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死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
聖女・学園編

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第53話 フラグが立ちまくる教室

 数日後、バルテン王国の中にある巨大なアカデミー、パルディア学園。


 そのとある教室の教壇には、若い女性ーーミートが立っていた。


 「ふふ。 皆の者、この学園の新校長であるミートじゃ! 今日は、皆んなに新しいクラスメイトの紹介じゃ! キャスから入ってくるのじゃ!」

 

 若い姿に似合わない口調の新任校長ーーミートの指示により、現れたのは私、ミリィ、ラム、そしてミアだった。

 

 私たちは、ミートの屋敷に住んで学園に通うことを決めたのよ! ミートが是非にっていうからね? 


 ローマニャとプリンは、用事があるからって、別れたわ。 まだ、この国のどこかにいると思うけど?


 

 私は、ミリィ、ラム、ミアの三人を引き連れて、教室へ足を踏み入れた。

 

 「初めまして……」


 私の今日のコスチュームは、ベージュのポンチョに青いジーンズという、いつものラフな格好だわ。 でも、後で制服が貰えるらしいから期待ね!


 あれ? でも、みんなは制服を着てないわね? 行事用なのかしら?


 そして、私のその背中には、身長ほどもある大剣が背負われていた。

 

 その後ろから、白獣人の姉妹ミリィとラム。 そして、最後尾には、猫耳をぴょこぴょこと揺らしたミアが、無愛想に入ってきた。


 教室の中を見回した私は、ぴたり、と動きを止めた。

 

 「……あれ?」

 

 その瞳に映ったのは、見覚えのある顔ぶれだった。 武術大会で、戦った強者たちがクラスにいたからだ。

 

 曲芸師ーールーブ。 話術士ーーフレイア。 忍者ーー影丸与一


 「……嘘でしょう?」

 

 私は、思わず呟いた。 その声に、教室にいた者たちが、一斉に振り向いた。

 

 そして、彼らの目が、見開かれた。

 

 「……」

 「あれ? 恩人様だわ!」

 「ごきげんようでござる。 某も、色々あったが、先日入学したのでござる」

 

 ざわり、と教室が揺れた。 私は、ワクワクしていた。


 「……すごいわね」

 

 私の後ろで、ミリィが小首を傾げる。

 

 「あれ? フレイアさんです!」

 

 ミリィが、フレイアに手をあげた。 しかし、フレイアの方は、キョトンとしていた。


 「どうやらこのフレイアは、私たちと会う前のフレイアのようねーー」

 「そうなんです? ショックです!」


 ミリィがショックを受けているのを見て、フレイアはオドオドしていたわ。


 一方、ミアが無表情のまま教室を見回した。 その瞳の奥で、何か冷たいものが、ちらりと光ったような気がしたのは、気のせいじゃないわね。


 「わぁ、すごいの。 みんな、強そうな人たちばっかりなの……」

 

 その声色は、間延びしたのんびりとした口調だった。 けれど、私の背中には、ぞわり、と冷たいものが走った。


 ーーまずいわね。 

 

 ラムは、そんなミアを警戒していた。


 そんな中、ミートさんが申し訳なさそうに、私たちの方を向いた。


 「すまんの〜 今日は、半数ぐらい不在のようじゃ……」

 「そんなに! なんでかしら?」

 「さあ? 儂にはさっぱり?」


 ミートはそう言って惚ける。 ミリィは穴抜けの教室の中で、困惑していた。


 「……えっと、じゃあ。 席はどこです?」

 「そうね。 とりあえず、ここに座りましょう」

 

 私たちが、空いていた席へ向かおうとした、その時だった。

 

 「ちょっと、待ちなさい」

 

 凛とした声が、教室に響いた。 窓際に座っていた、少女ーーアゼッタが、立ち上がっていた。 その手は銃のように構えられていた。


 「キャス。 貴方の力を見せて欲しいわね」

 「……は?」

 

 彼女の瞳には、燃えるような闘志が宿っていた。 私は、頭を抱えた。 学園生活、初日からこれなの?

 

 その時、教室の扉が、勢いよく開いた。 その人物に、私たちはまた驚くのだった。

 

 「……おやおや。 これは、これは」


  現れたのは、壮年男性だった。 ミートは胸を張りながら、彼を紹介する。

 

 彼女は、にっこりと微笑んだ。


 「彼はこのクラスの新しい副担任じゃ! 仲良くするのじゃぞ!」


 その、のほほんとした声は、私にとっては場違いだった。

 

 舌打ちをしながら、木剣を私に突きつける彼ーーマルク。 その様子は、獲物を見つけたハンターの様だわ。


 「なんで、アンタが……だって前こく……」

 「おっと! 俺はタダのマルクだぜ?」


 そう言って、豪快に笑う彼。 その様子は、まるで憑き物が落ちたみたいだった。


 そんな私たちを放って、そそくさと教室を去るミート。


 彼女は知らない。 この学園生活が、決して平穏なものにはならないということを。

 

 そして、ミアの猫耳が、ぴくり、と動いたことを。 彼女は、にこにこと笑顔のまま、小さく呟いた。

 

 「……たのしくなりそうなの」


 その声は、誰にも聞こえなかった。

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