

 でもお前が戦うわけじゃないじゃん……。

「ともかく例の部屋へと行こうか……」

 ……くそう、また余計な厄介ごとだよ。

 俺は基本的に関係ないってのによう……。

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