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オーバーゲーム・デバッガーズ:チヌシティ・クエスト  作者: テロメア
四章 新人研修
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四章4

 旭人/さて!

まだ番組名も決まっていないこの番組。趣旨説明をしますと、僕たち四人はとある電戯士事務所の新人研修にて、『二週間以内に事務所を通さず、ギルドから依頼を受けて完遂せよ』というものを受けました。視聴者の中には存じている方もいると思いますが、ギルドは事務所あるいはその個人に信頼がなければ依頼を委託してはくれません――つまり、昨今は事務所の威光を借りて仕事をするのが常識的な話です。

   ですが、

   この新人研修は、それを乗り越えろと言っています。

つまりですね、事務所の威光を借りる前に、まずはギルドに信頼される電戯士になって来い――と言うわけで、僕らが先輩方のアドバイスから考え出したのが、ギルドに上がるほどではないが、巷では気になるようなものを解決しようと言うものでした。その気になるものというのは、()わゆる都市伝説となっているものの解決です。

   ですので、

僕ら四人に向けて、解決してほしい都市伝説があればコメントください。待っております――では、僕ら四人の自己紹介をしていきます。

   はい、どうぞ!

 燐/わ、わたしは富澤燐と申します。前衛でハンマーぶん回してます。

   よろしくお願いしますですっ!

 蓮歌/私は鈴見蓮歌。後衛です。

   こいつは愚弟の慶児。ゴミより素敵な男です。

   どうか、よろしくお願いします。

 慶児/え、ちょッ――オレの紹介、ヒドくね?

 旭人/で、僕はこの企画の言い出しっぺの吉良旭人と申します。

   どうか、よろしくお願い致します。

ではでは、投稿お待ちしております――あ、てか、事務所とりあえず立ち上げないといけないよね? 事務所名、どうしますか?

 慶児/え、何でもよくね?

 蓮歌/よくないでしょ、愚弟――そうね、頭文字でも取って見るとか。

   喩えば、『蓮歌と愚かな仲間たち』電戯士事務所。

 旭人/待て待て待て待て!

   せめて愉快な仲間にしようぜ――つか、そんなボケは要らない。

   ちゃっちゃと決めてしまおうよ。

 燐/分かってないですねー、旭人さんは。

   ボケないと人気出ませんよ。

 旭人/いや、ボケたからといって人気が出るわけではないと思うが。

 慶児/しかたねェーな。オレの番だな。

   みんなの頭文字取って、『蓮燐旭慶(れんりんあきけい)』電戯士事務所ってのはどうよ?

 旭人/うん、ふつー。ふつーに大昔の暴走族の夜露死苦レベル。

流れて的にボケるのはいいけど、そのセンスは古すぎる。温故知新?

てか、一番はお姉様なのな。そして女性が優先で、次は自分が後でいいとか、微妙にいい奴演出っぽいの要らないから。

 燐/あ、旭人さん。

  『てめーの突っ込みが要らねw』て、来てますよ。

 旭人/うっせ、黙れ。自分で生やした草でも毟ってろ!

 慶児/初コメントに、なんつー司会者だ。

   オレが変わってやろうか?

 旭人/任せた。

   僕は裏方がよく似合うのだ。

 蓮歌/確かに日陰者の顔をしている。

 旭人/それ、意味違ってきてますよね!

 燐/じゃあ、次、わたしですねっ!

   頭文字を取ってを頂いて、『ARRK(アーク)』電戯士事務所というのはどうでしょう?

 旭人/おう。普通だ。

   アーク、聖櫃って意味で――。

 燐/特に深い意味はないですよ!

 旭人/でしょうね!

 慶児/じゃあ、次、旭人だぜ。

 旭人/え? 僕は何も考えてないよ。

   全部、丸投げしてしておいた方が、後々、自分に被害ないし。

 蓮歌/こいつ性根腐ってないか?

 燐/大丈夫ですよ、腐っているのは性根じゃなく魂なんですから。

 旭人/酷いフォローありがと。

さて、本題はここから――僕らは一切共闘致しません。

問題の解決は早い者勝ちであり、依頼料などが入った暁には、それを勝った者が総取りします。つまり、応援したい人に向けて、支援物資として色々送ることができるというシステムであり、僕らは互いにガチで邪魔をし合うバトルロワイアルで征きます。ですので、支援したい人に積極的な支援をお願い致します。

   /

 とかいう――なんとも雑なライブ動画を投稿してみた。

 分数にして一五分ほど。結果はじゃんけんで燐の案が採用された。なので、ARRK電戯士事務所として、ギルドに登録を済ませる運びとなった。



「ヒデェ、コメントが一桁の九コメント、視聴者は二五人いたっつーのに」

「旭人さん旭人さん、コメントがつくだけ十分だと思いますが?」

「でさ、早速解決してほしいとかゆーのが来てんぜ」

「愚弟……、これを解決したいのか?」

「いや、来たのには、とりあえず全レスっしょ」

 来たコメントの中には、確かにあった。

 魔窟と言われている放置されたゲームエリアで湧いているという戯魔の噂――都市伝説『サイコパス・ゾンビーズのエリア9』は、一斉クリーニングの際に出来なかった部分であり、放置されたまま凍結処理が施されたとされている。が、その凍結処理がどこかしらから(ほころ)んでおり、肝試しに侵入した人たちが皆揃って行方不明になっているという。

「エリア9の噂が本当なら、吸収したトパーズ・シールドが動くだろう」

「しかし、こんな噂も付け足されているんだぜ――トパーズ・シールドはこれを解決したものに報奨金を用意している動きがある、とか。その一つに社に正社員雇用とかあるぜ」

「なるほど、入社試験と言うわけか」

「だとしたら、入ってもやりたい放題ですね」

「待て待て、そうだとしても――」

 すると、燐がきらきらした黄金の瞳で覗き込んでくる。

   /

「やるっきゃない! ですよねっ」

 僕はそれに押されて、「お、おう」と言ってしまった。



 リンク先はその依頼をしてきた視聴者〈中野〉という人から送られてきた。

 僕らはそこへとターミナルからログインし、その雑然とした廃エリアへとダイブする――どうやら、噂はある程度、本当だったようで、そこには昔少しだけプレイしたサイコパス・ゾンビーズのエリアがあり、エリア内にはノイズに塗れたサイコゾンビどもがうようよしていた。

 さて――ライブ中継は始まっている。

「では、僕ら四人はこれから敵同士ということで戦いながら解決していきたいと思います。では、みんな準備はいいかい?」燐、蓮歌、慶児を見渡すと、それぞれにOKのサイン。「じゃあ、始めましょう。都市伝説『エリア9』の謎を解明してみせます」

   /

「では、探索開始ッ!」

 僕らはそれぞれ、四方向に走り出した。



[四章・了]

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