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 白い、50クラスのスクーターに乗ってきた、彼女のカッコはこれはまた、ステキ! の一言だった。

 ピンクのスクール水着に赤い半袖ジャケット。足に金色のビーチサンダル突っかけて、それだけだ。それだけ――

 それだけの姿の、女子高生。

「――!」

 もうこれはもう、本能なんである。鼻息荒い、興奮しきりな男の子二人だった。

「あはん……!」

 家からここまでこれで来た!

 街中を、大勢の人の目の中を、これで走り、抜けて来た!

 何が彼女をそうさせたのか、ともかく、自分がしでかした事に、さすがに頬を上気させて、「……少し、冒険しちゃったかしら?」と綺麗な声で(うそぶ)くリューシィだ。


 ただし彼女、見た目ほど甘くはなかった! さっそく二人に尋問してきたのだから。

「約束だから一緒に遊んであげる。でもね、聞くこともあるわよ?

 今日学校で、ヨーコちゃんから聞いたわ。それとサイゴー君本人にも聞かされた。なんでも、昨日の牛突きドームで、いるはずのない、わたしの従兄弟を名乗る小学生二人組が、大活躍したそうじゃない(笑)。風貌を聞くとどうやらあなたたち。そうでしょ?

 だったら、昨夕お風呂で出会ったとき、君らはわたしのこと予め知ったうえで接近してきたことになるわ。

 どうやら敵じゃなさそうだけど、そこらへん、はっきりさせたいんですけどネ!?」

 優しくも鋭い視線を向けてくる。

 これにはドールが堂々、受けて立った。

「真実です」

 笑いたくなるほど、はっきり言い切る。

 でも、実際、その通りなのだから仕方ない。

「ボクらは、昨夕に初めて、しかも偶然に、リューとお会いしたんです。そして、遠目にですが、二番目に会ったのが、昨日の昼過ぎのドームだったというわけです」

 ドールは昨夕同様の潔さだった。でも、これには笑ってしまうリューシィである。

「いくらなんでも、とてもとても――受け入れられる話じゃないわ?」

 対してドール、

「もちろん、納得いくように今から説明します」

 自信を持って言葉にするのだった。


「リューシィには、まず旅ゲーのプレイヤーとして、登録をお願いします」

 真剣に見つめる。

 対して、軽く肩をすくめる彼女だった。「わかったわ。とことん、つきあってあげる。その約束だったもんね」

 パムホを手にして――

 五分とかからず、全ての登録が完了する。

「では早速、これから、ボクたちと、一緒に旅してもらいます」

「どうぞ……?」

「コースは、ここから、あそこ。ローソク島展望台としましょう。海に近い、第二展望台の方です」

 そう言ってドールはマップを配布する。


挿絵(By みてみん)


「ローソク島ね……」

 島民たる彼女は言わずもがな、これはワープにとっても知識のある場所である。

 夕日を背景に海上にそそり立つ、ローソク状の岩島の画像は、おそらくは日本人の大多数の人たちが、一度は目にしているだろう。それほど有名な観光スポットだった。

(ただし、夕日を炎に見立てるのは船上からしかできない)


挿絵(By みてみん)

(引用元 http://oki-dougo.info/data01/room/sroom/sroom_nature.html)


挿絵(By みてみん)


「ここからだとちょうど真北へ、ライン約800m。1km未満ですが、ライン高低差が190mですので、基本点1点はゲットできます。そのほか、海から海のコースですから、スペシャル点も多少は期待できるでしょう。そこで――」

 ワープに顔を向ける。以下はお前が話せ、という顔だった。

 ワープ、受けた。

「そこで、お姉さんと契約したいんです……。

 ゴールが見事成立した暁には、ぼくとドール、二人の獲得ポイントを全部受け取ってください。

 僕らの旅に新たな仲間として参加してくださる、ご祝儀と解釈してくれたら嬉しいです。

 この条件で、ぼくらのお誘いを受けて頂きたいのです……」


 リューシィは大人の余裕の笑みだった。

「ライン約800m。つまりマージン約40m。激せま。そしてこのマップのとおり、ゾーン内に道はない。始めっから、ゲームは“成立しないことがわかりきっている”。旅ゲーをするとして、ハナから、無駄骨折りをすることが確定している。つまり――

 記念になるはずのわたしの最初の“旅”で――

 君たちは、得られるはずのないポイントを餌に、わたしを徒労に誘うってわけね?

 点数の多寡ではない。行為そのものが問題なの。

 これは、世間では、侮辱というのよ?」

 さすが、高校生は理屈だった。小学生では歯が立たない。

 でも、ここでドールは受けた。

「本題は、“真実の説明”です。必ず納得して頂けると思ってるからこの“旅”を提案しています。

 そして、その過程で、旅ポイントも得られると申し上げているのです。

 これを侮辱と決めつけるのなら、それこそボクらに対する侮辱ではないでしょうか」

 すれすれの弁舌を振るう。ワープもたまらず口添えする。

「リューシィお姉さん。どうか、ぼくらのゲームに付き合ってください。お願いします……」


 やがて、息をつくリューシィだった。

 ニコッ、と微笑む。

「――まぁ、最初から、つきあう気で来たんだし、ね」


 安堵の息つく小学生の二人だったのである。


 だけど忘れてはいない。契約を三人のパムホに入力、抜け目なく許諾させるあたり、子供といえど流石の熟練ゲーマーだった。

「さぁ、お手並み拝見!」

 リューシィの面白がった、綺麗な声があがる。


 それが凍り付いたのも、そのすぐあとのことだったのである。


15:00。ゲームスタート。


 きゅんっ。



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