epic of tells
これは主人公が絶望に立ち向かう、その前夜の物語
ここは都内の某所の高速道路だ。
一つのバイクが爆速している。
バイクには2人の人間が乗っていた。法律的には違法なんだろうが、しかしそんなことが気にならないほどの違法が後ろを迫っていた。
少女である。少女が二人の乗るバイクを、走って追跡していた。
少女はバイクに勝るとも劣らぬスピードを出している。
傍から見たら異様な光景だ、しかし彼女の見た目はそんな光景に説得力を持たせるにふさわしいものだった。
手足は機械で出来ていた。全てを潰したり引き裂いたり出来そうな鋼鉄の鉤爪、足にはジョット噴射機構を取り付けていて車ですら出すのが厳しいような高速を実現していた。
二人乗りのバイクが追いつかれないでいるのは、このバイクも改造されたものだからという理由だろう。
「キー、奴がそろそろ追いつきそうだ。もっとスピードは出せないのか?」
少女の質問にキーと呼ばれた男は答える。
「お嬢無理っすよ、これがこのバイクの最高速度です。これでも相当な金を積んで改造してるんすよ……」
「ふむ君の努力は認めるとするよ、仕方ないボクも頑張るとしよう」
少女はそう言うとリボルバーを取り出す。
そして、後ろから追跡してきている少女の1番弱い部分、そう足と胴体の繋ぎ目の金具を正確に撃ち抜く。
無論倒せはしないが少し動きが鈍った。
「お嬢いい感じだ、しっかり捕まっててくれよ」
男はそう言うと高速道路の防音壁がちょうど切れている所へバイクの向きを変える。
「行くぜーーー」
そして夜の街へ落下していく。
これはもう一つの物語。