第6話 身体測定 ーーキャス視点
地理の授業の後は、実技の授業ね。
そのまま出ていこうとすると、ミリィが私を止めた。
「キャス? そのままの格好で運動するです?」
「ええ。 いつもの服は屋敷に置いてきたからね〜」
「でも、スカートだったら、下着が見えちゃうです?」
そう話すミリィは、ズボンを履いていた。 というか、私以外の全員がズボンを履いていた。
「大丈夫よ、いきましょう!」
私は制服姿のまま、競技場へ向かったわ。
ちなみに、ルミスは「運動いやなノ」とか言って教室で、ふて寝しているわ。
アゼッタもなぜか競技場に来てないわね。 どうしてかしら?
「……では本日の実技は、各自の身体能力測定だ。 気合いを入れて取り組め!」
副担任のマルク先生の声が競技場に響いた。 イカつい表情で私たちを見ている。
ーーなんでこの人が副担任なのかしら? おっかないわね、目がギラギラよ?
「キャス、聞いているのか? なんだその格好は! やる気あるのか貴様!」
「聞いてますよーだ。 べー」
「……ふざけた女だ」
マルク先生がため息をついた。 でも、私の服を舐めまわすようにみているのを見逃さなかったわよ! なんだかんだ、男なのね〜 オジサマ!
「最初は走力測定だ! 全力で駆け抜けろ!」
吠えるように、怒号を飛ばすオジサマーー
その後、イライラしながら私に向かってきた。
「キャス! 種族は人間で間違いないな?」
「違うけど……」
「人間だよな?」
「……」
ーーオジサマ? どうしても私のことを、サキュバスのコスプレをしている人間、っていうことにしたいのね?
「貴様! いつもの服はどうした!」
「学園なんだから、学生服姿よ! 当然でしょ?」
私はアピールするように、一周回ってポーズ。 パンツをチラ見せサービスを忘れずにね。
「……そんな格好で運動とは、ふざけているな。 ……まあ、いい」
オジサマはそういうと、見晴らしのいい場所に移動した。
「位置に着いて、行け!」
「わ、私は走るの苦手なのよ!」
「ミアも運動なんて、サボればよかったなの!」
「ラム! どっちが速いか競走です!」
「お姉ちゃん! ちょっと待ってよ!」
「……」
全員が走り始める。 ある者は本気で、またある者は手抜きでーー
私? まあ、ボチボチかしらね?
ゴール地点で立ち止まり、息も乱さずに振り返る。 マルク先生が眉を上げた。
「……どいつもこいつも、ふざけやがって」
私は肩をすくめた。本気を出してないって、ちゃんと見抜いてるじゃない。
意外と侮れないわね、このオジサマ。
「次は跳躍力測定だ! この壁を測定代わりにしろ!」
オジサマの指示したのは、とても高い塀だった。
「キャス、お前から行け!」
「みんなの前で飛べなんて、エッチですね〜」
「……貴様! 訳の分からない文句を言うな!」
「もう! わかったわよ!」
壁の前に立ち、軽く膝を曲げる。 翼は使わない約束だから、純粋に脚力だけで跳ばないといけないわ。 深く息を吸って飛んだ。
スカートが捲れてパンツが見える。
オジサマが記録板にペンを走らせる。
「よし、次!」
「それだけ? もっと、あるでしょ?」
「次は、フレイアだ」
「……私。 飛べないわよ全然」
みんな? 私のおパンツに対して、リアクションはないのかしら?
「キャス。 だから言ったです!」
「……ええ、そうね」
「運動の時は、着替えるです!」
「はい……」
なんとも言えない気持ちで、ミリィの注意を聞く私だった。




