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決戦③

 ブラート王の周囲は焼け焦げた死体や重度の火傷を負って呻くユーティア帝国の兵士が山となって転がって居た。


 若い頃からブラート王の戦い方は変わっておらず、それは王としての戦い方ではなく、1人の戦士としての圧倒的な力を振りまく戦い方だった。


 全体指揮は配下の軍師達に任せて敵兵の真っ只中に1人で攻め込む、それがブラート王の戦い方だった。


「相変わらず王とは思えない戦い方ですわね」


 肉が焼ける嫌な匂いが立ち込める戦場で、私はブラート王と対峙した。


「エリザベートか、久しいな」

「お久しぶりですわ、陛下」


 最近、砕けていた言葉が昔の堅苦しい感じに戻って行くのを感じた。


「エリザベート。先ずは謝らせて貰おう。

 愚息がしでかした事、その後の俺の対応、どれもが間違っていた。済まなかった」

「………………」

「エリザベート、王国に戻って貰えないだろうか」

「もう全てが遅すぎますわ」

「…………そうか」


 ブラート王が手にした剣を振る。

 特に力を込めた様には見えず、何気なく振るった様だが、その剣から雷が放たれ私へと襲い掛かる。


「【強欲の魔導書】」


【暴食の魔導書】を【強欲の魔導書】に変え、取り出した物を投擲する。


 すると私に向かっていた雷が投擲した物に引き寄せられ私から逸れた。


「む、雷電石か」

「ええ、陛下と一戦交えるのですから当然の備えですわ」


 雷電石とは高品質な魔石をベースに多くの希少素材を使って錬金術師によって作られるマジックアイテムだ。

 その効果は雷を引き寄せて溜め込むと言う物。


 それだけの効果なのに素材が高く、技術も必要なマジックアイテムなのでかなり高価な物だ。

 しかも、一度雷を溜め込むと砕いて雷を放出するだけの為、使い捨てが前提だ。


 一応雷から塔や家屋を守る事に使われる事もあるが、それなら避雷針を建てた方が安価で長持ちする為、使い道の無いマジックアイテムだ。


 私はそれを錬金術師に依頼して大量に作らせた。


「【雷雨】」


 降り注ぐ雷の雨を再び【強欲の魔導書】から取り出した雷電石を投げて無効化する。


「【氷槍】」


 反撃に魔法を放つが、ブラート王は軽く腕を薙ぎ雷で氷を砕く。


 あまり接近しすぎると、雷電石での防御が間に合わなくなる。


 私は氷の槍や刃を次々に撃ち出すが、ブラート王も軽くそれを防ぎ切る。


「雷電石の防御は悪く無いが、決め手に欠けるな」


 ブラート王は自らの体に雷を纏うと、落雷の様に轟音を立てて踏み込んだ。


 ブラート王が得意とするスキル【瞬雷】だ。

 自分の体を一瞬雷と同化させて高速で移動する技。

 普通の人間なら反応すら出来ずに雷と化したブラート王に撃ち抜かれる。


 だが私はブラート王の移動ルートを読み躱す。

【瞬雷】は本物の雷と同じある特徴がある。

 それが『閃光放電』だ。

 ブラート王が移動するほんの少し前に感じる僅かな空気の変化を感じる事で雷を躱すのだ。


 だがこんなギリギリな回避は長くは続かない。


 私は反撃に出る為、魔力を練り上げるのだった。


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[気になる点] 一国の王の一人称が「俺」はちょっと…。
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