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到着の日

 聖騎士との遭遇から数日、特に何事も無く旅を続けていた私達の目の前に立派な防壁で囲まれた街が見えてきた。


 門の前にはケレバンの街に入ろうとする者達が列を成している。


「おお!見えて来たッスよ!」

「ティーダお姉ちゃん、マドからお顔をだしたら危ないんだよ」

「あ、はいッス……」




 それから馬車の列の最後尾に並び、順番を待つ。

 列は意外と早く進み、早々に私達の番がやって来た。

 そこで番兵に身分証などを提示し、ケレバンの街に入った私達は、取り敢えず今日の宿を求めて大通りを進むのだった。




 ◇◆☆◆◇




 ハルドリア王国の王城の一室、急遽用意された執務室で王国の第一王女であるアデルは山の様な書類を相手にしていた。


 王太子の代理として仕事を始めたアデルは、まず帝国との偽金問題の対処から手を付け始めた。


 ブラートやジークは属国への対応や通常業務で手一杯であり、新たに持ち上がったこの問題に対処する時間が取れなかったのだ。


 国内の無駄を整理し、資金を捻出し、更にその過程で明らかになった不正を働く貴族から罰金を徴収、それを払えない貴族や罰金で済まない程の罪を犯していた貴族を処断し、没収した領地を整理し、帝国に面した領地を持つ貴族を説得し、代替地として没収した領地を与えるなどして領土を帝国へ割譲する事でようやく帝国との和解が成立した。


 その結果、王国は領土を失い、貴族も減った。


 コレだけを見ると王国の弱体化だが、実情は違う。

 足を引っ張っていた不正貴族を排除し、領土を縮小する事で、王国の国力はそこまで落ちる事は無かった。


 寧ろ、フリードに与していた貴族の力を削ぎ、中立を保っていた貴族にフリードへの不信感を植え付ける事が出来た。


 アデルが王太子の代理となった事は未だ公にはなっていないが、今のうちに公表された後の事を考えてアデルは情報を操作していた。


「マオラン、この書類は不備があるから軍部に戻して置いて」

「はい…………アデル様、本当にコレで良いのですか?」

「ん?良いんだよ。その書類の不備は軍部の責任なんだから、戻して訂正させれば良いよ」

「いえ、そうでは無く……コレではアデル様も王国から裏切られたエリザベート様と言う方と同じでは有りませんか?

 王国はアデル様も使い潰すつもりなのでは?」

「ああ、そう言う話か」


 アデルは持っていた書類を積まれた書類の山の上に戻してマオランに視線を向けた。


「確かにボクにエリザベート姉様の代わりをさせようと言う意図は有るだろうね。

 でも、エリザベート姉様とボクには決定的な違いがあるんだよ」

「違いですか?」

「うん、ボクには王位継承権がある」

「⁉︎」


 アデルの発言の真意を理解し、マオランは息を呑んだ。


「アデル様……」


 アデルはマオランに頷く。


「ボクは王位を取るよ。

 兄上の様な愚物に国を任せる事なんて出来ない。兄上にはボクの為に精々楽しく踊って貰うよ」

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