決着の時 1
空は青空。
白い雲が地上での出来事など意に関した様子も見せずに流れていく。
地上ではエルドスの王城へ三国の王と兵士がなだれ込んでいる。
エルドスの兵士が交戦に出ているが多勢に無勢である。
まして、自国の村や町を壊してしまったエルドスに勝利の可能性はないだろう。
そして私は目の前で対峙するように羽を広げて立っているエリス・ウェールズに目を向けた。
あの日からこの時を待っていた。
「エリス、貴方……神族だったのね」
白い羽を広げて栗色の髪を風になびかせ、彼女、エリス・ウェールズが笑みを浮かべた。
「ええ、そうよ。リリア王妃」
そう答えた。
リリア王妃と言ったのは彼女は私の前世が分かっている証拠。
彼女は神族、魔族である私が魔眼を持っているように彼女は神眼を持っているに違いない。
「わかるのね」
「わかるわ。ただ、まさかあの従順で大人しいだけの貴方が魔族に……しかも魔王族に生まれ変わるとは思わなかったけれど」
「そうね、反対に根性悪な貴方が神族って言うのも驚きだわ」
ヒューマン族だったころは魔族は悪の化身。
神族は崇高尊い者という決めつけがあった。
けれど、魔王の娘として転生して魔族は魔力が高いただの『種族』だということだと分かった。
カイルも魔王も他の魔族たちも好んで戦ったりはしないし、地上征服なども考えたりしない。
「神族って見た目が綺麗なだけで根性悪が多いのかもしれないわね」
カイルは後ろで肩を竦めている。
「リリアさま、お言葉が相変わらず。というか言葉の応酬が凄い」
「カイル、ここは突っ込むところじゃないわよ」
私はそう言って、カイルを一睨みすると直ぐにエリスに視線を戻した。
神族魔族の戦いは私と彼女が決着を付けなければならない。
いえ、この戦いだけは私は誰にも譲るつもりはなかった。
エリスはすっと剣を構えた。
「神王に言われたわ、私は元々がヒューマン族だったからきっと心根がヒューマン族寄りなんだろうって」
私も剣を手に構えた。
「あらあら、私と同じことを言われたのね。でも私の方が貴方よりはましよ。私は人の夫を寝取って汚名を着せて王妃を殺そうなんてそもそも思わないもの。それに自国の民を殺して自分たちを守る結界にしたりはしないわ!」




