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心の眼、黄金の残響


【前回までのあらすじ】

霧隠家の「偽りの霧」に視界とタブレットを封じられた。機体を蝕む「サビカビ」の侵食が迫る中、武は黄金のバットを構えたまま、静かにその瞳を閉じた。


「……武おじちゃん、何してるの!? 敵機反応、すぐそこまで来てるんだよ!」

まいの悲鳴のような通信が、ノイズ混じりに響く。だが武は答えない。

視覚を捨て、まいのナビゲートさえも意識の隅に追いやる。武が今、研ぎ澄ましているのは、かつて生身の野球部員として、幾万回と繰り返した「打席での感覚」だった。

(……機械の数値に頼るな。空気の揺れ、マブイの匂い、敵の殺気……全部、ピッチャーが投げる『球』と同じだ)

霧の向こう側、霧隠家の機体が音もなく背後から迫る。水の属性を纏った隠密の刃が、武のうなじを刈り取ろうとしたその瞬間——。

「……そこだ」

武の右腕が、黄金の残光を引いて閃いた。

ガキィィィィィィィン!!

見えないはずの敵の刃を、武はバットの「芯」で正確に捉えていた。

『なっ……!? 霧隠の術を、心眼で破るというのか!』

「……心眼なんて大層なもんじゃない。あんたの殺気が、ど真ん中のストレートに見えただけだ」

武がバットを押し込むと、黄金のマブイが霧を物理的に弾き飛ばす。SSSランクの質量は、霧という「曖昧な存在」さえも、強引に「打撃の対象」へと変えてしまう。

だが、武は追撃しなかった。右腕から再び黒い火花が散る。

「浅野、長谷川! 一旦下がるぞ! この霧の中じゃ、まいの指示が届かない。俺一人なら戦えるが、チーム(連携)が組めなきゃ、ゼロコアの物量には勝てない!」

武は仲間たちに撤退を促し、霧の深淵へと一瞥をくれた。

第4章・前哨戦。それは、個人の力だけでは突破できない「チームプレイ」の重要性を、武に突きつけていた。

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