使わない漢字を忘れるにも限度がある
藪の能力を疑う原因のひとつは字の汚さだ。
ここで勤め始めて苦労する原因の一つがこれなのである。汚い字はミスを誘発しやすいのだ。
薮自身も以前のカルテ内容を丸写しにする際に書き写し間違うくらいである。本人にすら読めない文字というものは相当なものではないだろうか?
他にもカルテは改ざんを防ぐため訂正する際には二重線を引いた上で訂正印を押すものだが、薮がものさしで線の引く時はものさしの下の部分を使うのである。そのため、最後まで線が引けていなかったり変に曲がっていたりすることもある。
まぁ、一番多いのはフリーハンドで線を引くというものだが。問題は三重線だったりぐちゃぐちゃにしたりとその時の気分で好き勝手にやることである。
以前どうして普通に線を書かないのかと聞くと、脳梗塞の後遺症で通常の使用法である上側を使って線を引けないと怒られた経験がある。
まともにものさしの線すら引けないくらい手が動かせないというのを堂々と言わないで欲しいものだ。
みんな苦労して解読しそのうち薮の字の汚さに少しづつなれていくのではあるが、それでも限度を超える汚さでカルテに書かれた文字が判別できないときはある。
特に以前書いたベテラン事務員さんが口のしびれにて二度も倒れたときは悲惨で、残されたものにはレセプト請求するのに必要な文字が判別できないものがあったのだ。
右手という漢字が汚く書かれすぎていて、口の部分を変に崩しているために右と左の区別がつかない上に、手という漢字が完全に潰れていて体のどの部位か全く読めなかったのである。
そこで薮に丁寧に書いて欲しいとお願いしたところ驚くべき結果が待っていた。
薮の丁寧に書いた“右手”という文字を見てみると、そこには“右牛”と書かれていたのだ。
ようするに、小学生の低学年に習う漢字である手という漢字が書けなかったのだ。
薮が書き間違いではなく本気で間違えていると断言できるのは、指摘するとどこが間違っているんだと怒り出し、書き直してもやっぱり牛の縦線が曲がった文字を書いたからである。
仕方がないので“手”という漢字をメモ帳に大きく書いてそれを見ながら書いてもらうことにした。
薮は怒りで顔を真っ赤にしつつメモをお手本にカルテに漢字を書いていたが、正直こんなことをしなきゃいけない状態の人間がまともに医療行為をしているということに恐怖を感じる。
ちなみに、食という漢字も書き順が間違っている状態で一筆書きっぽく書くためにかなりひどい形になっている。最後の2画の書き順が逆っぽい。
他にもいろいろあるが、手がかけない人間は世の中に少ないと思ったので紹介してみた。
皆さんはこんな医者にかかりたいと思うだろうか?少なくとも私は思わない。
しかし、現状普通の人に相手の医者がどんな状態かなんて判断することなど出来ることではない。
だからこそ、更新制度にするなりしてどこかで能力テストをするような制度ができてくれたらと強く思うのである。




