第2話 シノン・フリューネ
氷嶺王に案内され、城の前まで来た
煌麟帝国の城もでかかったけれども、ここのも中々のサイズだな…
「国王陛下、おかえりなさいませ。そちらの方はもしや…?」
「うむ。今までの医者より腕利きの者だ。安心しろ、あいつの紹介だ。彼は信用するに足る存在だ」
「そうでございますか…申し遅れました、私の名前はフロスト・グレイシス。ここ、玄氷国の執事長を務めています。」
「ご丁寧にどうも、私はゼルウス。ゼルとお呼びください」
フロストさんに手を差し出し、握手をした
握手をしただけでわかる…この人凄い魔力量だ…!ただの執事長ではなさそうだ
「フロスト、彼を客室に案内してくれ。私はシノンの様子を見てくる」
「承知しました。ではゼル様、こちらへ」
フロストさんに連れられ、客室に案内された
この人口調が淡々としていて、冷たい人なのかな…
「お嬢様の治療が終わるまでここをお使いください」
「こんな豪華なお部屋をご用意しなくても…」
「そうもいきません。同じ轍はお踏み頂いてほしくないので」
…そうか、この人たちも不安なんだ。1か月も姫様が苦しんで医師が来てもなにも分からずで失敗して、いくらあの人の紹介である私でも―—―
『この人は本当にお嬢様を救ってくれるのか…?信用していいのか?』
そんな心情なんだろう…ならば余計助けてあげないとね
「そういえば姫様のお名前は?お恥ずかしながら、王族には疎くて…」
「お嬢様のお名前はシノン・フリューネでございます」
「フリューネ?氷嶺王は下の名前はないのに?」
「国王陛下にもありますよ。そもそも氷嶺というのは本名ではございません、それは他国の方に対して名乗ります。本当の名はグレイシャル・フリューネでございます。」
へぇ~…氷嶺が本名じゃなかったんだ…初めて知った。ん?でも先生は旧友の仲なのに氷嶺呼びなんだ…
その後、フロストさんが部屋を後にした
「うーん…今すぐにでも診察をしたいけど氷嶺王の話を聞く限り、今は体調が悪い訳でもないみたいだし。悪い時に見ないと診察も診断もできないしな」
コン、コン—―—
どうしようかと悩んでいると扉が叩かれた
誰だろう?氷嶺王かフロストさんだろうか…
「開いていますよ」
「し、失礼します!」
扉が開き、中へ入ってきたのは水色に白みがかった髪色をした幼い子がいた
まさか…この子
「失礼、まさかあなたは…」
「は、はい!シノン・フリューネ…コホッ、です」
「やはりそうでしたか。初めまして、私はゼルウス、ゼルとお呼びください。シノン王女殿下」
「その言い方はゴホッ、やめてください。」
「ではなんと?姫様、の方がよろしいですか?」
「普通にシノンと呼んでください」
王女相手に呼び捨ては勇気いるな…。それに触れていなかったけど、すごい咳だな。
そして、予想通り。魔力枯渇の影響でかなり身体が疲弊している。やはり、限界を迎えてしまうのは時間の問題だな。
「ではシノン様、とお呼ばせていただきます。」
「シノン、でいいのに…」
「そうはいきません。それでシノン様、こちらに」
「???」
私が呼ぶとテクテクと歩いてきた
やべ、くそ可愛い…
俺の元まで来たシノン様の頭の上に手を置いた
「ふぇ?」
「失礼します、…相手に循環を与えよ【マナリンク】」
そう唱えると光属性の魔法陣が現れ、光の線が私とシノン様を繋ぐ
「あ、あれ…?体が軽くなって…」
「魔力が枯渇していると聞いたので私の魔力を供給しました。体に違和感はありませんか?」
「大丈夫ですけど…マナリンクって光魔法の高等魔法ですよね?それを軽々扱うなんて…」
「高等魔法なんて言われていますけど、実際はそんなに難しい魔法でもないですよ」
「そんな…嘘ですよ!ゴホッゴホッ!」
「ほら大声を出すからですよ。そもそもシノン様は何故ここに?貴方様はウイルスに苦しまれているのでは?」
しかも魔力も枯渇している状態でここまで足を運ぶなんて…医師として普通に心配だろぉぉぉ!寝てろ、大人しく!
「あ、新しく来たお医者様にご挨拶と思って…」
「そんな理由でご自身の体に鞭を打たないでください!いくらシノン様でもお身体大切にしないなら怒りますよ!」
「ご、ごめんなさい…」
うっ…そんな泣きそうな目で見られると罪悪感が…
ま、まぁ?自分も言いすぎましたし?決してシノン様の泣きそうな目にやられたわけでは無いですからね!?
「…すみません、私も言いすぎました。でも本当にお身体は大事にしてくださいね?」
「はい…ゴホッゴホッ!かはぁ!」
「なっ!?吐血⁉さっきからしている咳のせいで喉が切れたのか…!少し我慢してください。…我に眼を【アストラサイト】」
闇属性と光属性の魔法陣が合わさり、ゼルウスを通過すると目が夜空のように輝き、シノンの体が星座のようなラインで見える
見える…シノン様の吐血の原因は…やはり喉が…でもこの程度なら回復魔法でどうにもなる…炎症も見受けられる。ならこいつだ
「水の癒し与えよ。【アリエルス】」
淡い水紋のような水属性の魔法陣が展開され、そこから光の水が打ち出され、シノン様の喉を癒し、炎症に冷却した
にしても喉を腫れさせ、吐血するほど切れてしまう咳の頻度…
このお方の治療、一筋縄ではいかなさそうだ




