第9話:最強、寝起きで参上。爆裂姉さんは三日寝る。
王都杯第2戦、開始5分前。
「おい……来てないよな、4人目」
「ま、まさか本当にドタキャン……?」
「運でもどうにもならないぞ、こればっかりは!」
俺たちは控え室で完全に焦っていた。
だがそのとき——
ドオオオオン!!!!
扉が、爆発した。いや、正確には、開けた“勢いで”外れた。
「っは~~~~、寝た寝た~~! 三日間フルチャージ完了ォ!!」
現れたのは、筋肉ゴリゴリの長身女戦士。
黒髪ポニテに露出多めの武闘服、でも何より目を引いたのは、腕より太い太ももと腹筋。
「お、おまっ……誰だよ……!」
「私か? 私は、ミラ=ラグナロク。階級:王国指定Sランク、スキル:全対応型多重強化」
「名前もスキルも強そうすぎるだろ!!」
アリシア「……よく起きられましたね、ミラ先輩」
セリーヌ「(先輩なの!? ていうか怖い!!)」
「今回はいいタイミングだったわねぇ、ユウトちゃん? あたし、運がいい奴、好きよ?」
「え、あ、あざす」
試合開始。
敵チームは全員、魔法騎士系の精鋭。
だがミラ姉さんは、笑いながら突撃した。
一撃で3人まとめて吹っ飛ばす。
魔法も素手で叩き落とす。
最後は投げた岩でフィールドを崩壊させて全滅。
「ちょっと動いただけなのに、勝っちゃったわぁ~♪」
観客「……………………」
実況「……っ、チーム《強運》、完全勝利ィィィ!!」
しかし——試合後。
ミラ姉さんは、何も言わずに床にドサッと寝転がった。
「ちょっとスキル全開で使っちゃったから……じゃ、また三日後に……Zzz」
「え!? 今度の試合、明後日なんですけど!!?」