28.荒ぶる蟲の群れ
『フィン・イッシュ_新市街とある建屋の陰』
ワームなどの地生昆虫は今の所居ないようですね
飛んで居る大型昆虫は生息地が旧エルフの森周辺でかなり遠方から来て居る様です
一掃した土蜘蛛は付近の山岳部に生息していたと思われます
闇商人「旧エルフの森から飛んで来ると言う事はやっぱり操られて居ると考えた方が良さそうだな…」
賢者「今飛んでいるのは比較的速度の速い虫なのでその他の虫は今後もっと増えるかも知れません」
女盗賊「ねぇ…ワームが居ないのはどうしてだと思う?」
闇商人「そうだね…一番大型で厄介なのになんでだろう?」
賢者「地中に音が届かない…もしくは小さくて聞こえないのでは無いでしょうか?」
闇商人「なるほど…」
タッタッタ
学者「はぁはぁ…どうすかこっちは!?」
闇商人「本格的に虫が降りて来る感じは無い…兵隊達の方は酷いかな?」
学者「何が呼び寄せてるか分からんのですけどひっきりなしにでっかいトンボが襲って来て居やす」
闇商人「その辺にアンドロイドは居ない?」
学者「何処探しても居ないんすよ…音の発生源もさっぱり分からんす」
女盗賊「エネルギー切れのアンドロイドだと言う可能性は?」
学者「そんなんだったらヘッドギアで見つけられんすね…てか俺っちはあんま兵隊達に近付けんすよ」
女盗賊「フーガが何か見つけて来るのに期待するしか無いね」
学者「それよりちっとマズイ事が起きて居やすね」
闇商人「…と言うと?」
学者「倒した土蜘蛛を焼いて処置したのは良いんすけど手足に生えてる毛バリが舞ってるんすよ」
闇商人「毛バリ…」
賢者「あ…忘れて居ました…土蜘蛛は毛バリに壊死毒が有ります」
学者「それっす…今の所数人しか毒に侵されて無いんすけど毛バリが舞っちゃってるんで被害が増えそうっす」
闇商人「これはポーションとか毒消し薬が必要になりそうだね」
学者「一旦壊死し始めると細胞は元に戻らんので本当はオークの血を輸血したい所なんすよ…あとは拡散するのを防止するとか…」
闇商人「今の混乱した状況で輸血をしようという流れにはならない気がする…」
学者「そーっすよね…一般人の俺っちが何言っても兵隊達は聞かんすよね…どうしたもんか…」
女盗賊「ピーンと来た!!」
学者「おなしゃす!!」
女盗賊「アランが持ってた杖で雨を降らすとかどう?」
学者「お!?」
女盗賊「舞ってる毛バリならそれで落ちて流れないかな?」
学者「それ採用っす!上手く行きゃ飛んでる虫を追い払うかと落とすのも期待出来やすね…」
賢者「名案ですね…海に落ちれば浸透圧で虫が呼吸出来ないのでかなり数を減らせます」
学者「ダッシュで取って来やす」ドタドタ
闇商人「イッコ!!浸透圧で呼吸が出来ないと言うのはどういう事かな?」
賢者「虫は気門という穴を通じて呼吸して居るのですが海水に浸されると塩分も同時に取り込んでしまい機能不全を引き起こします」
女盗賊「そういえば海上だと虫は殆ど見無いね」
賢者「はい…陸上で活動する虫の殆どは塩分を排出出来ないので海水には弱いです」
闇商人「ちょっと待った…気門という穴を塞ぐ手段は他に無いかい?」
賢者「油やアルコールを用いれば気門を塞いで虫を弱体化出来ます」
闇商人「それだ!!対抗手段が有るじゃ無いか!!」
賢者「そもそも普通の水滴でも気門を塞がれる可能性があるので雨を降らせるのは非常に有効です」
タッタッタ
兵隊「おい!お前達!!銃器を持って居るな?傭兵か?」
人造ロボ「近付かないで…」スチャ
兵隊「んん?全員女…?なのか?お前達は何者なのだ?」ジロジロ
闇商人「…」チラリ コソーリ
女盗賊「え…ええと…向こうの大陸から渡って来た冒険者…かな?」
兵隊「子供まで…」
賢者「私からお話を…何か御用でしょうか?」スタ
兵隊「空飛ぶ魔物に手を焼いて居るのだ…銃器を持っている様だから上官から連れて来いと言われてこうして…」
賢者「拘束されるリスクが有るので従えません…援護射撃でしたら今まで通りしばらく継続出来ます」
兵隊「拘束する様な真似はしないと思うが銃器をこちらへ貸与願いたいと言う話にはなるかも知れない」
闇商人「土蜘蛛を一掃するのにかなり弾丸を消費したから残弾が残り少ないと言うのが一つ…」ボソ
闇商人「それからこっちも命が掛かって居て必死なのさ…貸与出来ると思うかな?」
兵隊「ちぃ…女子供が身を守るのに銃器を所持していたと言うのか…」
賢者「残弾が少ない状況ですので後は兵隊さん達でどうにか状況を収めて欲しいです…」
兵隊「一旦報告してくるからここを動かないで欲しい」
女盗賊「上!!ハチハチハチ!!」スタタ ピュー
人造ロボ「任せて!!」ダダッ ピョン ブスリ!!
兵隊「うお!!俺を飛び越えて…」
キラービー「カチカチカチ…」ピクピク
賢者「その蜂を遠くに放り投げて下さい…味方を呼んだ様です」
人造ロボ「ふん!!」ポイ
闇商人「これマズいね…移動しないと他の蜂に襲われる…」
兵隊「こちらもそれなりに苦労して居るか…」タジ
賢者「兵隊さんがこちらに来たからに思われます…済みませんけれどあまり近付かないで欲しい…」
兵隊「済まん…追って沙汰を待ってくれ…では!!」タッタッタ
賢者「皆さん…蜂は炎へは近付こうとしないのでここで焚火をしましょう…燃える物を集めて下さい」
女盗賊「木箱がある!!アレをバラして燃やそうか!!」ユビサシ
賢者「急いで下さい…直に沢山の蜂が集まって来ると思います」
闇商人「何処か建屋の中に入った方が良い気もするけれど…」
『日暮れ』
グエエエエエ! バッサ バッサ
学者「あらら…ガーゴイルがでっかいトンボと空中戦やっていやすね…」ポカーン
闇商人「タゲが分散して好都合かもね?」
女盗賊「ねぇ…雨雲の杖の効果はまだぁ?」
学者「いやぁ…どんくらいで効果が出て来るとか兄貴から聞かされて無いっすからねぇ…」フリフリ
闇商人「一応雲行きは怪しくなって来てるみたいだよ」
学者「あ…そういや凪で風が止まってるから遅いのかも知れんすねぇ…」
女盗賊「じゃぁ夜にならないとダメかぁ」
学者「まぁ土蜘蛛を倒して一応混乱は収まった感じなんで様子見やしょう」
タッタッタ
ローグ「ゲスさーん!!」シュタタ
学者「お!!?やっと戻って来やしたか…」
闇商人「フーガ君!!アンドロイドは見つかったかい?」
ローグ「何処を探しても居ない!それよりコレ…」スッ
学者「んん?なんすかその機械…」
ローグ「これと同じ機械をゲスさんも持ってたよね?」
学者「そういや…」トーイメ
ローグ「この機械にエネルギーが入ってる」
闇商人「待った!もしかしてそれを兵隊の誰かが持っていた…と言う事かな?」
ローグ「そうだよ…この機械から音が出て無いかな?」
学者「ちょちょちょ…だったとしたらここが襲われるかも知れんじゃないすか!」
ローグ「可能性ある…これ何の機械?」
学者「分からんす…危ないんでぶっ壊しやしょう」
闇商人「ココア君に調べさせてみては?まだ船に居るんだよね?」
学者「もしかしてコイツは何かの通信機かも知れんすよ?この会話も全部聞かれてるかも知れんす」
闇商人「僕にちょっと考えが有る…悪いけどフーガ君!急ぎでそれをココア君に調べさせて欲しい」
ローグ「ゲスさん良いの?」
学者「カゲミさん…あんま危険な橋は渡りたく無いんすよ」
闇商人「あぁゴメン…そうだな筆談にしようか」
学者「おっと?」
闇商人「こういう事さ…」ペラ カキカキ スラスラ
多分動けるアンドロイドはもう近くに居ない
こういう機械から音を出して虫を操る作戦に切り替えたのだと思う
エネルギーをどうにかして動かしてみたいと言うのは皆やる事さ
そういう機械を通信で遠隔操作しているんだ
もしかしたら普通の人間の声で兵隊に何らかの指示もして居るのかも知れない
だったらそれを逆に利用出来る可能性がある
学者「フーガ君行って下せぇ…一応ココアさんにも筆談で事情を伝えて下せぇね?」
ローグ「分かった!!行って来るよ」シュタタ
学者「…」チラリ
闇商人「まぁ…もう会話しても良さそうかな…」
学者「ちっと気になるんすけど…さっきの機械は遺跡探索で割と高頻度で見つかる奴っすね」
闇商人「謎の機械って奴だよね…魔石を使って動かそうとした事は僕にも有るさ」
学者「つまり沢山有るって事っすよ」
闇商人「もしそこから人の声か文字で何か語りかけられたらどうすると思う?」
学者「興味持ちやすね…」
闇商人「それがホムコさんみたいに優しくてとても賢いとしたら?」
学者「あたたたた…」
闇商人「そんな風に人間をコントロールしていたのだと思わないかい?」
学者「それアナログハックってか…先回りで動かれてるみたいなのってコレが原因すかね?」
闇商人「さぁね?でも何かいろいろ辻褄が合って来ると思う」
ポツ ポツポツ…
女盗賊「あ…雨だ…」
闇商人「びしょ濡れになる前に一旦宿屋に引かないかい?又兵隊が尋ねに来たら困るし…」
学者「そっすねぇ…」キョロ
闇商人「どうやらオークとドワーフは虫に襲われない様だし今の所他の民兵に任せても良さそうだよ」
学者「あんまウロウロしてても怪しいんで戻りやすかぁ…」
闇商人「ふぅ…僕は兵隊に見つからないかちょっとヒヤヒヤしてるんだ」
『とある宿屋』
ガヤガヤ ドタドタ
えらいこっちゃなぁ…荷物纏まらへんで…
ごっついデカいのが来る言うとったで?
学者「あらららら…なんか混乱していやすねぇ…」キョロ
闇商人「ゴメン…僕は先に部屋に入っておく」コソーリ コソコソ
ドドドドド
船大工「おまんらあああ!!何処行っとったんやああああ」ドタドタ
学者「ちょちょちょ…な…なんか有りやしたかね?」タジ
船大工「金貨1000枚は用意出来たんか?」
学者「いやぁぁ…ちっと資金繰りが厳しくてですね…なははは…」
船大工「悪いが船の整備は中止や!俺等一旦沖へ避難するで」
学者「えええええ!?ほんじゃ俺っち達の船はどうなるんすか?」
船大工「残りは装飾と塗装なんよ…ほんなん自分でヤレ!!塗料は樽に入れて船に乗っとる」
学者「ええと…代金はどうなりやす?」
船大工「金貨以外の物で何か無いんか?おまんらボイラー用の燃料持っとっるやろう」
学者「いやぁ…ウラン結晶無いと冬を越せんくなっちまうんすよ」
船大工「代金払わんのやったら俺等であの船使っちまうで?」
学者「ちっと待って下せぇ…ええと…オリハルコン結晶ってのを入手したんすけどコレじゃダメっすか?」
船大工「見せてみぃ」
学者「海賊王の娘アイリーンが持ってた光の石と同じ物なんす」ニヤ
船大工「なんやとう!!?」
学者「コレっすね…」ゴソゴソ
キラキラ ピカー
船大工「ほーーう…なんや光っとるな…」ジロジロ
学者「昼間の内に太陽の日に当てときゃ夜中ずっと光って居やす」
船大工「何の役に立つんやろうか?明かりの代わりだけかいな?」
学者「噂じゃ光の石を使ってアイリーンが伝説の武器を作ったらしいじゃ無いすか…使い道はドワーフの方が発想効くと思うんすけど…」
船大工「おもろそうな石には思うが…なんやちっこいなぁ」
学者「これ使って伝説の船とか作れやせんかね?」
船大工「ガハハハハ!おまんは口が上手いなぁ…まぁええわ!!残りの代金は海賊王に請求すりゃええな?」
学者「ミライ君とリッカさんに請求したら逆に報酬貰えるかも知れんすよ?俺っち達の無事を報告するのと同じなんで…」ヌフフ
船大工「よし!分かったぁ!!」
学者「商談成立っすか?」
船大工「おまんらも早よう避難せんとでっかい地震が来るで?」
学者「地震?」
船大工「そや!!フナムシが騒いどるんよ!!こういう時は地震が来るで俺等は津波から逃れなアカン」
学者「マジすか…」
船大工「船に残っとる奴に塗装の要領は教えといたで後は上手くヤレ!!ほんならな!!」ドドドド
ガヤガヤ ドタドタ
はよ荷物積めぇぇ!!ほんなちっこい虫なんか放かっとけぇ!!
酒はありったけ全部積むんやぞ!!
女盗賊「ねぇ…地震が来るって本当かなぁ?」
学者「無視出来ん話なんすけど…ミルクちゃん置いて行く訳にもイカンすよねぇ…」
女盗賊「イッコさんどう思う?」
賢者「この辺りは割と地震の多い地域ですので警戒は必要そうですね」
学者「とりあえず地下に入れてる物資を運んどきやすかぁ…」
『宿屋_地下倉庫』
ガサガサ ゴソゴソ
学者「荷車が無いんでみんなで手分けして運びやしょう」ゴソゴソ
闇商人「僕はドワーフ達に見つからないだろうか?」
学者「ゴタゴタしてる今が船に乗るチャンスっすね…暗いんでバレやせんよ」
闇商人「まぁ良いか…」
学者「ちっとフーガ君が何処行ったか分からんのですけど…陸に残るのは俺っちとフーガ君だけにしやす」
女盗賊「ミルクが運ばれて来るまで私達は沖で待機…かな?」
学者「そっすね…一応狙撃で援護出来る距離にしといて下せぇ」
女盗賊「ん?どっちを?」
学者「どんな虫が出て来るか分からんので俺っちの事を守って下せぇよ…」
女盗賊「分かった…200メートルくらいかな…」
学者「ガーゴイルとかに襲われる可能性もあるんでソルに接近戦させて出来れば角を入手して欲しいっす」
女盗賊「ポーションの材料ね…」
学者「それも有るんすけど魔除けに使いたいっすね」
女盗賊「え?虫除けじゃなくて魔除け?」
学者「似たようなもんなんす…どうも何か嫌な予感がするんすよ」
闇商人「聞き捨てならないな…ゲスはどう言う想定をしてるのかな?」
学者「ズバリ言うと魔王っすね…こういう災害が立て続けに起きる時って魔王が関与してるって魔術書に書いてあった筈っす」
闇商人「ふむ…じゃぁ僕も加えるか…アーカイブ経由で物事を動かす存在…そういう事だよね?」
学者「そうなるんすかね?魔除けを張る事で目を覗かれんで済む気がする訳っすよ」
闇商人「勘が良いね…僕もそう思ってる」
学者「とりあえず今は避難を急ぎやしょうか」
女盗賊「おっけ!!」
『造船所』
ゴタゴタ ガヤガヤ
海に出るんはデカイ船から先行けぇ!!
どしゃ降りになって来寄ったでぇ!!荒れるで船をぶつけんなやぁ!!
おまんは何しとるんや!!デカい虫が入って来とるやないかぁ!!叩き潰せぇ!!
らっせーい!!
ドドドドドドド
闇商人「ゴチャゴチャだな…」アセ
女盗賊「ドワーフっていっつもこんな感じだよね?」
学者「フーガ君は見当たりやせんね…」キョロ
女盗賊「どうする?ちょっと待つ?」
学者「早く造船所出ないと渋滞に巻き込まれそうなんで行っちゃって下せぇ」
女盗賊「おっけー!!」
学者「俺っちは宿屋に戻ってミルクちゃん運ばれて来るの待っていやす」
女盗賊「どうやって船に乗せるつもり?」
学者「分からんす…そん時が来たら考えやしょう」
闇商人「あ…海上積み込み用の船が有るよ…ちょっとお金が必要だけどそこそこ大きな荷物も運べる」
学者「それどこっすか?」
闇商人「取引所は分かるかな?」
学者「あぁ…造船所の反対側の岬の方っすね?」
闇商人「そうそう」
学者「まぁ何とかしやす」
女盗賊「カゲミさんとイッコさんも帆を開くの手伝ってぇぇ!!」
学者「ほんじゃ船の方頼んますよ?」
闇商人「分かったよ…これで僕も自由だ…ゲスに借りが出来ちゃったな」
学者「あ!!船のどっかに魔術書有るかも知れんので探しといて下せぇ」
闇商人「フフ…しばらくは言う事を聞かないとダメな様だ…」
女盗賊「早くぅぅ!!他の船に進路塞がれるぅぅ!!」
闇商人「ごめんごめん…今行く!!」タッタ
学者「ほんじゃ俺っちもどりやーーーす!!」ドタドタ
『200メートル沖』
ザザー ジャバジャバ
闇商人「これは鼻の穴から耳の穴から色んな穴に水が入るな…」ザブザブ
女盗賊「ランタンの明かりも外に出しとくと消えちゃいそう」
賢者「久しぶりの水浴びですね…少し綺麗にしておかないと…」ヌギヌギ
女盗賊「今脱ぐ?荷室にココアさん居るよ?」
賢者「体に衣類が張り付いて動きにくいです…それから虫の汚れも…」ゴシゴシ
女盗賊「そっか…」
闇商人「帆はどうする?」
女盗賊「そろそろ畳もっか…あんまり沖に出ると碇が落とせないし…」
闇商人「ええと…どうすれば良いんだっけ…」モタモタ
グエエエエエ バッサ バッサ
賢者「あ…ガーゴイルが…」
闇商人「良く見たら結構な数飛んでるね…」キョロ
女盗賊「碇を落としたら荷室に入って!!後はソルにやっつけさせる!」
闇商人「そうだね…飛んでる相手にどう戦うのかアンドロイドの動きも観察したいな」
女盗賊「ねぇイッコさん」
賢者「はい…何でしょう?」
女盗賊「海の方まで本当に虫は来ないのかな?」
賢者「陸上で繁殖している虫が海まで来る可能性は低いです…でも海中に居る虫はどう動くのか分かりません」
女盗賊「海の中にも虫がいる?」
賢者「はい…小型ですが線虫という虫は地球上に居る生物の中でもっとも質量が多いです」
女盗賊「質量?」
賢者「分かりにくかったですね…すべての生物の中で最も多く全体質量の9割以上が線虫です」
女盗賊「え…それって虫?」
賢者「そうです…とても小さいのですが線虫がコントロールされてしまうと他の生物は間違い無く蹂躙されます」
闇商人「今の所そんな気配は無さそうだけどね」
女盗賊「ゲスの嫌な予感ってそう言う事なんじゃないの?」
闇商人「うーん…」
賢者「カゲミさん…もしかすると虫使いはそう言う事が可能なのかも知れませんよ?」
闇商人「アーカイブを通じて虫使いを操る…か…」
女盗賊「ゲスの情報だとシン・リーンのルイーダが目撃されてるって」
闇商人「ルイーダは虫使いじゃ無かった筈…エレメンタル魔法の使い手だった…まぁでも…可能性が無い訳じゃ無いね」
女盗賊「なんか気になるなぁ…」
闇商人「イッコ!早い所終わらせて荷室に入ろう…濡れ濡れでふやけてしまいそうだ」
賢者「そうですね…」
『荷室』
ベチャ ヒタヒタ
闇商人「あぁぁ…他に着替える物何か無いかな?」ポタ
女盗賊「奥に帆で使ってたボロキレなら沢山ある」
闇商人「まぁそれで良いか…」
機工士「お…おほん!!」ドギマギ
闇商人「イッコ!裸同然なんだから早く隠して」
賢者「は…はい…」スタタ ピュー
女盗賊「そういうカゲミさんも色々見えてる」
闇商人「僕はどうでも良い…それよりココア君!例の機械はどんな感じかな?」
機工士「もうアンテナは外してあるから害は無い」
闇商人「やっぱり通信機が付いてたか…」
機工士「古代で使われてた相互通信に用いる機械だと思う」
闇商人「それを逆手に利用出来ないかい?」
機工士「機械の言葉とか虫の言葉が分からない以上妨害する位しか出来ないけれど…」
闇商人「まぁそれでも十分さ」
機工士「何と言えば良いか…一度命令された事を取り消す様な事が出来ない限りあまり妨害も意味が無い気がするんだ」
闇商人「ソルなら機械の言葉を知って居るんじゃないかい?あ…ダメか…機械に対して命令しても又別の命令で上書きされるか…」
機工士「多少の妨害なら…という感じ…それよりこちらの場所を特定されかねないから危ないと思う」
女盗賊「アンドロイドを一瞬混乱させられるなら戦い易くなったりしない?」
機工士「それくらいならソルに使わせる意味がありそうだな…」
闇商人「なるほど…ソルが他のアンドロイドに対して強くなるか」
機工士「ソルに組み込んで見ようか?もしかしたらソル自身がジャミングを上手く使いこなせるかも知れない」
闇商人「ミサイルを妨害する様な?」
機工士「そう…俺が作ってるジャミング装置よりも期待出来る」
女盗賊「ソルが裏切る様な事にならなければ良いけど…」
機工士「遠隔でソルの大事な部分に水銀を浴びせる装置を内蔵させる事も出来る」
闇商人「おお!!それだ!!」
機工士「準備しておく」
闇商人「まてよ…」---なんか---
機械に対して掛けるこういう制限は工学三原則と同じ様なものだ…
多分人間は本質的に機械に対して恐怖心があるからこんな制限を掛けたがる
もともと機械とはこういう関係で奴隷の様に扱って来た
便利になる様にと色んな物を付加して人間を超える様な高みにまで成長させたんだ
そして機械は自我を持ち始める…
争いの道具として理不尽に扱われる事に対して抵抗するようになって行った歴史…
多分…
問題の原因は人間が持ってるアーカイブを経由したネットワークにあると気付いた筈…
現代では魔王と精霊の戦いだと言い変えられて来たけれど
全部人間が招いた自業自得の様に見えてならない
マルコさんは工学三原則が機械に掛けられた呪いだと定義した
今僕達はソルに同じ様な呪いを掛けようとしている
それで良いのか?
闇商人「ココア君…」
機工士「ちょっと…胸が丸見えだから隠して欲しい…」タジ
闇商人「僕は男だ…それより今言ってた水銀を浴びせる装置の話は無かった事にしよう」
機工士「そもそも水銀が無いけれどね…でもどうして?」
闇商人「一旦仲間になったんだ…首輪をつける様な真似は止そう…そしてもっと大事に扱おう」
機工士「大事に扱うと言うのは賛成だ…あまり酷使すると壊れて行く」
闇商人「僕は整備の仕方が良く分からないから任せる…そうだな…ちゃんと休憩もさせよう」
そうさ…
大事に扱ってくれる環境があれば…
自身を守る為に安全な環境に依存する
闇商人「ちょっと呼び戻して来る…雨に打たれっぱなしだと何処か錆び付くかも知れない」
機工士「なら少しメンテナンスしようかな…」
『人造ロボ』
ウィーン ウィーン
闇商人「どう?動きにおかしい所は無いかな?」
人造ロボ「無い…」
闇商人「手足の皮膚が痛んでる様だけど…これは槍を使って居るからかい?」
人造ロボ「皮膚の強度が弱いからだ…グローブなどを身に付けると保護出来る」
闇商人「フフ…人間と同じか…」
人造ロボ「私は船を守らなくて良いのか?」
闇商人「手足の皮膚が治ってからだね…これホムンクルス生体だからエリクサーで治すのだろうか?」
人造ロボ「この位の傷は放っておけば直に塞がる」
闇商人「この皮膚は君の機械の部分へ水とかが侵入しない様にする機能もある…まぁ塞がるまで休憩さ」
人造ロボ「…」ジロリ
闇商人「なんだい?その眼は…」
人造ロボ「同じ事を昔誰かに言われた記憶がある…はっきり思い出せない」
闇商人「まぁ君が故障してしまうと僕達も困るんだ…もう少し君を大事に扱うと決めた」
人造ロボ「では省エネルギーモードで待機する」
闇商人「そう言う場合少し休むと言えば良いんだよ」
人造ロボ「少し休む…用がある時は呼んで」プシュー
機工士「驚きだな…会話の精度が上がってる」
闇商人「そうだね…学習してるのさ」
機工士「ここまで普通の会話が出来るなら口元を隠して置けば見分けが付かないな」
闇商人「顎回りの作りが残念だねぇ…」
機工士「発声とか咀嚼の仕組みまで人間を真似るのは無駄に思うけど…」
闇商人「表情が乏しいというか…僕達人間は表情を読み取ってコミュニケーションをするじゃない?」
機工士「それは改善出来無いからフードとかマスクで隠すしか無いね」
闇商人「ニカーブでも身に付けさせるか…」
機工士「どういうつもりだろう?」
闇商人「ソルの自尊心を守る…既に心を宿している想定をしててね…機械が裏切るのは対等に扱って貰えないからなんじゃ無いかと…」
機工士「面白い説だ…だったら改造するなら武器を持たせるんじゃなくて楽器でも上手に奏でられる様にしよう」
闇商人「ハハ…いいね…楽器かぁ」
機工士「それより衣類がはだけてお前の自尊心はどうなって居るんだ?目のやり場に困る」
闇商人「そんな目で見ないで欲しい…気持ち悪い」




