第八十話 協定と未来
ネビル、ラボ、フェアリーリングが一堂に会した歴史的な三者会談。
緊迫した空気の中で始まった対談は、意外な方向へと進展していく。
ダークナイトという強大な脅威を前に、それぞれの技術と知恵を出し合う首脳陣たち。
星を絶対に守り抜くという強固な協定が結ばれる中、会談は予想もしない「未来への提案」へと導かれていく――!
会議は順調に行われた。
ユウが心配するような波乱もなく、むしろ、ネビル側の方が丸裸に近いところまで素性やプランを明かしていた。これにはラボもフェアリーリングも拍子抜けだった。
やはり、ダークナイトの脅威は本物で、彼らはこの星を絶対に侵略されない場所にしたいらしい。
その誠意は痛いほど伝わってくる。何せ彼らはダークナイトの元で仕事をしたことがあるからだ。逃がしてくれたダークナイトからも、フェアリーリングの存在が外に漏れないようにと釘を刺されていた。
協定はすんなりまとまった。
テラフォーミングはわかりやすく説明され、その完璧なプレゼンには誰もが驚いた。地球では果てしなく感じる1000年は、この星にとってはあっという間。寿命の概念が全然違うからである。
種族によってはほぼ不死に近いものもいるからだ。フェアリーリングの民もそれに近い。
あとは、今後ダークナイトからどう凌ぐか。本題はここからであった。
ラボ側から一つ提案がある。
「外部からのログの感知と、それを逸らす機能の強化を、我々と共同で作りませんか? お互いの技術を持ち寄れば、きっと強固なものができると確信しています。現に、地球にはその技術を使用しており、不可侵領域にすらなっております。」
「確かに……我々も、逃げる場所を探した際に古いログを一度調べたことがあるんです。けど、地球には辿り着けなかった。レーダーになんの反応も無かったのです。もはや、はるか銀河の彼方まで調べにいくことすらも無駄になると判断できるほどに。その技術をこの星に提供していただけるなら、百人力です。」
「決まりだな。一刻を争う。ラボの諸君、開発チームは今すぐに集まって、ネビル側の指示のもとですぐに開発を開始してくれ。この後の会談は、後で議事録を挙げておく。」
「ネビル開発部門も同じく、今すぐに動いてくれ。ラボの皆様、サブの会議室がありますので、そちらをご使用ください。」
手際よく開発チームは分断して進行された。
「あとは、自力で辿り着く者たちをどうするか、じゃな?」
「ええ、そうです。飛行船や巨大戦艦を母体に浮遊している種族もおります。ログやレーダーではなく、自力で渡航してくる者たちの扱いをどうするか、考えなければなりません。」
そこで、ラボから提案が挙がる。
「それこそ、こちらから探知するシステムを強化しましょう。外部からのレーダーを逸らしつつ、各所にアンテナを設置するのです。この星を中心に全方位にアンテナを張り巡らせ、引っかかったらすぐに管制塔へ情報を流す。そして、ワープ原理を利用して進行方向の空間を曲げる。そうすることで、相手はまっすぐ進んでいるつもりでも、この星からは逸れて進行する。つまり、辿り着けない仕組みにすることだ。」
「それは素晴らしい。今すぐメッセージで開発部門に送っておきます。」
「また、もし味方である可能性が高い場合には、特定のシグナルを出して識別したら良い。もちろん、味方側からの通信に対しては、一度こちらで識別して、返すかどうか判断すれば良い。」
ラボの提案のもと、星を守る技術に関してはスムーズに進められた。
「わしらはほぼ出番なしじゃな。それで良い。」
「いえ、ここからが本題です。」
「なんじゃと?」
皆がざわつく。星の寿命や防御面も話し合い、いったいこれ以上何を話すのか。
「いくら防御を整えても、それでも奴らが突破してくる可能性は十分あります。ですが、彼らの戦闘力には我々の武器では刃が立ちません。そこでお願いがあるのですが、我々を鍛えてくれませんか?」
「は、はぁ? 鍛える?」
「はい。もしかすると、我々の中にもフォースに精通する者がいるかもしれません。まして、その親和性を少しでも学べば、侵攻してきた際にも身を守れるかもしれません!」
「なるほどのう。」
皆、静まり返っていた。トウはその空気を蹴散らすように笑う。
「はっはっは! そんなことか! 良いぞ? そのくらいのことはせんとな。その代わり、やり方は妾たちが決める。それで良いな?」
「よ、良かった! ありがとうございます!」
会談は無事に終了。意外にもトウはあっさりOKを出した。
「あの、なぜすんなりOKを?」
「ん? まあ、暇つぶしじゃ。」
「暇つぶしーー!?」
「まあ、半分はな。もう半分は、種族繁栄と、星単位で強くならねばならんということだ。侵略は事実、現実のものとなりつつある。無抵抗でこの星を明け渡すなんてごめんじゃ。」
こうして、星は一つにまとまった。
◆
「なんとかまとまったね。はじめはどうなることかと思ったけど、フォースのことも含めて、やれることはやれたから良かったよ。立ち寄って良かった……」
「本当だね。シャクやフェビルにも出会えたし、星の未来も守れた。けど、これからが本当の戦いかもしれないね。」
「ダークナイトの侵攻。これから関わるすべての星にとって、問題になるってことだよね。」
「次はセブンスター……この母船も進化させないとね。」
「みんなとお別れか……ちょっと寂しいなあ。」
「今回は、みんな星に残らなきゃならない人たちだから、ここでお別れしなきゃね。辛いけど、また会えるよ、きっと。」
フェアリーリングの王宮のテラス。
夜空に浮かぶ光る星を見ながら、アリスとユウはまた、旅立ちの決意をするのだった。
第八十話 完
第八十話をお読みいただきありがとうございました!
歴史的な会談は、誰もが予想しなかった「大団円」の形で幕を閉じました。ラボの科学力によるレーダー欺瞞や空間湾曲の防衛策、そしてトウ姫によるフォースの育成方針。星が一丸となって未来へ進む姿は胸が熱くなりますね。そして、ユウとアリスの次なる目的地は「セブンスター」。出会った仲間たちとの別れを惜しみつつ、二人の銀河を巡る旅はさらにスケールを増していきます!
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