俺たちの目的を忘れるなよ
お久しぶりです、5章です。
三々五々の学生たちが、正門に吸い込まれていく。
そんな様子を、俺は、メイネと、東堂さんと共に、遠くの木の陰から見ていた。
と、いうのも。
「あっ、いた。やっぱり、当たりだ」
俺はヒソヒソ声で、二人にそう報告する。俺が小さく指差した先には、明るめの茶髪で、深い緑のシャツを着た大学生がいた。
「一回しか会ってないけど、たぶんアイツだ」
あくびをしながら大学構内に入っていく男はまさしく、あのとき箱根さんたちを脅していた、戸積という男だ。
二階堂鏡子に戸積の学生証は取られてしまったが、正門前を地道に見張っていれば戸積に会えるはず。
そんな俺の予感は見事に当たりで、朝から見張ること2時間半。日が高くなってきた頃、戸積は現れた。
「よしよし、アイツには、色々聞きたいことがあるんだ……」
なぜか俺のことを知っていて、教主様とやらを崇めているっぽいが、その教主とやらは、二階堂鏡子のことではないらしい。
今の俺は、前世の記憶がない。メイネのことを守るには、きっと、前世のことを知る必要がある。
あるんだけど。
俺は振り返って彼女を見た。
「メイネ、メイネは、家にいてほしいんだけど」
すると、メイネは、少し怒ったように眉を吊り上げて、両腕でバツを作った。
「仲間外れはダメですよ佳太さんっ。一人だけ危ないことをするのは、ダメです。悪い癖ですよ」
「そうだよ佳太君。学校休んで、西村君が心配してたよ。九条先生も」
「うぐっ」
なんにも言わずに高校を休んだから、当然東堂さんにもバレてしまった。メイネは自宅から、東堂さんは、少し前から合流したのだ。
「ち、ちなみに、二階堂はなんか反応してたか?」
俺から学生証を奪った二階堂は、俺に、この件に関わってほしくないみたいだった。だから無断で高校を休んだのだが。
「それがね」
東堂さんは肩をすくめた。
「実はあの女も、学校、休んでるんだよ」
「こ、こんにちはぁ」
大学生が私服だからバレないとはいっても、やっぱり緊張する。警備員に挨拶すると、挨拶が返ってきてホッとした。
「佳太君、胸張って」
「わ、わかった」
済ました顔の東堂さんは、元から大人びているからか、大学の景色によく馴染んでいる。
反対に。
「佳太さんっ、学食、学食に行きましょう! 美味しいものを食べたいです!」
おのぼりさんよろしく、はしゃいでいるのはメイネだ。俺は、溜め息を吐いた。
「メイネ、俺たちの目的を忘れるなよ」
「は、はい、すみません……」
しゅんと肩を落としたメイネ。俺は目を煌めかせる。
「だがーー戸積が、学食に来たら、その限りではない」
「佳太君……」
今にも減点してきそうな東堂さんに、ぎくっとなる。だけど、大学の学食は一度食べてみたかったのだ。
「はあ、しょうがない。戸積が学食派なことを祈ろっか」
「やったぁ!」
俺とメイネは、ハイタッチした。




