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世界が赤く染まる日  作者: 夜桜
第三章 国家代表選抜大会編
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国家代表選抜大会Ⅲ

日影視点


咲、よく頑張ったな。

ベンチに座っている俺の隣で寝ている彼女を見ながら俺はそう思う。


彼女は相原との試合に勝利したもののそこで精神力と体力をかなり消耗してしまった。

そのため準決勝では如月凌に惨敗してしまう。

だが、彼女は次の順位決定戦で俺の順決勝の相手だった男を倒し、代表の座を勝ち取ったんだ。

残る精神力が少ない中、よく勝ったと俺はそう思う。

そんなわけで彼女は俺の隣で疲れて寝ている。

だけど俺そろそろ決勝戦なんだよな。でも起こしたくないな。

そんなことを考えていると咲は目を覚ましてしまった。


「あれ、寝ちゃってた。ごめん、日影、もしかして決勝終わっちゃった?」

「大丈夫、これからだよ。ちゃんと敵とってくるね」


俺がそう言うと彼女は笑顔で「うん。よろしくね!」といってくれた。

さあて行くか。

俺はドーム中央の闘技場へ向かった。その先にはすでに如月凌が待っている。

彼の前まで行くと、


「君が炎真、いや神谷日影君だね。やっと話せたね」


というように話しかけてくる。想像してた人物像とだいぶ違い、俺は内心驚いていると、


「僕は君がこの代表選抜に出るって聞いて出ることにしたんだ。是非戦ってみたくてね。本当はもう一つ理由があるんだけどそれはまた今度話すよ。これから僕たちは国家代表の仲間になるしね」


彼は爽やかな笑顔を俺に向けてきた。

彼はただでさえ、短めの茶髪に優しい雰囲気の顔立ちであるので、そのような笑顔を見せられるとこれから戦うのがばからしくなってしまう。

そんなことを俺たちが話していると、「凌様ー!」などと色々な方向から聞こえてくる。なんか今日一日だけでファンが思いっきりついてしまったみたいだ。

当の本人は困ったような顔をしているが。


「全力で頼むよ」


という目つきが変わった彼の言葉に対して俺は


「はい」


とただそれだけ返した。


「それでは、決勝戦 神谷日影 対 如月凌 はじめ!」


審判の開始の合図と同時に彼は風属性最上級能力を放つ。最上級能力は上級能力よりさらに扱いが難しくそんな能力を扱えるのは世界に数人というレベルだ。


「タイラントストリーム」


彼は風系統最上級能力タイラントストリームを一瞬で発動し、その場の空気自体が意志を持っているかのように荒れ狂い、俺に襲い掛かってくる。


「最上級能力をあの速度って師匠の数段上じゃないか!?」


と俺は心の中でつぶやきながら、能力を発動する。


「クリムゾンノート!」


俺は炎系統上級能力クリムゾンノートを発動し、その場の空気ごと燃やし尽くさんという勢いの炎でタイラントストリームを無効化する。本当はそのまま如月にもダメージを与えれたらベストだったんだが、タイラントストリームの威力が思ったよりも強く、それには及ばなかった。


「さすがだね!次は、セラフィックゲート!」


如月凌は次に光系統最上級能力セラフィックゲートを発動し、彼の前に巨大な扉が姿を現す。この扉が開くとすべてを溶かす光が放たれる。

おいおい、最上級をなんでそんなにポンポン出せるんだよ。

俺は心の中で愚痴をこぼすが、そんな場合じゃない。


「インフェルノスクリーン!」


俺は炎系統最上級能力の派生として自分で編み出したインフェルノスクリーンを使い俺の周囲に闇の性質が付与されたすべてを焼き尽くす炎を周囲に作り出す。これは俺が炎系統に強い適性があるので耐えられるのだが、普通は自分の体が焼けてしまうだろう。

俺はセラフィックゲートが開くときにはインフェルノスクリーンで自分覆っていたため、強力な光を闇の性質が付与された炎で打ち消すことに成功し、この攻撃も防ぐ。

そしてインフェルノスクリーンを発動させたまま俺は次の能力を発動する。


「ブレイズ!」


俺は炎系統中級能力ブレイズで彼の足元から火柱を出現させ彼を焼く。

俺のインフェルノスクリーンに気を取られていた彼はそれをまともにくらう。

そして彼が攻撃を受けたことでセラフィックゲートが消えたことを確認し、インフェルノスクリーンを解除し、さらなる攻撃をしかけようと彼に向って瞬歩で高速で移動する。

ここで畳みかける!

俺がそう思ったとき、またしても彼は俺の想像を超えてくる。


「ダイヤモンドダスト!」


彼はなんと水系統最上級能力のダイヤモンドダストを発動したのだ。

彼は自身の周りに冷気の嵐を発生させ、俺の放ったブレイズを沈下させつつ、周囲を吹き飛ばす。

俺は予想外のその能力によるダメージを発動速度の速いファイアウォールを挟むことによって軽減するが、軽く10メートルほど吹き飛ばされた。


「おいおい、水系統も使えるなんて聞いてねえぞ」

「言ってないからね」


俺たちは互いに笑みをこぼす。

互いのダメージは同程度、久々に出会った自分と同じ実力を持った者との戦い。

俺たちはそれに喜びを感じていた。

だがお互い精神力もそう残っていない。次が最後の能力になるだろう。


「ここまで楽しい戦いをありがとう。」

「こちらこそ。そろそろ終わらせるぜ!」


俺たちは最後にそう言葉を交わし、お互い全力で能力を発動する。


「タイダルハリケーン!」

「パイロクラスティックフロー!」


俺と如月が放った最上級能力がぶつかりあったその時、激しい光と爆音が起こった。

その光が収まった時、俺と如月はただお互いにらみ合っていた。

いや笑顔で見合っていた。


そして次の瞬間俺と如月は同時に倒れた。




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