第12話
気分転換に、陸野の家に行くか。
学校の友達には、何も言わずに転校しちゃったからな。
歩いて行くと陸野の家に着いた。
インターホーンを鳴らすとドアを開けて出てきたのは「はーい」と出てきたのは怪物だった。
俺は一気に青ざめた。
ここって陸野の家だよね?
家間違えた?
「どちら様でしょうか?」
赤い体の大きな怪物でツノは三角形だった。
前に見た怪物とは全く別の怪物だった。
「あの‥‥陸野さんの家ですよね?」
「もちろんです」
「あなたは陸野さんの家族ですか?」
「いえ、違います。 陸野一家を襲ったものです」
襲った‥‥?
何で?
俺は恐怖で体が動かなかった。
「あなたはどんな事情で来ましたか?」
「陸野さんに会いに‥‥‥」
「すいませんねえ。 みーんな死んでしまいました」
俺は硬直した。
何だ、こいつは?
冗談かのように聞こえなかった。
「そんな冗談‥‥」
「冗談じゃなくて本当です。
何なら中を見て見ますか?」
「もし、本当なら警察呼びますよ?」
「警察呼んでも解決にならないですが、こちらは正義のためにやっているんですよ」
「正義‥‥?」
「全てはいじめをなくすために」
「陸野はそんなことしたのか?」
「やられている側が『いじめ』ととらえたら世の中いじめなんです」
「何をしたかってことだよ」
「家庭内が大変荒れていまして、お互い家族みんなでいじめ合ってたので、誰一人として生き残りはおりません。
そう、金銭をとる、暴行とかそう言ったことが家庭内で行われていました」
俺は恐怖で理解が追い付かなくなっていた。
陸野の家庭でそんなこと行われていたか。
そういやあ、陸野から家族の話は出てこなかったが。
そんなことよりも今は逃げよう。
俺まで狂いそうだ。
俺は全速力で駆け出したら「逃がさないよ」と背後から抱きつかれた。
聞いたことのない声なので後ろを振り向くと黒船あぶき。
「まさか自ら危険な敷地内に入ると思わなかった」
「黒船あぶき様」と怪物。
「君のお姉さんからさ」黒船あぶきが口を開いた。「君はいじめてるみたいだね」
「何のこと?」
「『いじめ』だと相手側が少しでも認識したらいじめだって聞かなかった?
つまり、君のお姉さんは母親を始めとして弟である君から見てみぬふりのいじめ、妹はいじめなどの協力者としてとらえた」
「姉貴とどんな関係がある?」
「何の関係もないよ。
あぶきはただいじめをなくしたいだけ」
俺は俺よりも背が高いあぶきから抜け出そうとして暴れた。
だけど暴れれば暴れる程あぶきの俺をおさえつける力が強くなっただけだった。
「君は生きてちゃいけない。 君は逃がさない」
「お願いだから殺さないでくれ」
「殺す、なんて言ってないよ。
君のお姉さんも君が死ぬことまで望んでないみたいだし」
「姉貴の考えていることがわかるのか?」
「わかるなんてことの程でもないけど君が鈍いだけじゃない?
君のお姉さんとあぶきは過去に会ったことあるんだが君は知らないようだね。
まあ現に君とは初対面だからね」
「いつの話だ?」
「そうだなあ、初めて出会ったのはあぶきが小学6年生の頃だからその時に君のお姉さん勝恋ちゃんは小学3年生だった。
その時はよく笑ったり、怒ったり表情が豊かな子だった」
姉貴にそんなことがあったか。
俺が12月31日生まれで姉貴が1月1日生まれのため同じ年だが、学年は姉貴の方が1つ上だった。
これくらい前のことなんてほとんど憶えてない。
「そんな話はいくらでもできる。
それよりも君に見せたいものがある」
あぶきに連れられて陸野の家に入ると陸野が玄関で、陸野の他に見知らぬ女性と男性がリビングで目を開けたまま倒れていた。
俺は恐怖で目をそらそうとしたところをあぶきが顎をつかんだ。
「ちゃんと見てあげなよ」
見たくない。
こんなの見たくない。
生きてる。
きっと生きてる。
目を開けて倒れてるだけなんだ‥‥
第一血が出てないじゃないか。
誰か、助けて。
そう、心の中で求めた。
聞こえるはずのない声だけど、一人の少女と少女の肩に乗ったリスが現れた。
「そこまでだよ」




