第103話 それはよくある物語
ターコイズの言葉に、オニギスが沈黙していた。 そして、ようやく一言。
『……よく調べているね、ターコイズ』
「五百年分の記録を作りましたので」
『……エターナルパーフェクト語録って書いてある、あの分厚い本のこと?』
オニギスは、呆れた声で尋ねていた。 戦う気が、完全に消えているね。
『オイラには、ガランドという人間の相棒がおった。 ガランド……それはこの大陸の名前。 アイツの親もトレジャーハンターでさ、アイツにも大陸を巡って欲しかったんじゃないかな』
オニギスが静かに語り始めた。
『アヤツは、トレジャーハンターでな。 オイラは相棒として、色々なダンジョンを冒険したものだ』
オニギスの声は懐かしさに揺れていた。 思い出しているんだねーー
『そして、掘り当てたんだ。 この鉱脈を……』
金貨の山がある方を見た。
『黄金が出た。 国に報告した、それを聞いた当代の王は喜んで掘り進めた』
「ガランドは、独り占めしようとか思わなかったの?」
『うむ。 奴は、宝そのものよりも、それを見つけることにロマンを感じるタイプだったからね……必要だったのは、健康な体と僅かな移動費と、そして……共に分かち合える仲間……オイラの存在だった』
私と姉さんは顔を見合わせて、微妙な顔をした。 まったく理解できなかった。
ーーお金が最優先で全てだよね! ロマンなんて、お金にならないんだけど。
『しかし、王は掘りすぎた。 この山にはな、像があったのじゃ』
「『黄金の像』のこと?」
『そうだよ。 ……人の欲を喰らい、その醜い憎悪を具現化する夢の像』
オニギスは、憎らしげな仕草をしていた。
『最初は微々たるものだった。 誰も、気にも止めなかったんだよ。 ……ここに、金庫を設置して、金貨の山を作った』
「……それで」
『ある日。 鉱夫どもが、次々に喧嘩を始めたんだ。 理由は、些細な衝突だったらしい』
よくある話だね。 お金が絡むなら当然のことだよ。
『それがいつしか、命の奪い合いになった。 潜った鉱夫たちはほぼ全滅。 残った鉱夫の話を聞いた王が思ったことは……』
「人員の再導入……」
『……それを繰り返している内に、ダンジョンの内部は澱み。 遂には、金庫に立入れなくなった』
オニギスは頭を俯かせながら語っていた。
『王は招集した。 ガランドを。 きっと、踏破者ならどうにかしてくれると思ったんじゃないかな?……そして、ガランドとオイラは責任を追求されて。 ……このダンジョンに追放されたんだ』




