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オーバーゲーム・デバッガーズ:チヌシティ・クエスト  作者: テロメア
四章 新人研修
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四章3

「はは……、そこの二人に負かされた最弱に何の用かな?」

 入口にいたので手っ取り早く話しかけると、恢斗電戯士がかなり嫌そうにそういった。

「いや、ほら――一応、先輩ですしその辺にいて一番暇そうでしたので」

「最弱だからね。事務仕事が主なんだよ、最弱だからね」

 うわー、昨日の一件で拗ねてるよ、この人。

「げ、めんどくせ」

「知っているかな、新人君。世の中には口に出すべきでない言葉があるんだよ?」

「すみません。ちょっと、本音が口からついて出てしまいました」

「うん。それも言うべきではないね」

 などと、会話を弾ませていると、横からイラッとしたのか蓮歌が睨みつけて言い放つ。

「で?」

 そのひと言で、ひぃという顔をした恢斗電戯士は、アドバイスを口にし始めた。

「まずはギルドにまで届かないけど、解決してほしい問題をやればいいんじゃないかな?」

「具体的には、どんなことなんですか?」

 燐の質問に「それ訊いちゃう? 訊いちゃうんだー。まあ、教えなくもないんだけどねー。でも、どーしようかなー? それを自ら解くのが今回の課題なんじゃ――」とまで言った辺りで、蓮歌が「もういい」と、キレた瞳で再度強く睨みつける。それに対して、慶児は姉の非礼に「すみません。ほんと、すみません」と頭を下げていた。

 やばい、やっぱ見た目と逆だ!

 そんなアドバイス(?)を貰ったが、やはり他の人の意見も聞いておこうと思った矢先――事務所の入口から忠太電戯士が帰ってきた。すると、僕を見るなり――「む? 閣下からの命はどうした?」と訊いてきた。

「あー、それが……。閣下の命は砂漠から失せ物を探すかの如くで、困り果ててこの世界の先輩の勇者並びに魔剣士の方々に訊いて回っていたのですよ」

 と、てきとーな言葉を並べると。

「フッ――魔剣士とは我のことよ」

 忠太電戯士が、「で、命とは?」と訊いてきたので軽く「事務所を通さず、ギルドから依頼を受け完遂せよ――というものです」と応えると、「うむ」と頷いていう。

「ならば、人々が伝播するものを当たるとよい」

 それだけ言って、「ではな。皆に英霊たちの加護を」と言い残していった。

 忠太電戯士が去ろうとしたところで、僕は追いかけて呼び止める。

「すみません、あと一つ訊きたいことが――」すると、「どうした紺碧の聖剣士よ」と返された。僕は紺碧のイメージで、キャラづけは聖剣士なのか――と思いながらも流して尋ねる。

「有能な情報屋を教えてください」

「ほう――そうだな、これから必要であろう。光速の伝達者が」

「はい、何かと必要で。光速の伝達者が」

 そういうと満足そうに教えてくれた。「ではな」という忠太電戯士に「英霊たちの加護を」と告げると、さらに満足そうな顔をして去って行った。うむ、扱いやすい。

 戻ってくると、この会話に慣れ始めた僕と燐以外の二人は、「なんなの、あれ?」とか「えーっと、会話の意味が分からないんだけど……オレのが異常なのか?」と呟いていた。

「人々が伝播するもの……」

 僕はそのアドバイス(?)と、ギルドまで届かないものを考えた。

 電脳を使ってあらゆるところに触手を伸ばして検索に検索を掛けていると――次第に一つの答えが導き出されてくる。ギルドまで届かず、人々が伝播するもの。

    /

「こんなのはどうだろうか? 巷にある都市伝説を解決するってのは?」



「報酬はどう設定するわけ?」

 蓮歌の言葉に、僕は思いついた意見を述べていく。

「動画投稿をおいおいではあるが有料動画にして――これには反論があるだろうが、視聴制限を掛けることにより、ライブ中継は有料化し、のちに無料でその動画をアップすることにする。有料でもライブで見たい人だけが、見られるようにするシステムとする。それでその動画収入と、ファンドを立ち上げて探索に掛かる資金提供を呼びかける。あとは、ある程度の人気動画の仲間入りを果たして、広告収入が入るようになればいいかなって感じだ」

「なるほどぉー、人気電戯士への足掛かりにもなりますねっ」

 そう、電戯士は自らの仕事を動画投稿していることが多い。

 ゆえに、人気電戯士ともなれば、自らの視覚情報をライブでアップして戦っていたりするのだ。そこからの副収入は事務所を通さずともよいというのが基本的なものだ。

 人気電戯士所属となれば、事務所にも広告塔として貢献できるし。

「つまり――祭りを仕掛けるとゆーこったな?」

 慶児がそう言ったのに、「その通り」と頷くと蓮歌も納得の表情を見せた。

「だが、どんな風に祭りを盛り上げるつもりだ?」

 僕は小さく笑って、自らの案をいう。

「バトルロワイアル」

「バトルロワイアル、ですか?」

 燐並びに二人も疑問符を頭に浮かべていた。

「全員が競い合ってその問題に対処する。誰が一番最初にその問題を解決するか? というもので視聴者を巻き込む形で始めるってのはどうだ?」

「なんじゃそれ、面白そうだな、おい!」

「もちろん、僕らの間での取り合いによるバトルもあり。しかも、ガチ」

「えーっと、でも、ガチにするんでしたら――モチベーションはどうするんです?」

「簡単――掛け金総取り。つまり、一番最初に解決した人にのみ、報奨金が入るってのは?」

 蓮歌がにやりと不敵な笑みを浮かべた。

「ガチでいいんだな、ガチで?」

「もちろん。そうでないと盛り上がらない」

「わー、楽しそうですね。わくわくしてきましたっ」

「これは腕が鳴るぜ」

「楽しませてもらうわね」

 それぞれに決定の笑みが浮かんだ。

   /

「よし、決まりだ。なら、まずは解決してほしい都市伝説の物色だ」


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