↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

194/243

第55話 魔女老婆の実験施設ーーオパール視点

 第十二層。 第十三層。 第十四層。 私たち三人はひたすら降りる。 


 戻ることはできない。 私たちは、生き延びるためにダンジョンを進んでいる。


「ねえ、エメラルド」

「うん、なんだいルビー?」

「なんで、あの婆さん。 私たちを移動させてくれないの?」


 それは、私も思った。 時空間魔法を使う彼女だ、私たちを最下層まで送りたいなら、一瞬で運べばいいだけのはずーー


 だけど、エメラルドはこう言った。


「あの老婆は、私たちが負の感情を撒き散らしながら歩くのを期待しているんだ」

「……最悪」


 なるほど、趣味の悪い話だ。  姉さんが、舌打ちした。


「ふざけないでよ。 ……じゃあ、機嫌よく歩いてやるわ」

「ふふ。 それが正解さ」


 エメラルドは、いつもの飄々とした顔で笑った。


「怒るのも、悲しむのも、地上に帰ってからでいい。 今は、餌をやらないことだ」


 このダンジョンの道は複雑だった。 ーーでも残念。 私たちの手元には、ダンジョンの地図があるから。


ーーガランド調査隊が二十層まで測量した、完全な記録。 第十五層までは正確だった。


「あの婆さん、これを知らなかったのかしら」

「知ってたと思うよ」


 姉さんの問いに、エメラルドはあっさり答えた。


「でも、地図があっても道のりは縮まない。 ……足で歩く距離は同じさ」

「じゃあ、意味ないじゃない」

「いや、あるよ」


 彼女は、地図を指で叩いた。


「迷わないってことは、苛立たないってことだ。 そうだろ?」


 このダンジョンでは、地図は方角を示す道具じゃない。 平静を保つための道具なんだ。 


ーーそうだったんだ。 しかし、第十五層を通った時、異変が起きた。


「……嘘でしょ」


 私は、足を止めた。


 ニーズヘッグーー腐食竜が、ダンジョンの真ん中に鎮座していた。


 巨大だった。 天井に頭が届きそうなほどの体躯。 鱗は所々が剥がれ落ち、その下から黒く濁った肉が覗いている。 周囲の床は溶けたように陥没し、酸のような液体が滴っていた。


 ーー腐っている。 生きたまま、腐り続けている。


「エメラルド、地図にコイツは」

「……何もない」

「そうよね……」


 エメラルドが、地図を握りしめた。


 この層は大広間で、不気味なほど何もない空間だった、と言うけど。


「測量した時は、本当に空っぽだったんだ。 ……用途不明の広間としか書けなかった。 私は何度も、ここを通った。 第二の拠点候補としてね……」

「じゃあ、この竜は」

「最近、ここに置かれた」

「……置かれた。 あの老婆の仕業ね……」


 腐食竜を見ると、首に鎖みたいなものが巻かれていた。 しかもそれが、私たちを待っていたかのように砕け始めた。


「グ、ォ……」


 竜が、呻いた。 目が開く。 濁った黄色の瞳。 そこに映っていたのは、憎悪でも殺意でもなかった。 ーー強い、絶望だった。


「どうやらこのダンジョンは、こんな生物を作るための要塞だったらしい……」


 エメラルドが、ニーズヘッグを眺めながらそう言った。


「……ここにあるのかな? 私の求めるモノが」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。