第百十四話 神の力
過酷な環境とデタラメな重力が支配する「惑星エリシオス」のビーストエリア。
留守番を命じられたユウがライトソードの鍛錬を始めようとしたその時、恐れていた凶暴な巨大珍獣が襲いかかる!
宇宙船は破壊され、デタラメな重力に身体が追いつかず地面に這いつくばるユウ。
巨大な鎌が振り下ろされ、絶体絶命の危機に陥ったユウが助けを求めて叫んだその瞬間、天空から一人の好青年が舞い降りる――!
彼こそは天界からやってきた伝説の存在、ヘラクレス!
はたしてユウは彼との出会いによって、この過酷な異星で生き延び、仲間たちのもとへ辿り着くことができるのか――!?
ズシーン……
「じ、地震!?」
「いえ、これは足音です。」
「ええええ!!そんな悠長な!早く逃げよう!」
ユウは宇宙船から急いで飛び出した。
ズザザザザー!!
ズン!!
「う!!なんだ!?か、身体がいうことをきかない!!」
ユウは地面に這いつくばる。
「うぐぐ!重い!!なんだ?重力かな!?」
ドガン!!
宇宙船が破壊される音がした。
ユウは地面を這いながら振り返る。
ギギャオー!!!!
そこにいたのは、巨大なカマキリのような生物。
宇宙船はすでに潰されており、珍獣が辺りを見渡している。
(な、なんだあの化け物は!?デカい!!は、早く逃げないと!!)
ユウは地面を這いながら少しずつ逃げる。
しかし、その気配に気が付かれ、珍獣はユウを発見した。
ギギャオー!!!
ドスドスドス!!
珍獣はユウへ向かってくる。
「き、気づかれた!!やばい!うぎぎ、この、体動けー!!」
ついに真後ろに珍獣がやってくる。
ギギャオー!!
珍獣は大きな鎌を振り下ろす。
ブォン!!
ザク!!
ユウは間一髪で避けて地面を這う。
「あ、危なかった!あ!!?」
バキ!!!!
ユウは珍獣の前脚で蹴り飛ばされた。
ズザザザザ!!!
「うぐぐ!くそう、身体が思うように動かない!」
グワ……
珍獣はまた鎌を振りあげる。
「も、もうだめだ!!だ、誰か助けてくれー!!」
叫んでも周りに人はいない。だが、追い詰められると自然と助けを求めていた。
ブォン!!
鎌が振り下ろされたその時。
ドグシャー!!!!
凄まじい音と共に、珍獣に何かが降って来た。
「へ?」
珍獣は地面にめり込んでいる。
その上には一人の人間がいた。
ピョン…スタン。
珍獣から人が降りてくる。見るからに好青年だ。
「ふう……危なかったね!ここはこの星でも危険な場所だ!さあ、すぐに離れよう!」
「助けていただき感謝します。ですが、う、動けません!」
「大丈夫、僕が背負っていくから、それ!」
ブォン!
好青年はユウを軽々と背負い、膝を曲げてしゃがみ込む。
ググググ……ドン!!!!
ギュイーーン……
好青年は一気に飛び上がり、この辺一帯を抜け出す。
ズドン!!
しばらく空中を移動して見事に着地した。
「こ、ここは、あれ?身体が動く!あ、あの、助けていただきありがとうございました、俺は、ユウといいます。」
「危なかったね!僕はヘラクレス!よろしく!」
「え!?ヘラクレス!!?」
「ん?僕を知っているのかい?」
「な、名前は……俺のいた星で、有名な名前です……」
ヘラクレスは少し考えて、パッと目を見開く。
「もしかして、君は地球の民かい!?」
「え!?ええそうです。地球をご存知なんですか?」
「そうかそうかー!!ハハハハ!やっと出会えたよ!地球の民!」
「え?ど、どういう……」
「ここじゃなんだから、あそこの家で話そう、僕の家なんだ!」
そういって、ヘラクレスは家に入っていく。
ドスン、ドスン。
ユウも歩いて家に向かう。
「く!さっきより軽いけど、やっぱり思うように動けない!」
◆
ヘラクレスはユウに飲み物を出す。
「さあ、これを飲んで!」
「ありがとうございます。」
「そんなかしこまらなくていいよ!ああ、今日はなんて日だ!地球の民に会えるなんて!」
「地球をしってるの?」
「うん!知ってるというか、地球の民と友達なんだ!一番はじめに地球を出た人って言ってたよ!名前はヘット博士!」
「え!?はじめに……それって1st……」
「僕はね、天界とよばれている星からきたんだ、ある人物を追ってね。そのとき、地球の民と知り合ったんだ!」
ヘラクレスは当時の様子をユウに話してくれる。
天界で、ハデスというものが、ゴッドオーラを奪って逃げたこと。
オーラを取り戻すために追って来たこと。
オーラが奪われているため力がかなり減っていること。
地球の民が協力して、オーラのかけらを奪い返してくれたこと。
「ゴッドオーラ……そんな力があるのか……」
「天界では皆その力を使えるんだ!下界ではあまり使うなって言われてるんだけどね。」
キュイーン……
ヘラクレスは全身を光らせて見せてくれる。
「これがオーラだよ!パワーを何倍にもしてくれる!僕たち天界の民は、生まれながらにこのパワーを持ってるんだ!これがあれば、星の環境には左右されない!」
オーラについてもヘラクレスは説明してくれた。
天界の民はそれぞれ得意分野があると。
ヘラクレスは身体強化を得意としていた。
「そして、オーラを盗んだ張本人、そいつの名はハデス!まだカケラをもってるから、いつか取り返さないといけないんだ!」
「は、ハデス、冥界の王?」
「お、さすが地球の民だ、ハハハハ!そんな大袈裟な肩書きなんだねアイツ!そうさ、アイツは闇の力を使うんだ!
この銀河でわかりやすくいうと、闇のフォースだね!」
ハデスは生まれながらの異端児。ずる賢く、天界のルールも守らずに、他の星へ行っては悪さをしていた。
ある時、セブンスターにも立ち寄り、科学者の協力をえて、オーラを取り込む装置を手に入れる。その時はまだマザーが完成系になっていない頃の時代。
その当時の科学者はハデスと共にこの星へ移り住んでおり、ハデスの家来として悠々自適な暮らしをしている。
「そうか……だから、なんの情報も無かったのか。」
「ところで、なんでユウはアンダーに殺されかけてたの?」
「アンダー?」
「知的能力の低い珍獣を、アンダーランクってよんでるらしいんだ!戦闘能力はまちまちだけど、ユウを襲ったのは割と強めのアンダーだったね!」
そのほかにも、少しの知能を持つ珍獣や生命体を、ボーダーランク、高い戦闘技術と知能を持つものを、オーバーランクという。
「あれでアンダー……」
「ユウ、気をつけて!この星では普通のヒューマンはアンダー以下、ストックランク、通称ストックってよばれてる。奴隷や家畜のように、時には捕食されるんだ!」
「う、うん、捕食されるってのは聞いたよ。だから、さっき食べられかけたんだよね?」
「あははは!そうそう!多分食べられてたよ!でも大丈夫!多分、ユウはそのうちオーバーになるから!」
「え?俺は地球の民だから……」
「大丈夫!僕に任せて!ユウがここへ来たのは理由があるんだろう?なら、僕がそれをサポートするよ!それが、友達との約束だからね!!」
ヘラクレスはその隆々の腕でポーズを作り、ドヤ顔で立っていた。
(や、約束?いったい、ヘラクレスはどんな約束をしたんだ?)
第百十四話 完
第百十四話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
巨大珍獣の襲来とデタラメな重力に追い詰められたユウの絶体絶命のピンチを救ったのは、なんと天界からやってきた圧倒的な強者・ヘラクレス!
巨大珍獣を一撃で沈める爽快なアクションと、彼から語られる「天界」「ゴッドオーラ」「ハデス」、そして1st初期メンバー「ヘット博士」との秘話など、怒濤の新展開となりました!
この星における命の格付け「ストック」「アンダー」「ボーダー」「オーバー」というランクの存在、そしてヘラクレスがヘット博士と交わした「約束」とは一体何なのか!?
最強の味方を得たユウが、アリスたちの救出作戦に向けてどう動くのか描かれる第百十五話も、どうぞご期待ください!
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