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10 相談

少しすると落ち着いてきたのだろう。

ノンの呼吸も落ちついてきた。


「ありがとう、リグル。私友達になろうって言われたの初めてだったから……(それに、家族に見守られてるような、不思議と安心する気持ちになったのよね……)」


「そうなの?」


「うん。学園でも本ばっかり読んでたからなのかな?いたずらされたり、悪口言われたりで……」


「ひどいことする人もいるんだね!そんなときは私に言ってね!やっつけるから!」


「ふっ、ふふふ。そうね。その時は頼るわ。宜しくねリグル」


「任せて!」


「えぇ。ちょっと喉が渇いちゃった。一緒に飲み物とりに行こう?」


「うん!」


そう言ってノンとリグルは階段を降りる。

下ではガーランと鎧を着た男性が話していた。


「ガーラン」


「おぉ!ノン!どうしたんだ?あぁ、新しい本も仕入れてあるぞ!見るか?」


「そうじゃない……飲み物欲しくて」


「そうか!ちょっと待ってろ!風鈴葡萄のジュースを持ってくる!」


そう言うと目の前の男性に一言声をかけてからガーランはホールにつながっている扉を開けて中に入っていった。


「ガーランさん元気だね」


「いつもあんな感じ」


「待たせたなっ!」


10秒もしないでガーランは四つのコップと水差しをトレイに乗せて運んできた。

中には底がはっきりと見えるほど綺麗な紫色の液体が入っている。

露天で売ったりしている物は水でかさ増しされていたり、不味い葡萄を使ってそれをごまかすためにいろいろなものを混ぜるため雑味が多い。


「コウジェも飲むか?」


「あぁ、頂くよ。ありがとう」


「あ、リグルも聞いて行ってくれ。ノンも残って聞いてくか?」


「うん。何の話?」


「魔物の話だ」


チラとコウジェと呼ばれた男はガーランを見るがガーランはそれには気づかないといった風にノンに話しかける。


「それじゃあ座ってくれ」


「はい、失礼します」


「うん」


勧められた席に二人が座って風鈴葡萄ジュースを飲む。


「美味しい!」


風鈴葡萄ジュースはまるでそのまま風鈴葡萄を液体にしたように甘く、水のようにさらさらとしていた。


「うまいだろ?ウチの風鈴葡萄ジュースは混ざりけなしの100%だ。しかも特殊な加工法で味も損なわねぇ」


「まったくだ。これを飲むとほかの風鈴葡萄ジュースを飲めなくなる」


「へっ、コウジェが飲むのは葡萄酒の方だろうが、まぁ、そっちも完璧に最高だが」


「はっはっは、違いない」


「それで、魔物の話って何?」


「おおっと、そうだった。今日の正午前のことだ。

 ここの近く。そうだな。1キロはないところでウルフ系の魔物に襲われた」


「ふむ、やはり聞くとおかしな話だ」


「えっと、何がおかしいんでしょうか?」


「ウルフ系の魔物は……森から出ない」


「ノンお嬢さんの言うとおりだ。ウルフ系は森から出ない。ただ一つ例外を除いては」


「例外?」


「あぁ、例外ってのは森にウルフ系の命を脅かす強大な魔物が出た時だ」


「しかし、それは滅多に起きない。ウルフ系は逃げるだけならほかの生き物には大体負けない。そしてウルフ系より足が早く、力が強い生き物はここらにはいない」


「出るとしたら突然変異種か進化だな」


「あぁ、オークが5匹も出ればあるいは」


「これは冒険者に俺が探索って事で依頼を出しておく。お前は警戒を強めろ」


「あぁ、そのつもりだ……おっと、そろそろ見回りの時間だ。お嬢さん方。私はこれで失礼するよ」


そう言うとコウジェは席を立ち商会を出た。


「あの……」


「なんだ?」


「コウジェさんって何者ですか?」


「コウジェはそうだなぁ……騎士みてぇなやつだよ。街を守ってくれてんのさ」


「……これから忙しくなりそう」


「忙しくなるの?」


「うん。リグル。オークってわかる?」


「わかんない」


「オークっていうのは身長が2mもある鬼に属する魔物よ。


 一般人は腕を払われただけでひき肉になってしまうわ。そんなのが街の近くにいるの。

 大変でしょ?」


「確かに大変だね!」


「はいはい、二人共そんな話はレディのする話ではありませんことよ。

 そろそろ風呂が沸くから二人で入ってきな」


「はーい」


「わかりましたー」


「それじゃいこ、リグル。こっちだよ」


「あ……私着替え持ってないや」


「私の貸してあげる」


「いいの?」


「うん。昔のがあるからきっとサイズも合う」


「ありがとう!」


二人が仲良く手をつなぎながら着替えを取りに部屋へ戻っていった。


「ノンがあそこまで明るくなるなんてな。拾ってきて正解だったぜ」


誰に言うでもなく呟いたガーランの言葉にずっと部屋の隅で気配を消していたヨーヘイが返事をする。


「いや、まったく、その通りだな。ノン嬢ちゃんもおっさんの過度なスキンシップに疲れてたんだろう

よ」


「バカ野郎あれは愛の形だ。素っ気ない自分を見せても相手は愛してくれてるのか俺を試してんだよ」


「さようでございますか」


「さようでございますの。なぁ、ヨーヘイ。話は聞いてたか?」


「まぁ、ね。」


「それじゃあお前今から森を調査してこい。オークだったら殺せ。オーク以外で手が出せないやつだった

ら戻ってこい」


「別にオークじゃなくて倒せるやつだったら倒してしまっても構わないのだろう?」


「倒せるんならな。一瞬でもまずいと思ったらすぐに帰って来い」


「はいはい、それじゃあ失礼するよ」

そういってヨーヘイは扉を開けて日も暮れ始めた街へくりだしていった。


「できればノンが笑える時間がずっと続いて欲しいものだ」


ガーランは壁に掛けてあるノンの肖像画に一度目を向けると自室へと戻っていった。


お気に入りありがとうございます!これからも精進します

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