1/41
1. 今日から私があなたの母よ
「お前は……なんでこんなところにっ……」
その声に、ロザリアはゆっくりと振り返った。
扉の前に立ち尽くしていたのは、セドリックだった。
大きく見開かれた瞳。
信じられないものを見たような顔で、こちらを凝視している。
無理もない。
かつて自ら婚約を破棄した相手が、いるはずのない場所にいるのだから。
「どうしてお前がここにいる!?」
ロザリアは答えず、ただ微笑んだ。
以前なら、この人の機嫌を損ねないよう言葉を選んでいただろう。
未来の王太子妃として。
彼を支える婚約者として。
けれど、もうその必要はない。
「まさか父上に何か――」
「セドリック」
ロザリアは静かにその名を呼んだ。
そして、今まで彼に向けたことのないほど晴れやかな笑顔で告げる。
「今日から私があなたの母よ」
「…………は?」
セドリックの顔から、全ての表情が消えた。
お読みいただきありがとうございます!
ブックマークや評価をいただけると励みになります★




