第六十六話 抑圧
一歩ずつ、しかし着実に「テレパシー」をモノにしていくユウ。
順調に見えた修行でしたが、トウ姫がユウの深層心理――「フォースの核」に触れた瞬間、事態は急変します。
そこに封印されていたのは、真面目なユウからは想像もつかないほど強大で、歪なまでに抑圧されたエネルギーでした。
「色欲のフォース」。その覚醒を前に、最強のフェアリー・トウ姫ですら激しく動揺し……!?
あれから数日経過。
ようやく、テレパシーを相手に繋ぐところまでできるようになった。
(ほう。思いのほか早かったのう。しかし、小僧のテレパシーは、まだ広範囲には程遠い。
脱出時は近距離じゃないと話にならぬな。)
ピン。
ようやくトウへ繋がる。
トウは、自然に受け取り、フォースを繋げる。
『よくやった。妾の声が聞こえるか?何か話してみい』
『聞こえます。しかし、かなり小さな声ですね。』
『そりゃそうじゃ。フォースが弱すぎる。
じゃあ、特別に、妾がお前のフォースポテンシャルを見てやろう。そのまま繋いでおけ。』
トウはユウのフォースを探る。
(ん?なんじゃ?こりゃ珍しい。ガチガチに蓋をしてあるのう。
これを解放し、使いこなせなければ、フォースの鍛錬は厳しそうじゃな。むしろ、この残りっカスの状態で、ようここまでやっとったわい。
よし、少し開けてやろう。)
トウはその鍵をあけるように、ユウのフォースの蓋をあけ、覗いてみる。
ガバ! プツン!
「わ!」
(いきなりテレパシーが切れた!俺のせいかなあ。)
ふと、トウを見る。すると、トウは、下を向いており、髪が邪魔して表情が見えない。
何やらフルフル震えているようだ。
キ!
(う!すごい圧だ!こ、怖い!けど、な、なんで顔が赤いんだ?!)
(な、なんてことじゃ……こやつ、どれだけ抑圧しておるのだ。
元々の欲求を、全てここに押し込んでおる。
フォースの核と混ざり合って、すごい異形なものになっておるぞ。
フォースはある程度清らかじゃないといけない。しかし、こいつの心は確かに清らかで健全じゃが……健全の路線がズレて、そこが根元になっておる。
本人は全く自覚しておらんがな。
く……しかし、妾がこれをせねば、こやつは力を解放できん……方法と覚悟が必要じゃな。)
『小僧、すまんが今日はここまでだ。また明日こい。』
『わかりました。ありがとうございました!』
◆
『シャク、お前、ユウの蓋の中、どれくらい開いた?』
『ほ、ほんの少し、覗いただけで、もう耐えられませんでした。』
『じゃろうな。あんなフォース、こじ開けようもんなら。それを一旦受け止めんといかん。
辱められるようなもんじゃ!』
『けれど……変な期待感もあって、それが、とても怖いんです。いや、でも、もしそのフォースを浴びれば、何か幸せになれるような……なんとも言えないけど……』
『そう、それが色欲のフォースじゃ。
それ自体は珍しくない。悪用する奴らもおるからのう。
ただ、ユウのは、意図的じゃない。もう、核になっとる!
性格は真面目じゃ!しかし、核があれじゃ!
こりゃ、もし覚醒したら、すごいことになるぞ!
わしらは特に敏感じゃ。だから、ある程度バリアを張る必要がある。
シャク、そのつもりで今から鍛錬しておけ。
明日、ユウの蓋を開ける。
皆覚悟しておけ。』
『えええ!明日ー!?わ、わかりました!
ど、どうかご無事で!』
(と、いうことは、ユウにそれを自覚させて、フォースのコントロールをさせるということ……はわわ……ど、どうなってしまうんでしょうか、ユウ。)
トウは、捕獲室で一人、ため息をつき、何かを決心する。
(さあて…フェアリーリング最強といわれる妾を、どこまで手こずらせるかのう、ユウよ。
ふ。こんなことなら、もっと遊んどくんじゃったわい、免疫が足りなさすぎる!)
第六十六話 完
第六十六話をお読みいただきありがとうございました!
ユウの秘められた力がまさかの「色欲」だったとは……!シャクやトウ姫が必死にバリアを張ろうとする姿に、今後の修行(?)の過酷さが予見されますね。ユウ本人が無自覚なのがまた恐ろしいところです。
果たして明日、その「蓋」が開かれた時、一体何が起きてしまうのか。
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