1、奴隷と軍師とハニートラップと
私は奴隷女
奴隷として生まれた。
幸いな事に
子供の頃から容姿は、そこそこ良い。
そのおかげか大切にされた。
奴隷としては不自由無く暮らせている
そんなふうに成長した私。
だんだんと大人っぽくなってきた。
ある日、主人が変わった。
というか、国へ売られた。
国が、わざわざ私を買う?
( なぜだ?)
生まれ育った国が、何を思ったか奴隷を集めている。
私以外にも奴隷が沢山。
百人くらいの奴隷達。
集められた奴隷そこそこ皆見た目が良い。
後宮にでも入れられるのかと思った。
ちょっと警戒していた。
だけれど、集められた奴隷の半数は男。
特に成人前の男の子が多かった。
(後宮説の予想が、外れたかな?)
さっぱり国の目的がわからないんだ?
私は元々あんまりモノを考える性格でもなく、頭も別に良い方ではない。
ある日の朝食。
集められた奴隷達と朝食をとっていた。
私達の前にパリッとした服を着て、眼鏡をかけた上品で優しげな男がやってきた
そして……
「私は、このたび新しく、国の軍師将軍に任命された者です」
優しげな男は軍師将軍と名乗った。
(軍師将軍? 軍師は知ってる。
なんだか賢くて偉い人の事だ)
私の内心など知らず軍師は話を続ける。
「この国は駄目駄目なのです。」
自信満々に、はりきって情けない事を言う自称軍師様。
(この国、駄目駄目なの? 知らなかった)
成人前の私には、あんまり国の難しい事とかは、わからない。
「先代の王様や将軍が失敗政策続きで、ついに、この国には後が無くなりました。」
(えぇ〜)
この国が、そんな事になっていたなんて、私は知らなかった。
奴隷には国の行く末とか、あんまり関係ないし……
「国を立て直す為に、日本と言う異世界から異世界人達を召喚します。」
と軍師は言う。
(い、異世界人?
誰だ。それは? 初めて聞く)
と言うか、なぜ?
(国を立て直すのと異世界人に何の関係があると言うの? わからない。)
なぜなぜが止まらない。
「異世界人達は強力な能力や知識を持っている事が多いのです。彼等の力を借りて、この国を復興したいのです」
私達の不思議そうな顔色で何かを察したのか、軍師はイチイチ説明してくれた。
(なる程。わかった……
いやわからない。
それで私等は、
なぜ集められたのかが、
わからない)
「異世界人を呼び出す事は簡単です。
しかし異世界人は自由でわがままです。
彼等にはコチラの常識はあんまり通用しません。
せっかく呼び出した異世界人が我が国から離れたり、彼等を他国へ取られては意味が無いのです。
かと言って力ずくで我が国への帰属を強制すれば、彼等は必ずこの国に牙を向く。
異世界人とは戦闘民族なのです」
軍師は、たんたんとぶっそうな事を言う。
「え〜〜?」
戦闘民族。
(ちょっと待って。呼ばないでよ。そんな危なそうな異世界人)
私の内心を他所に、軍師は言葉を続けた。
「しかし……私が古い文献を調べたり、実在する異世界人に確認した所。彼等には弱点があります。
彼等はハニートラップに弱い。
異常に弱い。
とても弱い。
「なので、ここに集まった皆さんには、異世界人をハニートラップで、この国に定着させて欲しいのです」
『えぇぇ!』
軍師の言葉に、ざわつく奴隷達。
私達はろくでも無い理由で集められてた。
ハニートラップとな!
『あの〜。それって……つまり色仕掛け?』
『え……僕たち男にも? 男娼になれ…と』
『女は娼婦に???』
『私達、娼館に売られたんだ』
『異世界人は召喚。俺達も娼館ってか?』
『誰が上手いこと言えと???』
騒ぐ奴隷達。
「あの〜。皆さん落ち着いて下さいね。別に身体を売らなくても良いのです」
と、軍師は言うが……
『……信じられない』
『軍師って人を騙す人の事だよね?』
『あ……! そう言えばそうか』
『俺達を騙す気か!』
奴隷達は口々に疑念を口にする。
「失礼な。私達軍師が騙すのは敵だけです。自国民を騙したりしませんよ」
と軍師。
『でも、私達は奴隷だし』
「奴隷も大切な国民ですよ」
『……』
真面目な顔で奴隷を大切だと言う軍師。
軍師、は意外といい人なのだろうか?
「ようは奴隷の皆さん。異世界人と友達になるか、恋人になって下さい。それだけでも良いのです。
それが異世界人達を、この国に引き止め協力して貰うのに都合が良い。」
軍師は初めにハニートラップと言った。
でも、ハニートラップと言うには、いがいと普通と言うか、凄く簡単なやくめ。
(異世界人と恋人? 友達?
それだけで良いの?
でも……
もし異世界人がタコみたいな化物の姿だったらどうしよう?)
私が心配していると軍師は……
「一人でも異世界人を、この国に引き止め定住させる事に成功した人には、ご褒美として奴隷の身分から開放することを約束します」
『マジ?』
『本当?』
『やったぁ』
喜び騒ぐ奴隷達。
「ちなみに……別に身体を使って異世界人を籠絡しても、いっこうに構いませんよ」
軍師が、そう付け足す。
すると、一瞬で騒ぎが静まった。
真剣に検討する奴隷達。
余裕の表情の奴隷と様々だ。
(う〜む。私達は奴隷。しかもそこそこ外見が良い年頃の奴隷ばかり集められている。
そういう事には興味ある者も経験者もいる。打算もある)
一様に考えこむ奴隷が多かった。
「深刻に考えなくても良いのですよ。
異世界人も同じ人間です。
良い友人、良い恋人に出会えるチャンスの1つだと考えてください。
それも……
貴方達を奴隷の身分から開放してくれる友人や恋人ですよ!」
明るい声で軍師からそう言われると、そんな気もしてくるから不思議。
『それもそうか』
と奴隷達の目に綺麗な光が灯る。
みんなホッとしたような、楽観した様な雰囲気になった。
(確かに異世界人の友人や恋人をつくるだけで、奴隷の身分から解放してくれるならば、破格の条件だわね。)
やる価値はある。
と言うかチャンスだ。
今までの人生には無かったチャンス
つまり人生最大のチャンスだ
私達奴隷達は色めき立った。




