第二期 第8話:歪んだ学園と、第零の調律者《ノーグレイン》
次元を越えて辿り着いた《シェード・キャンパス》は、
かつての学園の姿を保ちつつも、どこか歪んでいた。
空は逆さに広がり、廊下は終わらない迷路のように続く。
教室には生徒の幻影が静止したまま囁き続け、
黒板には“運命とは選べるものではない”と何度も刻まれていた。
「ここは……次元災害で壊れた現実が、記憶だけで再構成された場所」
ロゼッタが静かに呟く。
だが、奥へ進むにつれ、空気が変わる。
古びた講堂の扉が、重々しく開いた。
その中心に立っていたのは、漆黒の制服を纏った少年。
その姿は、どこかユウトに似ていた。
「よく来たな、《強運の継承者》」
名を、《ノーグレイン》。
この学園の最初の生徒であり、運命調律の初期被験体。
「俺は、かつて運命を“正しく整える”ために選ばれた。
でもその果てに待っていたのは、永遠に“選ばれない”苦しみだった」
彼は、調律者として生きながら、
誰にも選ばれず、誰の記憶にも残らず、ただ“運命の帳尻合わせ”だけに利用され続けた存在。
「だから、俺は否定する。
偶然にすがる存在も、それを与えられて笑っているお前も!」
黒い剣を抜くノーグレイン。
その力は、“運命の逆算”により全ての行動を無効化するもの。
あらゆる“起こるはずの未来”を潰し、
“確定”だけを押し付ける。
「強運は……ここで終わる」
対するユウトは、天運の剣《リシア=オブリガード》を抜いた。
「お前が帳尻を合わせるってんなら、俺はその余白に希望を焼いてやるよ」
──運命と逆算が交差する、決戦が始まる。




