第4話 過去の記憶
ーーこれは夢? なんだ、この視点は? まるで神の視点だな。 村が全壊している、そこを走っているのは師匠?
「なんと言うことじゃ。 アルコス! ロマーニャ! そして、村のみんなが全員死んでしまった。 勇者までもが⋯⋯いや、息があるぞ。 ロマーニャ⋯⋯お前が命懸けで、この子を守ったのか。 死なせんぞ! 我が命に変えても、この子は⋯⋯勇者よ! 我が寿命をそなたに託すぞ⋯⋯ゴホ、ゴホ」
神よ。 これが貴方の仕業なら、なぜ俺にこれを見せたのだ! 俺がした行為を嘲笑っているのか?
ーーいや、待てよ。 これは前世のままだったらの話し、ではないだろうか?
俺は変えられたんだ。 やったぞ!
眩しい、今度は朝か。 起き上がることが出来ない。 まったくこの体は不便だな。
俺は光が漏れる方に、這いつくばってテントから出た。
目の前を見れば、かつて村だった場所の残骸があった。
ーーやはり、襲われたのか。 それにしても、昨日だったんだな夜襲は。 ギリギリ間に合ったっと言う訳か。 結局守れなかった。
「⋯⋯お、お主。 やはり、自力でここまで来たんじゃな⋯⋯ゴホオ」
師匠、怪我を! ーーなぜなんだ! 俺のしたことは無意味だったのか?
「まったく! お前のせいじゃぞ! わかっておるのか! おかげで儂は⋯⋯」
俺のせいでーー 俺はやはり、未来は変えられないようだ。
ーーあれから、しばらくの時が経った。 俺は歩くことも、話すことも出来るようになった。
だが、あの村がどうなったのかーー
そして、俺の親がどうなったのかを聴く気にはなれなかった。
毎日、師匠がどこかへ手紙を書いているのだが、どこに送っているのかを聞く勇気すらなかった。
思えば、俺は前世でも同じだった。 師匠が死んだ俺は、悲しみに暮れていた。
その場凌ぎで、ただ生きているだけの日々を過ごしていたんだ。
そんなある日のこと。 俺は寂れた教会を見つけ、眠っていた。 そこに現れたのが、キャスだった。
彼女は魔物の血で汚れていて、後ろには大剣があった。
「貴方、泣いてるの? ⋯⋯お姉ちゃんに話してごらん! 話したらきっと楽になるよ!」
「⋯⋯お前になんかわかる訳ない! 俺は孤独なんだ!」
「ええ? そんなことないよ~」
「なんだって? ふざけているのか!」
「だって貴方には、このお姉ちゃんがいるでしょ?」
「⋯⋯お前が?」
「そうだよ! だから寂しくないよね! 私の名前はキャス! よろしくね! 貴方の名前はなにかな?」
「俺? 俺に名前なんてない⋯⋯ 勇者としか呼ばれてないから⋯⋯」
「勇者? ふふふ、大層な名前だね! ⋯⋯だったらゆう君って呼ぼ!」
「ゆう君! それが俺の名前⋯⋯」
「どう? 気に入ったかな?」
ああ。 気がついたら、また寝てたのか。 まったく懐かしい夢を見たなぁ。
キャスとの思い出は、もうずっと血塗れの姿しか、思い出せなかったのにーー
俺のせいで死んだ、キャスも今、生きているんだよな。
会いたいなキャスーー
「勇者。 起きたかの? 朝飯じゃぞ~」
「わかった。 師匠」
師匠も今は元気そうだけど、きっとまたーー
その前に師匠と別れよう。 睡眠薬で充分かな? 毒はいらないよね?




