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大戦⑩

 崖の上から防御隊列を組む兵士を見下ろしながら、隊の中央に居る銀髪青眼の壮年の男の口が私の名前の形に動くのを見た。


 ジーク・レイストン、私の父親だ。


 その場から身を踊らせると、数秒の自由落下の後、魔力を纏い着地する。


「エ、エリザベート様⁉︎」

「貴女様が何故⁉︎」


 私の姿を見た兵士達に動揺が広がる。


「狼狽えるな」


 しかし、ジーク宰相の言葉で直ぐに落ち着きを取り戻す。やはり優秀な兵士達ね。


「エリザベート、お前は自分が何をやっているのか理解しているのか?」

「勿論、理解しておりますわ。

 それと、エリザベート・レイストンの名は捨てました。今はエリー・レイスと名乗っております。

 今後はそうお呼び下さい」

「何をふざけた事を!お前は貴族なのだぞ!

 王国に仕え、国の為に身命を捧げる。その為に存在する。それが貴族だと教えて来た筈だ。

 お前がしている事は国に対する裏切りに他ならない」

「…………下らない」

「なに?」

「では貴方は如何なのですか?ジーク・レイストン宰相殿。国を脅かすフリードの行動を正当化する為に娘に国家叛逆の罪を負わせ、ユーティア帝国との停戦条約を反故にするブラート王を諫める事もしない。

 貴方の行動は国に仇を為していないと言えるのですか?」

「当然だ。フリード殿下はハルドリア王国の正統な後継者だ。フリード殿下を失えば王国の屋台骨が揺らぐ事になる。何を犠牲にしてでもお守りしなければならない。

 今回の戦争にしてもそうだ。

 戦を決めるのは国、つまり王だ。

 ならば、臣下である私は最大限の助力を行うのは当然の事だ」

「やはり、貴方とは意見が合わないわね…………殺しなさい4号」

「っ⁉︎」


 私が命令すると同時に4号が短剣を抜きジーク宰相に突き出した。

 片腕を失っている為、以前の様な鋭さは無いが、無警戒の所に至近距離からの一撃だ。


「閣下!」


 1人の兵士がジーク宰相と4号の間に自分の身を差し入れる。


「ぐっ!」

「う、あ、あ……」


 4号は兵士から短剣を抜き、流れる様な動作で首の頸動脈を斬りつける。


「何をしている4号!」

「さ、さ、宰相閣下……わ、わた、わた、私は……あ、え?」


 訳がわからない、と言った表情の4号だが、その体はジーク宰相を殺そうと短剣を振るっている。


「くっ、仕方ない」

「がはっ」


 ジーク宰相が腰の剣を抜き4号の短剣を弾き、返す刀で4号の脇腹から肩に掛けて逆袈裟に切り裂いた。


「こ、ひゅ」


 全身を痙攣させながら倒れ込んだ4号にトドメを刺したジーク宰相は私に視線を向ける。


「エリザベート、4号に何をした」


 私はその問いに答えず肩をすくめた。

 そして、4号が死ぬのと同時に私の足から痛みが消える。


 4号には【色欲の魔導書】による洗脳を施していた。

 この二重の浸透行軍の情報を流したのも4号だ。


 私はここ数日、激痛と痺れで上手く動かせなかった左足を確かめる様に数歩を歩きながら【強欲の魔導書】からフリューゲルを取り出す。


「…………なんだ、お前のその神器は?お前の神器【英知の魔導書】にそんな能力は無かった筈だ」

「今から死ぬ貴方には知る必要の無い事ですわ、お父様」


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so it's different from the LN, that's why I'm going crazy
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