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序章

 祭壇の蝋燭はすでに吹き消されていた。雲一つなき夜空に、星が数多に輝いている。白い幹の高い木々に囲まれた寺院は、白い月の冷たい光を反射しているようだった。反して、宵闇に飲み込まれた講堂。

 背の高い帽子を被り、薄い布で目元まで覆った人物が、重そうなマントを引きずるように歩いていた。この寺院の管理者なのだろう。黒い鉄の装飾で守りを強固にしている扉がきちんと施錠されていることを確認し、祭壇の方へ振り返った。講堂の最奥部、祭壇の先には広い窓があり、夜空をそのまま、さも貴重な美術品であるかのように見せていた。そのガラスを透過した光を反射させるように置かれた水盆があった。

「主卿」

 若葉のように軽い声が水盆の前から響いてくる。祭壇の影に子供がいたのだ。

「……来ていたのか。また何か?」

 主卿と呼ばれた寺院の管理者は祭壇へと近づいていった。子供は振り返らず、じっと水盆に映る細かな光を眺めたまま、ため息をつく。主卿がその傍らに立つと、灰色の瞳を星の光に晒し、確かめるように尋ねた。

「思い違い、だろうか」

 卿が水盆の上に手をかざすと、静かに満たされていた水は跡形もなく消え去った。子供を抱き上げると、彼は己にも言い聞かせるように答えた。

「夢見が悪くなるぞ」

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