第183話 なんだかんだとMタンクSの1/10質量しかないからなぁ
『どうだ?シャーサ?乗ってみた感想は?』
『教練実習機上とはいえ確かに素晴らしい操作性です…』
『どうした?そのわりには何か言いたげだが…』
「確かに釈然としない感じですね…」「もやもやしてるな…」
『いやですね…そうなるのが当然だよなぁと…思うわけですよ』
『あぁまぁ騙された感あるよな…』
『骨格と重要パーツは耐50G金属ですよ?けど筋肉と外皮は装具素材なんですよ?』
『動いて当然だよなぁ…』
『まさかのデカい装具方式なんて思いもしませんでした…』
「真っ当な機動兵器ではなかった…」「装具を機動兵器にしたのか…」
「確かにコレは劣化辻斬りではないな…」「発想の転換系兵器だった…」
『当然盾ナグールもついてる…』
『むしろ、ついてないと紙防御すぎてヤバいです…』
「外皮というか表面装甲そのものが装具なわけだしな…」
「デカい盾ナグールって構造ですものね…」
『とはいえ見た目はしっかり機動兵器だ』
『形状は固定化されてるようですね!』
『開発班が巨大着ぐるみ化するのを避けたっぽいな』
『いやいや!単に軽量化の為ですよ!きっと…』
「先行成功例の二の舞は避けたかったか…」
「なにせ餅ですからね…」
『しかし胸部の槍は少し突きにくいな…』
『盾だったり拡散槍だったりがどうしても邪魔しますからね…』
「胸部が前に長すぎてお互いを邪魔してますよね…」
「ちょっと趣味に走りすぎだなぁ…」
『その点、可動ブームの方は素晴らしい射界だな、かなり自由に突ける』
『胸部の槍のかわりに誘導系のマナ兵装欲しいですね~』
『そうだな、要望を出しておこう』
「基本武装が槍ばかりですからね」
「歪曲ないときは雷線になる便利武器」
『手足にも格闘戦兵装なんかあるといいですね~』
『格闘戦兵装だな、要望出すだけならいいだろ、出しとくぞ』
「欲しいってことは…」
「鍛錬で使えるようになったんだな」
『盾と拡散槍は問題ないですね、むしろかなりの当たり兵装です』
『ほう?高評価だな』
『盾は剣にもなる攻防一体兵装ですし、拡散槍は火力と制圧範囲が良いですね~』
『拡散槍はマナ転化も歪曲もない敵の地上兵器にはかなり有効だな』
「どちらもマナインパクト兵器だな」
「瞬間火力兵器ですね」
『右腕の固定槍は拡散槍を失った時用の予備ですかね?』
『だろうなぁ、拡散槍が手持ち銃形状だからだろう』
『継戦性が高い事はいいことですね』
『任務上、長丁場が多いだろうしな』
「相手の数が100倍以上ですものね」
「実弾兵器はまず無理な状況だ」
『ただ、マナインパクトは頂けないですね…』
『これだけ小さいんだ仕方ないだろう』
『MタンクSの1/10出力は物足りないです…』
『載せられただけでも御の字ってとこだろう』
「小さいがゆえにってことか」
「小さいと言っても15mあるんですけどね」
『装甲板抜くのにダブルマナインパクト3回使って30秒ですよ~?』
『辻斬りとMタンクSが優秀過ぎたんだよ』
『抜けるだけマシですかね~』
『なんだかんだとMタンクSの1/10質量しかないからなぁ』
「あっ装甲板は抜けるんだ」
「30秒とはいえ抜けるなら…」
『なんというか…やれることはたくさんありますが…』
『そうだなぁ、流石に敷居は高くなったか…』
『やることがだいぶ増えそうですよねぇ…』
『遠隔操作枠の新兵運用は厳しそうだな…』
「あ~流石に新兵水増し運用は厳しいか~」
「戦車から航空機にだいぶ寄りそうだからなぁ」
『やることが基本的にミニ突との追いかけっこですしねぇ…』
『MタンクSの目の前の敵をひたすら突くのとは違うからな…』
『たぶん挙がってるとは思うんですが…』
『あぁ、念の為に挙げておく』
『お久しぶりであります!艦長!!』
『久しぶりだなシャーサ、ダント、相変わらずでなによりだ』
『宜しく頼む、艦長』
『どうもシャーサさん!ダントさん!宜しくお願いします!』
「これは…確か1543番小型強襲艦ですか」
「元所属艦に帰ってきたってことか」
『ネスさん!伍長になったんですね!』
『ということは操縦手か?』
『はい!軽量2脚のテストパイロットやってました!』
「以前は艦のオペレーターをしてた方ですわね」
「操縦手に転向したんだな」
『ネスがお前たちのペア機だ』
『ペア機ですか?』
『軽量2脚は2機編隊運用が基本になる』
『2機搭載になる小型強襲艦の兼ね合いか?艦長?』
『あぁ、ありていに言えばそうだ』
「15m級は2機搭載できるんでしたね」
「MタンクSよりは楽に整備できそうだな」
『なるほど!ネスさん!宜しくお願します!!』
『はい!シャーサさん!こちらこそ宜しくお願いします!!』
『ん?艦長?ネスの相方は?』
『開発班が持ち回りでやっとった』
『なるほど、実際に開発班も動かしてるのか…』
「戦術指導までしてそうだな…」
「対人性能低いって話だったが…」
『まぁ実戦は今回が初めてだ、その点で二人には期待している』
『実戦?実機はあるのか?艦長?』
『あぁ俺達が所属する第1試験中隊には40機ある』
「今回集めた20組?元からいた20人?40機?」
「ふむ、規模感がかなり小さく感じるな」
『40機か…なんというかこう…秘匿っぷりがヤバいな…艦長…』
『あぁ、戦偵巡には強固な情報統制が入っとる』
『つまりは地上軍には情報が流れないようになっていると…』
『ドワーフ中心の機動兵器兵団の軽量2脚第1試験中隊と関連部署にしか情報は流れない』
『地上軍獣人達に対する警戒っぷりが半端ないですね…』
「検証公の仕込みか…」「ある程度できるまで触らせたくないんですね…」
『可動ブームの砲座はどうするんだ艦長?』
『MタンクCで3か月以上生存していて鍛錬はしてない操縦手のトコのコンビが2組だ』
『とういうことは艦長?相方のいないネスや地上兵が乗る時は3組で支援する感じか?』
『計画ではいまのところそうなってるな』
「あっ外部操作枠はドワーフ中心なんだ」
「MタンクCで3か月…なら精神的にはもう熟練兵相当…」
『最初の実戦試験内容はどうなっているんです?』
『機動砲艦の護衛のもと、
小型強襲艦20隻で破城要塞南方の第2500層断崖部に進出、
2機編隊2組4機小隊2個と2機編隊4組8機小隊2個に
2機編隊6組12機小隊1個に2機編隊4個の編成で
第2500層内の柱を対象に軽量2脚による破壊任務試験だ』
「あっそんな基本的なことから確認がいるんだ」
「ここらへんはわりと大事なことのようですわね」
『小隊編成試験か…ウチは?』
『2機編隊だな』
『日時は?』
『3日後だ』
『そしてシャーサは正式に伍長に昇進だ』
『あれ?それって降格じゃ?』
「中尉だったよな?」「たしかにそうでした」
『シャーサ、それは他所の少尉を指揮するMタンクCの特例措置だぞ?』
『そうだ、シャーサは本来一等兵だ』
『そうでした…殆どがドワーフ新兵のMタンク操縦手は厳密には皆一等兵でした』
『そして軽量2脚は他所の少尉を指揮することはないですから!』
『じゃぁこの伍長は…他コンビを指揮する為ですか~』
「なるほど」「納得」
『他コンビは固定なのか?艦長?』
『操縦手による選択制だ』
『というと?』
『基本的には無作為割り当て制だが、操縦手の希望で固定できる』
『なるほど!気に入ったら固定できるんですね!』
『よかったな?シャーサ』
「1人で実際に乗る操縦手主権なんですね」
「そうなって当然か」




