月日は流れました。
それから二百年ほどの月日が流れ、私とラギは市井で冒険者としての生活を始めていた。
王城を出てから、私たちはオルムで二人きりの生活を送っていた。
そして時々は王都に行って、キースとライ、それに王太子たちとも会っていた。
キースたちにも私がドラゴンであることは打ち明けたけど、彼らはそれまでと変わらずに私と付き合ってくれた。
そして彼らが魔獣討伐の仕事で亡くなるまで、私たちの関係は変わることはなかった。
オルムでの暮らしの中で、ラギは徐々に私にベッタリではなくなり、少しの間なら離れていても平気になった。
しかしすぐに抱き付いて頬擦りしてくるところは変わらない。
ラギの愛情がいつまでも変わらないことに、私は密かにホッとしていた。
最近の悩みは、いつになっても子供ができないことだ。
それを王女様(王太子の子孫)に相談したら、「ドラゴンは長生きなのだから、子供がなかなか授からないのは当然でしょう」と言われて納得した。
オルムで暮らしながら時々人間に会いに行っていたからなのか、ラギは少しずつ文字を覚えるようになった。
そして覚えたての文字を書いて、私に色々な言葉を伝えてくるのだ。
『ハルカ、大好き』
今日もラギがそう文字にして伝えてくれる。
私はその言葉に笑顔で返す。
「私もラギが大好きだよ」
そう言うとラギは嬉しそうに笑ってくれる。
その笑顔を見て、私は今日も幸せを噛み締めるのだった。
《終わり》
最後まで読んで下さって、ありがとうございました。