6月〜汐 2周目 前
久しぶりの更新。
本当にいつぶりでしょう…。
中間テストが1週間後に迫った6月初頭。
剣道場の横を通りかかると、河桐君が竹刀を振るっていた。
…あれ、部活動禁止じゃなかったっけ…。
「…あれって、河桐?」
「うわ、朱斗…いつの間に」
「ん?汐がオレ以外の男を見つめてるから誰かなーって思って」
「はいはい、言ってなさい。今って部活禁止でしょ?アレ大丈夫なの?」
「いや、ダメだろうね。いいんじゃねぇの?勝手に怒られればさ、オレは知らない」
「あ」
「どした?…って、愛ちゃんじゃん」
聖風さんが剣道場に入って河桐君に近づいていった。
「もう、部活禁止期間じゃないの?」
「…いいだろ、家でちゃんと勉強してるし」
「よくないよっ、先生に怒られるよ」
「怒られたらその時はその時。で、聖風はなんでここにいんの」
「それは、そう君が見えたから…」
「俺が怒られようが何しようが関係ないのに何で?」
「幼馴染だし…」
…これ、よく攻略する気になるなぁ…。
クールってより敵視じゃんあれじゃあ。
「汐?怖いの?」
「え、あ、いや…」
「…?あ、佐藤と灯桜」
「ご、ごめんね、覗くつもりじゃなかったんだけど」
「…いや、いいけど」
「あ、あのさ…」
「ん?」
「部活に一生懸命なのって、かっこいいとは思うけど…、
テスト勉強で疲れすぎちゃうと大変だからさ、ほどほどにした方がいい結果出るんじゃないかな、なんて…」
「……」
「そ、そういうことだからっ!それじゃ!」
目線が痛かった…。
さて、そんな河桐君との二回目の遭遇から数日。
中間テストが始まった。
といっても、見覚えのある問題をひたすら解いていくだけの簡単な作業と化した。
そりゃそうか。
だって何度もやってるし。
苦手なところも克服できたし、得意なところは確実に出来るようになった。
それくらいのメリットなきゃ、やってらんないけどね。
「汐のおかげで赤点は逃れられそうかも…」
「何言ってるの。朱斗が頑張ってたからだよ」
「…そうかな。オレ教えてもらってなかったら、どんだけ取れても数学だけはギリギリなんだよね。とりあえず、赤点じゃなかったらセーフだからさ」
「赤点のペナルティでもあるの?」
確か、部活でペナルティがあるとか、そんな話をしていたような気がする。
「大会出してもらえないんだ。勉強と両立できての部活だから、1回なら見逃してもらえるけど、2回目以降はレギュラーから外される」
「へぇ」
「…オレ、レギュラーになってから何とかギリギリでもキープしてたんだけど、去年の学年末に赤点取ったから後がないんだ」
「シ、シビアだね…また次のテストも一緒にやろうか?」
数学ならループに気づく前から得意な方だし。
「ホントに?!」
「う、うん…」
何だろう、朱斗に犬の耳と尻尾が見える…。
「汐がいるならもう百人力だね!」
「…そ、そうかなぁ…」
テンションが急に上がった朱斗におされつつ、とりあえずはテスト返却で彼のテストが本当に赤点じゃなければいいな、と思った。