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神龍の刃は欠陥品?

 おそらく、ペガサスが作ってきた武器の中では5本の指に入るほどの最高傑作。それだけに、説明を聞いた愛花は、


『ここまできたら、もはやアニメかゲームの世界だわさ!』

 と、感嘆するが、どういうわけか、作った本人であるペガサスは手放しで喜べないといった顔をしている。

 

「まぁね。それもこれも、エンジェリウムだからできることだよ。加えて従来の物より刃渡りを1.2倍に伸ばし、付属火器の威力も上げた。ただ、1つだけ、どうしても解決できなかった問題があってね」


「なんすか?」

 問題があるようには思えない大牙は、注意深く観察しようと、シェンロンスラッシャーを手に取った。


「エンジェリウム自体が鋼より重い上、威力を上げるために、全体的にサイズアップしたから、ただでさえ米袋並に重かったドラコスラッシャーが、3倍以上重くなってしまったんだ」

 その言葉は正しかった。大牙は持ち上げようとしたが、両手を使ってもなかなか上がらなかった。


 こんなに重たい武器を装備して戦ったら、移動速度が落ちるだけでなく、増えるはずだった手数も減ってしまう。

 それだけではない。刃渡りが長くなって重量が増したということは、必然的に遠心力も増すということ。そのため、常人が扱えばコントロールすることはおろか、尋常じゃない負荷がかかって、腕や手首が折れてしまいかねない。

 これには雲雀達の評価も一転する。


「欠陥品やないか! さっきの期待返せ!」


「龍君。作り直してもらった方がいいんじゃ……」

 龍の身を案じた武文はそう提案したが、龍は首を横に振った。このまま改良せずに受領するつもりなのだ。


「Huh!? Hey hey hey! 正気か龍!? 前々からCrazyだとは思ってたが、ここまでとち狂ってたのか!?」


「あんた、自分がどういう状態なんかわかってへんのか!? 芹の言霊のせいで龍人化はおろか、何もかも凡人レベルにまで落ちてもうてるんやで!? せやのに使うとか、どういう神経しとんねん! ドアホ龍!」

 罵倒に等しい容赦ない反対の数々に、龍は苦笑するが、何も考えなしに承諾したわけではない。


「そう言われても仕方ないのは、自分でも理解してるけど、せっかくペガサス君が作ってくれたし、あの人達相手に、使いやすさを求めて性能を落とした武器で挑んでも、命取りになるだけだと思ったから」

 そこまで考慮して決めたことなら、何も言えない。雲雀達は龍の決断を尊重し、口を閉ざした。


「骨、折れても知らないよ?」


「その時は澪か柚に治してもらうよ」


「そっか……それじゃ」

 龍の覚悟を確認したペガサスはそう言うと、龍の両腕に、早速シェンロンスラッシャーを装着した。

 直後、欠陥とまで言われた超重量がのしかかったことで、龍の両腕はダランと垂れ下がったまま、上がらなくなってしまった。


「え? え!? な、なんで今?」


「善は急げって言うだろ? というわけで、次の戦闘まで龍君には、それを装着して生活してもらいつつ、毎日素振りをしてもらうよ。今のままじゃ、仮に元に戻ってもシェンロンスラッシャーに振り回されるのがオチだからね。とりあえず、その体で一通りの技ができるようになるまで体を慣らすように。それじゃ、頑張ってね~」


「ムーリーッ! 肩外れる! 腕もげるー!」

 有無を言わさず装着された龍は、早々に泣き言を言ったが、ペガサスは全く聞く耳を持ってくれない。


 結局、この日は、シェンロンスラッシャーを着けたまま過ごすハメとなり、妻達の介助無しでは食事も入浴も就寝もままならなくなってしまった――――――

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