夜の会話 in the fate night
俺にとって、お前は唯一人のお姫様
「っおいっ!ネル、ここを開けろ!!」
「入らないで!」
「どうした?!一体何が・・・」
「・・・ごめん。アーティー。時間切れ、だ」
「まさか・・・」
バンッ
「っだから、入るなって・・・!」
「嫌だね。お前のお願いなんてもう聞いてやるもんか。・・・言っただろ。絶対助けるって。お前を殺したりしないって。なのに・・・それなのにお前は勝手に諦めてっ」
「・・・アーティー・・・」
「お前が諦めたとしても、俺は絶対あきらめない。お前が発症するまで、いや、発症してからだって、絶対・・・っっおい?!ネル?!」
目の前でネルが倒れた。
慌てて抱き起こす。
息が荒い。熱もある。
「ネルッ!!」
見る見るうちにネルの髪の色が抜けて、透けるような白髪になった。睫毛も同様だ。
アーティーの呼びかけにかろうじて答えるように薄く開いたネルの瞳は緋色。
元の青空のような碧眼ではなかった。
「発症が・・・」
とうとう始まってしまったのか。
ネルは再び目を閉じてしまった。
意識があるのかさえ危うい。
このままでは、ネルは魔王になってしまう。
「くそっ!どうすればいいんだ?!」
今になっても、有効な手立てを知り得ていなかった。
腕の中のネルの体を抱きしめる。
「・・・もし、お前がお姫様で、俺が王子なら、キスで全て解決するのに」
迫り来る絶望の中、荒唐無稽な思いがよぎる。
いや、うまくいくはずがない。
前例がない。
そういう自分と、
出来ることは全てやるしかない。時間がない。と迫る自分。
アーティーは後者の自分に従った。
ネルの頭を優しく抱え、唇に触れた。
「・・・ネル?」
「・・・・・・っア、アーティー?何が」
「よかったっ・・・!!ネル!」
衝動に任せ、ネルを抱きしめた。
「ちょっ、ちょっと、苦しいってば!」
もがくネルの瞳は元の青に戻っていた。しかし髪はまだ白いままだ。
「・・・ホントに良かったっ。俺、お前を殺さなきゃなんないとこだったよ・・・ネル」
「いや、あの、さ。どうやら君が助けてくれたみたいだけど・・・、アーティー、君、その眼、どうしたんだい・・・?色が・・・」
「へ?」
「赤く、なってる・・・。おかしいよ、そうなるのはボクが魔王化した時だって」
「分かった」
「・・・何が」
「俺、さっきお前に、キス、したんだ。きっとそれで移ったんだよ。お前の緋目が俺に」
「え?!何それ、そ、それじゃ今度はキミが危ないってこと・・・?!」
「さぁ?どうだろうな」
「さぁ?って!!呑気に言ってる場合じゃ・・・」
「なぁ、ネル。・・・エリノア」
「なに。いきなり本名呼んだりしてさ」
「俺、やっぱ勇者やめるわ」
「はぁ?!何言ってんの?!キミがやめたら誰がボクを」
「殺させやしない。俺が守る。・・・言っただろ。俺はお前が好きなんだ。お前を殺せるわけがない」
「・・・アーサー」
「今回、なんでかわかんねぇけど、お前の魔王化は止められた。ってことは、猶予が出来たってことだ。また調べる」
「ボクは、キミにそんなことっ」
「いいから。・・・な、ひとつ、俺からお願い」
「・・・なに」
「『好き』って言ってくれよ」
「・・・前、言った」
「あれは、違うだろ。嬉しかったけど、さ。・・・な、ホントに俺のこと好きなら言って。幼馴染としてじゃなくて、勇者としてでもなくて、ただのお前に惚れてる哀れな、アーサーっていう男として」
「・・・っ好き、だよ!それでそれがなに・・・っ」
ギュッ
「・・・それだけで、俺は頑張れるよ。エリノア」
「い、嫌だ。言わないでよそんなセリフ」
「どうして」
「キミが、このままじゃ死んじゃいそうで。ボクより先に死んじゃ嫌だよ」
「・・・可愛いこと言うなよ、馬鹿。大丈夫」
「アーティーっ!」
「俺は死なないし・・・」
「お前が死ぬときは一緒に死んでやる」
アーティーは綺麗に微笑んだ。
久しぶりの更新です。
今回は私の「萌え」を詰め込んだ感じに出来てしまいました。
会話主体なので、なるべく地の文を書かないようにしています。
分かりにくいかとは思いますが、雰囲気で読んでください(ペコリ)。




