帰宅
九瑠璃が帰宅し、結衣が迎え入れる。
「結衣は今日はどっか出かけたの?」
「本屋さん行ってきたよ」
「そっか。早くお惣菜温めて温めて食べようよ」
「手を洗ってね」
「分かってるよー」
言われてすぐ手を洗いだす九瑠璃
「九瑠璃は何処行ってたの?」
「博物館だよ」
「博物館だけ?随分がっつり見たのね」
「私を誰だと心得ているのかな?」
「盲目な九瑠璃さんでしたね」
「盲目って何だっけ?」
「知らない事は知らないで良いのよ」
結衣は才田さんと今日会った事も浮かべながら意地悪を言う。
「もーー惣菜温めるよー」
「知らないスーパーのだからお皿に入れてからにしてね」
「はーい」
「ポテトサラダは常温で良いからね」
「それぐらい私でも分かるー」
「それぐらいの基準が解らないから言ってるの。今日のサラダ枠はピーマンのシーチキン詰めだからね」
「シーチキンかー。美味しいよね。昨日のピーマン美味しかった」
「九瑠璃も料理上達してるよね。意外とできる様になったね」
「意外とは余計だもん」
「はい。はい。美味しく食べましょうね」
ご飯をよそい二人向かい合わせのいつもの情景を、この数日よりは確かにリラックスしたものになった。
夕飯後九瑠璃が洗い物をしてくれた。
結衣は昼間に出来なかった。イーヴァさんと通話し発音を体感する。
九瑠璃はそこそこに注意散漫になりつつ自習を続けた。
夜食の時間。今日も暑さを増したこの日は二人は迷いなくアイスを食べ、九瑠璃は分て貰うのも忘れる様に相変わらずの盲目さを披露した。