意識が戻った神父の肉体から悪魔の気配は消えていた。
悪魔は神父の体内から、人工呼吸と心臓マッサージを施してくれた救助隊員の体内へ移っていたのだ。
入院中、何とか動ける迄に回復出来た神父は、仲間達に連絡を取った。
そして──、仲間達に人命救助の際に、自分へ人工呼吸と心臓マッサージを施してくれた救助隊員が悪魔に憑かれた可能性がある事を伝える。
勿論、ある日を境に、其の救助隊員と連絡が取れなくなり、忽然と行方を眩ました事も忘れず伝えた。
神父は悪魔に憑かれた救助隊員の行方を追う事を仲間達に頼んだ。
意識不明の危険な状態で運ばれた病院に入院してから4ヵ月が経っていた。
大変だったリハビリの訓練を無事に終え、漸く念願の退院が叶った神父は、病院に勤めている医師達,看護師達,多くの入院患者達,病院通いの患者達から惜しまれつつ病院を後にした。