プロローグ
遥か未来、人類が太陽系を飛び出し、銀河の星々へと散り数千年の時が流れた。
そこには無限に広がる漆黒の宙と、そこに瞬く無数の光の点があった。
そして、その光の点一つ一つに多様な命の営みが息づいていた。
だが、広大な銀河は決して一つではなかった。
自由と平等を旗印煮、議会制民主主義を奉じる銀河共和国連合。
絶対的な皇帝の統治のもと、秩序と伝統を重んじる星辰帝国。
二つの巨大な星間国家は、互いの思想を相容れぬものとし、数世紀にわたる冷戦状態を続けていた。
銀河の辺境宙域では、散発的な衝突が繰り返され、無数の星々へとが戦火に焼かれてきた。
平和は束の間の休戦に過ぎず、誰もが知っていた。
この均衡はいつか必ず破綻し、銀河全体を巻き込む最終戦争が訪れることを。
その予感は、二人の若き天才の出現によって現実のものとなる。
共和国の若き戦略家、エリオット・ヴァンス。
彼は戦場を嫌いながらも、その比類なき知略で幾度も共和国を勝利へと導いていく。
彼の理想は、戦いのない、真の平和が訪れる銀河の歴史を紡ぐことだった。
一方、帝国には旧弊な貴族社会に反発し、強大な軍事力とカリスマで銀河に新たな秩序をもたらそうとする若き将軍、カイン・フォン・レギオンがいた。
彼の野望は、帝国の腐敗を一掃し、自らの手で銀河を統一することだった。
異なる思想を胸に宿し、異なる道を進む二つの光が、銀河の夜空で煌めき始めた時、運命の歯車は静かにしかし確実に回り出した。
そして、その全てを数万の彼方から静かに見守る、太古の「星海の囁き」がこの銀河の変革を、いかに捉えるのか。
これは自由と秩序、理想と現実、そして星々の運命をかけた、壮大な叙事詩の幕開けである。




