第二期 第6話:秩序の眼の正体!?世界に広がる“運”の連鎖
バザー決戦から数日後。
ユウトたちは世界学園連盟からの要請で、連盟本部の高等情報塔を訪れていた。
オラクル・アーカイブ──それは全次元規模の観測情報を蓄積し、
未来予測、魔法理論、神話的記録までを管理する“知識の要塞”だった。
ユウト、アリシア、セリーヌ、ミラ姉さん、そしてロゼッタも同行していた。
天運の剣が本格的に発動して以降、ユウトの存在は学園内外で大きな注目を集めていたのだ。
そして、仮面の教師アルヴァ=クロードが口を開く。
「君たちには、“運”という力に関する調査記録を、開示する必要がある」
その記録は、世界学園連盟が長年秘匿してきた“禁忌の叡智”だった。
──《運》とは、神々の失敗作。
かつて神々は、運命の制御を自動化しようとし、“選択を導く因子”を作り出した。
だがそれは、あまりにも不安定だった。
与えられた者は、周囲の因果律すらねじ曲げ、
「ありえない選択肢」を連続して現実に変えていく。
それは“運命干渉”と呼ばれ、やがて神々自身にすら予測不能の存在となった。
結果、神々は《強運因子》を“世界の観測外”に封印。
しかし時折、何らかの拍子にこの因子が“人間の魂”と結びつくことがある。
そして今、最大濃度でそれを宿しているのが──ユウト。
「あなたは、偶然に見えて“世界構造そのもの”に影響を及ぼしている存在です」
アルヴァは静かに語る。
「パンが落ちる位置すら、あなたの存在を中心に再定義されている」
ユウトが目を見開く。
──その影響は、周囲に伝播している。
近くにいる仲間、敵、街、学園、国家までもが、
ユウトの“強運”によって予期せぬ好転・混乱に晒されている。
アリシアが呟く。
「だから、私たちにも“不自然な奇跡”が連続して起きてた……」
そしてその不確定性を恐れ、監視・排除を目的に創られた組織こそが──《秩序の眼》だった。
「奴らの本質は“安定した世界”への執着。自由すぎる選択肢を恐れた神々の後継組織とも言える」
ロゼッタの声に、ミラ姉さんが珍しく神妙に頷く。
「つまり、あいつらは“秩序”の名のもとに、“選択肢の存在そのもの”を潰そうとしてるんだな」
ユウトは静かに天運の剣《リシア=オブリガード》の柄を握った。
「選ばれなかった俺が、何度でも選び直す。
それの、何がいけないんだよ」
彼の言葉に、空気が張り詰める。
セリーヌが剣を抜き、アリシアが静かに頷く。
「次に来るのは、全面衝突かもしれない」
そして──
ユウトのポケットで、パン屑にまみれた小さな紙片がひらりと舞い落ちた。
それは、神々の禁書群に記された“とある遺産”への導きだった。
世界は今、静かに動き出そうとしていた。




