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107 予選開始!!

「おお〜!! 昨日まであった屋台がなくなってる!!」


「屋台が無くなるとすっごい広いねー!!」


 俺たちは朝早くから、ナカフ音楽祭(ミュージックフェスタ)の予選会場に来ていた。


 町の入り口から湖の所まで伸びるだだっ広い道は、昨日まであった屋台が全て撤去され幅50m、長さ2km程の広場に変わっていた。


 広場になった道の両サイドには、観客席になっている建物の上から旗を振りながら応援する人、窓から身を乗り出しながら覗き込む人、建物の前で立ち見をする人など、朝から大賑わいだった。


 そんな観客の前に、地面に書かれた白い枠の中で楽器のチューニングや発声の準備をしている出場者がいて、いろんなところから楽しげな音楽が鳴り響き、予選開始を今か今かと待っている。


 出場者はバラエティ豊かで、俺たちと変わらない子供からお年寄りまで、様々な人や獣人などが、思い思いのスタイルで参加していた。


『アルトよ! こやつらは全て面白い音を出しているぞ! 実に興味深い! 戦い以外でこれほど気分が高揚するのは初めてだ!!』


「落ち着けよムート、まだ音楽祭始まってもいないんだぞ」


 頭の上で興奮しながら辺りをキョロキョロするムート。まぁ、お祭は初めてだろうから興奮するのも仕方ないか……かくいう俺も凄くワクワクしている、いつまでたってもお祭独特のこの空気感は大好きだ。


「アルトちゃん! ソプラちゃん! あたし達は一番端なんだから、早く行かないと他の人の予選に巻き込まれるよ!」


「アルト姉ちゃん達、早くいこー!」

「ビューってなるよ!」

「走れ走れーー!! キャハハハハ!!」


「あっ!! こら! 待ちなさい!! すいません、先に行ってますね!」


「あたし達の場所は湖の一番近くの所だから遅れないようにな!! おい!! おまえたち待てー!!」


 お祭りではしゃぐ子供達を追いかけて、キーキさんとラーラさんは行ってしまった。


「俺たち受付ギリギリだったから予選の順番は最後なのに、こんな早くから準備しなきゃいけないもんなのかな?」


「あと、他の人の予選に巻き込まれるってどういう事なんだろ?」


「まぁ、そのうちわかるわよ」


 ミーシャさん、その不敵な笑いはなんなんでしょうか?怖いんですけど?


 ミーシャの素ぶりに違和感を感じ、ソプラと顔を見合わせて話していると……。


 パーン!! パパパーン!!!!


 耳を打つような破裂音の後、上空に目をやるとナカフ音楽祭(ミュージックフェスタ)の始まりを告げる花火が上がっていた!!


『自身の音を磨き、全てをぶつけるこの日を待ちに待った全て者よ! ついに、四年に一度のこの日がやってきた!!』


 広場の中心に備え付けられた高台から、音楽祭の開催の挨拶が風魔法で拡散されてくる。


 司会の人の声だろうか? 低いながらも聴きやすくてイイ声だなぁ。


『四年に一度のこのナカフ音楽祭(ミュージックフェスタ)で頂点に立つ者は、たったの1組……しかし、手にした者は名誉! 名声! 賞金の金貨1000枚が与えられる。……だが、そんなものは飾りに過ぎない……。


 そう、貴様達が求めるのはただ一つ!! ナカフ音楽祭(ミュージックフェスタ)優勝という後生永遠に語り継がれる最高の栄誉だ!!』


 ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


 両サイドの観客や参加者のボルテージがドンドン盛り上がってきて、熱を帯びた活気が肌を焦がすようにジリジリとうねりを上げていく!!


「凄いねぇ! わたしゾグゾクしてきたよぉ!!」

『クックゥー!?』


 ソプラもこの熱気に当てられて、鼻息をフンス! とはき、目を見開いて興奮しているようだ。


 興奮しているソプラも可愛いです。こっちもやる気が漲ってくるぜ!!


 ……でもさ、力一杯抱きしめてるクーちゃん大丈夫? 白目むいてピクピクしてんぞ……死ぬなよ、クーちゃん……。


『己の全てをぶつけよ!! 悔いを残すな!! 全力を捧げた者のみ、神は微笑む!! 第130回ナカフ音楽祭(ミュージックフェスタ)!! 今より開催を宣言する!!!!』


 ウォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ才オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!


「ウォオオオオオオオオオ!!」

『ヌォオオオオオオオオオ!!』

「おぉおおおおおおおおお!!」

『クッ……クゥ……』


 観衆の大歓声と共に、俺とソプラとムートも両腕をかざし、一緒に大声を上げて開催の盛り上がりに乗った!!


 イイね!! この熱気と一体感!! たまらねぇ!! 前世の夏の屋外フェスを彷彿とさせる空気が最高だ!!


 おかげでテンションMAX!! 予選もぶち上げだ!!


「盛り上がってる所だけど、あんた達さっさと逃げるわよ」


「へ?」

『ぬ?』

「え?」

『クッ……クフゥ』


 振り返るとミーシャが湖の方へ、さっさと走って行く。


 なんか周りの人もチラホラと走って逃げてる……しかも、意外と全力で走ってない!?


「え? 何? 今からなんかあるの!?」

『なんだ!? まだ何か面白い事があるのか!?』

「面白い事じゃなさそうだけど……ん? キャー!? クーちゃーん!?」

『グフゥ……』


 俺らが戸惑って立ち尽くしていると、それは観衆の悲鳴と爆音の音楽と共に襲ってきた……。













 ゴォオオオオオオオオオオオウ!!!!


「んなぁーー!?」

『おぉお!? これは中々!!』

「いゃああああああ!! なにぃー!?」

『グッ!?』


 俺たちは突然、突き上げるような爆風によって天高く吹き飛ばされてしまった!


 それは俺たちだけではなく、周りの人々も巻き込んでいた。


 ただ、吹き飛ばされた全員もみくちゃになっているんだが、みんな慣れていてこの状況を各々楽しんでいるようだった!


「ヒャッホーウ!! 良い風魔法だ!!」

「この歌声いいわね! あっちに行ってみましょう!!」

「あそこのチーム、ギターテクニック凄いぞ!!」

「ウヘヘ……パンツ見えた!!」


 暴風の中ではいろんな音楽や歌声が、ガンガン響いていて、まるで音楽の洗濯機に放り込まれたような感覚だった!!


 これ、予選の参加者が風魔法を使って音を拡散させてるんだ!


 それが一斉にやるもんだから、風魔法同士がぶつかり合って無茶苦茶な暴風になってやがる!


 地面に向かって落ちる感覚もあるけど、すぐさま下から突き上げる突風で上空に放り出されてしまって体勢を保つのも大変だ!!


『ぬはははははは!! これは面白い!! アルトよ!! 色んな音がするぞ!!」


「んみゃああああああ!! アルトちゃんたすけてぇええええ!!」


『(チーン……)』


 ムートはこの暴風の中を錐揉みしながら楽しそうにはしゃいでいる……マグ〇ムトルネードかよ!!


 こんな状態じゃ、泣き叫ぶソプラを助ける事も出来ない! あぁ! クーちゃんの目がヤバイ!! 早く救出しないと!!


「くそぉ!! ナカフ音楽祭(ミュージックフェスタ)名物『嵐の予選会』ってこういう事かよぉお!!!!」

お読みいただきありがとうございます!


丁度台風が来てる時にこの内容……皆様リアルでは防災に努めますよう、よろしくお願いします。


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よろしくお願いします!

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