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その22,ピクニック

 シェロちゃんの家を出発だ。


 ドライアドはシェロちゃんの家を守らねばならないという事で留守番(とても恨めしそうな顔をされたが)。

 サキュバスは嬉々としてまた影に隠れていった。



 蔓で編んだカゴのバスケットに、鶏政のザンギと果物、干し肉を詰め込んで、ピクニック気分のシェロちゃん。

 スキップしながら進む。


「今からそんなにはしゃいでたら、もたないぜ」


「えーだって、これは実質デートだよ!実質!2人きりの!」

 ひょこっと影からサキュバスが頭を出すが、シェロちゃんが踏みつけて影に押し込む。


 歩けど歩けど、ワイバーンが居るという山はまだまだ先だ。

 遥か遠くに見える、山頂に雪を被った山。


 めちゃくちゃに遠いので、グラビティを使って空を飛べないかと試してみたが、重力が減れば減るほど、宙をもがくだけで前には進まなかったのだ。


 仕方がないからちょっとだけ身体を軽くして負担を減らす。


 途中、薬になる草だとかお茶になるキノコだとか、毒だとかなんだとか。

 シェロちゃんは薬草に詳しいので色々と教えてくれるのだった。


 しばらく草原を進む。

 やがて木々が増え、森に入る。

 2人でしゃがみこんで木の根元のキノコを突っついていると、後ろで物音がした。


 ガサッ ガサガサッ


 ギチギチギチギチギチギチッッ


 ゼンマイを巻くような、太いロープがよじれるような、妙な音が響く。


「ギュァアッギュァアアアアアァッ!!」


 見たことのない大きさの、カナブンだ!思わず驚き、2人とも後ずさって尻餅をつく。


「これって…ランクD魔物(モンスター)のデビルビートルだよ!!」


 なんなんだよ、デカいカナブンって!

 5mはあろうかという大きなカナブン。



 ギチギチギチギチッ

 バキバキッ

 ゴワッシャッ


 木をなぎ倒し、その根を掘り起こしながらこちらに近づいてくる。


「サキュバス!シェロちゃんを頼む!」


 俺が叫ぶと、影からつむじ風と共にサキュバスが現れ、シェロちゃんを抱き上げる。


 ゴァッ


 カナブンが前足を大きく上げ、サキュバスとシェロちゃんに向かって振り下ろされたかと思うと、サキュバスは音もなくスッと後退した。『読み』をエンチャントした胸当てのおかげだ。


 ドゴォンッッ

 腰に挿した剣の柄を握り、背を低く保ったまま横転。空振りとなった前足は土にめり込み、大きな穴を作る。


 こんなの当たったらひとたまりもない。


 危ねえ危ねえ!

 『グラビティ』!


 その勢いのまま、つま先に力を入れ飛び上がり、重力を減少、空高く上昇。やりすぎた!ものすごく高い!高いところアタイ苦手!!


 こうなりゃヤケだ!


「こンっのぉぉぉビヂグソォがぁぁぁぁぁッ!」


 『グラビティ』

 一気に重力を増加、何倍もの速度で落下、カナブンの真上まで来たところで剣を抜き振り下ろした。


 『真空斬!』


 周囲の空気が一気に吸い込まれるように圧縮され、剣の軌跡を追うように、"無"の刃が流れるように刃先から飛び出す。


 ギチギチギチギチギュァア!!



 やったか?!そう思ったが『読み』が浅く、カナブンの右側頭部を1/3ほど切り取ったのみだった。

 

 『グラビティ』

 着地と同時に重力を減少、着地ダメージを無くす。


 『エンチャント』

 『炎』

 剣に炎をエンチャントする。



 ギュァアアアアアァッ

「!」

 前足を振り下ろす瞬間を咄嗟に『読む』。


 が、エンチャントに気を取られ、避ける方向が悪かった。草の根に足を取られカナブンの左側に転ぶ。

 しかし同時に急所を『読む』ことが一瞬だけできた。


 転がる身体、なんとか踏ん張って体制を整える。


 ちょうどカナブンの真横につき、胴体と頭の繋ぎ目を目標に定める。


 硬い甲の間の繋ぎ目は柔らかく、力一杯剣を振ると繋ぎ目に真空の刃が飛び、切った所から勢いよく炎が噴き出し、真っ二つに分断された。



 ギュァアアアアアアアアアァッ


 ズドォンッ



 断末魔の後、メラメラと燃えているカナブン。カナブンというだけでなんかダサいんだけど、5mのカナブン。さすが魔物だ。


 なんとか倒せたな。

 しかしこのままだと森に延焼しかねない。


「水のピクシー、火を消してくれ」


 剣とは逆に下げていた皮袋の口を開ける。


 パシャパシャと飛沫を上げながら出てきたピクシー。


「ヤクニタツ?!ヤクニタテル?!デバンキタ?!」


 火と風ばかりだったからな、たまには他のピクシーも呼んで使ってやろう。


「ああ、助けてくれ。このままだと全部燃えちゃうな、消すことはできるかい?」


「ピクシー、ナンデモデキル!ヤクニタツ!」

 そう言うと、空に向かって息を大きく吹く。次第に雨の様に水が降り始め、燃えているカナブンの火を消した。


「良くやった、いい子だ」


 ヒラヒラと舞うピクシーを手のひらに乗せると、そのまま皮袋に帰す。


「そういえばシェロちゃん大丈夫か!?」

 と振り返ると、2人は服も髪も濡れ、


胸の部分が、


おへそが、


太ももが、


透けて見えてしまっている。



「良くやった!!いい子だ!!!」


 思わずガニ股でガッツポーズというダサい格好。

 ピクシーを再び褒めずには居られなかった。


「ヤキトリ様の!」

「旦那!」


「「えっち!!」」


 二つの拳。広がる星。スケスケのマシュマロ。




 ブラックアウト。

ここまで読んでいただきありがとうございます。拙い文章ではありますが、評価、感想など頂けたら励みになりますのでよろしくお願いします!


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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
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